三十九話 出会いの物語
ゆづるは青い蝶のこと、冥界列車のことを話した。
「そんなことが…」
「それにしても冥界列車は聞いたことがないぞ…」
各々がそうこう話していると後ろから見覚えのある姿が現れた。
「よぅ、お邪魔だったか?」
現れたのはカマイタチとネコ、そして眼鏡をかけた知らないおじさんだった。
「ネコさん!おかえりなさい!あのこの方は?」
ゆづるがおじさんを指さし尋ねるとネコは「にゃはっ」と言って答える。
「あの壺に入っていた煙羅煙羅でありんす。煙管が戻って体が生成できるようになったんでありんすよ。」
「いや~迷惑かけたねぇ♡ごめんよ~」
煙羅煙羅はバンバンとゆづるの背中を叩きながら笑った。
「おい、もう出てきていいぞ。」
するとカマイタチの後ろから背の高い妖怪と小さな妖怪が現れた。
「お呼びいただき感謝します。」
「覚、それと百々目鬼でありんす。で?百々目鬼、先にアンタに用があるでありんす。どさくさに紛れてアチキの金を盗ったでありんすね?」
「な!?………」
図星だったのか百々目鬼はすかさず左手を隠す。
「百々目鬼返しなさい。」
それを見逃さなかった覚は百々目鬼を睨みつけるとあまりの冷たい視線だったのか百々目鬼は渋々ネコから盗んだであろう金を返した。
「どうもでありんす。」
「うちのものが申し訳ありません。百々目鬼は昔から手癖が悪い方でして…百々目鬼貴方も謝りなさい。」
「はい……申し訳ありません」
百々目鬼と覚は深深とネコに頭を下げる。
この流れだとネコは2人を許すだろうと思ったがそうではなかった。
「ならこっちの頼みを聞いて欲しいでありんす。」
「…分かりました。お詫びに何なりと申し付けください。」
「アンタは人の心が読めるでありんすね。この店に何人いるか教えて欲しいでありんす。」
「分かりました。では皆さん、少し静かにして頂けますか?」
すると覚は目を瞑り集中する。ゆづるたちは何がなんだかわからずただただ静かにした。そしておよそ5分程経ったあと人数が分かったのかゆっくりと目を開ける。
「18人ですね。もちろん私を含めてです。」
「18人!?」
「えっ、えーと。ひーふーみー…..」
驚くのも無理もない、なぜなら店にいるのは16人なのだから。
「ちゃーんと約束通り来てるみたいでありんすね?出て来ていいでありんすよ!」
ネコが呼びかけると2人が物陰からこちらに歩いてくる。
一人は1度見た針女。もう1人は…ゆづるには覚えがあった。遠い記憶。確か…
「さっさと用を済ませろ。こっちは忙しいんだ。」
「まぁまぁ、ゆうちゃん。こちらはもう知ってるでありんすが針女。こちらは椿さん、「人間」でありんす。」
「「「えっ!」」」
「初めましてゆづる君。私は椿…」
「その制服…御剣高校のですよね?もしかして神崎椿さんですか?」
「あら、詳しいのね?何処でそれを?」
「僕は神崎ゆづる。貴方の弟の神崎仁志の息子です。」
その言葉に周りは再び驚く。ゆづるもそうだ。まさか妖怪の世界で自分の叔母と出会えるなんて。
「貴方は確か行方不明になって…まさかここに居たなんて…」
「私もまさか自分の甥に出会えるなんて…どう?仁志はちゃんと父親してるかしら?」
「はい。自慢のお父さんです!」
「良かったわ。」
「で、椿さんはどういう経緯でこの世界に?」
口裂け女は椿に尋ねる。椿は今までのことを話した。家出のこと。羽衣狐のこと。いつか自分も帰ろうとしていること。
「お嬢さ……椿さんは帰る方法はご存知なんですか?」
「ごめんなさい。それは分からないの。最初は羽衣様のおかげでこの世界に来れたけど、羽衣様がいない今は私も手探りの状態で…」
「青い蝶については?」
椿はその質問にもブンブンと首を振った。
「でもでありんすね!同じ人間に会えたのは奇跡でありんす!情報は多い方が良い!今後何か進展があれば情報交換をしないでありんすか?」
ネコは椿に提案をした。確かに情報が多い方がいい。だか、狐の宮と福呼び食堂までは距離があるため連絡手段は手紙だ。人間とバレないよう、必ず妖気を振りまいて送るとの決まりでお互い承諾。
そして、お互い今いる妖怪、信用している妖怪以外にはゆづると椿、それぞれが「人間」であることをバラさないと約束した。
「じゃあ、椿さん。よろしくお願いします。」
「こちらこそ、よろしくね。ゆづる君」
椿は針女、覚と百目鬼を連れて狐の宮に帰って行った。
帰る方法は見つからなかったが、同じ人間に出会えたことはゆづるにとって嬉しいことだった。
お互い帰る方法がわかる日が来るのを願うゆづるだった。
ついに椿とゆづるは出会った。お互い帰る方法を知るために奮闘する。




