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三十二話 花火の物語

すると後ろからドンドンと大きな爆発音が聞こえてきた。

「あ……花火だ!!」

「綺麗やなぁ~」

「座敷童子!ここにいたのか!」

窮鼠と花火を見ていると花火に負けない大声でこちらに烏天狗が近づいてきた。

「烏天狗やないか、どないしたんや?」

「どうしたじゃない!一つ目たちがはぐれたと言うから探しに来たんだ!」

「そかそか!じゃあ、ワシは健康を意識して自力で降りるからゆづるは烏天狗に乗せてってもらい。」

烏天狗はゆづるの目線に合わせてしゃがみ込み「帰るぞ」とゆづるを後ろに乗せる。

「暴れるなよ。しっかりつかまってろ。」

黒い羽を大きく広げると段々と地面から離れていき空高くまで飛んでいく。

「すごい!飛んでる!」

「せっかくだ。花火の近くを飛んでやろう。」

そう言うと烏天狗はゆづるを花火の近くまで連れて行った。

「わぁ!夢みたいだ。ありがとう烏天狗さん!」

「大袈裟な奴だな。」

それからゆづると烏天狗は空の花火を満喫した後、無事に一つ目たちと合流することが出来た。

「座敷童子!どこ行ってたんだよ!」

「心配したんだよ!」

「ご、ごめん…」

一つ目と蟒蛇は泣きながらゆづるに抱き着く。周りを見渡せば金魚さんや二口おばさん、口裂け女さんもいる。みんな心配してくれたんだ。申し訳ない気持ちより何故か嬉しい気持ちが勝っていることは黙っていよう。

「もう泣くな。ほら座敷童子も困っているだろう。それに座敷童子は窮鼠と一緒だったから恐らく窮鼠が連れ出したんだろう。」

烏天狗がゆづるから一つ目を引き剥がすと空から再び大きな音が聞こえた。それはさっきまでとは比べ物にならないほどの大きな音。

「最後の花火ですよ。」

「綺麗だねぇ。」

大きく咲いた花火はまだ消えず空に残っている。いつもなら一瞬で消える花火なのに不思議だ。そんなことを考えていると急に辺りが暗くなったような気がした。

「もう集会が終わったみたいだね。」

「どういうこと?」

「あれは終わりを知らせる花火なんです。」

金魚はそう言うと「さぁ帰りましょうか。」という合図とともに各々は己の家へと向かって歩き出す。口裂け女もゆづるの手を握ると「アタシたちも帰ろうか?」と言ったがゆづるは忘れていなかった。

「待って?窮鼠さんがまだ…」

「呼んだかぁ?」

「えっ!」

何と隣には山に置いてきてしまっていたはずの窮鼠がそこに立っていたのだ。

「い、いつから?」

「ほんまさっきやで?ほな俺らも帰ろうか、ゆづ」

「うん!」

「じゃあな!座敷童子!」

「また明日!」

ゆづるは一つ目に別れを告げ、口裂け女と帰る家「福呼び食堂」へと向かった。

ゆづるは晴明の言葉が気になっていた。

通りゃんせ…件…そして…

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