二十九話 見つけたの物語
あれからネコたちは狐の宮を探し回ったが針女は見つからず、結局一晩宿で泊まることになってしまった。
そして本来なら朝日が昇る時間、宿を後にして針女探しを再開したが何やら周りが騒がしいことに気づく。
「何だか騒がしいな…なぁ、何かあったのか?」
「何言ってんだ!?今日は『百鬼夜行』があるんだ!騒がしくもなるさ!」
「もうそんな時期でありんすか…。」
そう、『百鬼夜行』という祭りの準備のため周りは騒がしくなっていたのだ。賑わうことはいい事だが今はそれは望んでいない。なぜなら、
「早くしねぇと妖怪が増えて見つけにくくなる。」
「分かってるでありんすよ。急ぐでありんす。」
ネコとカマイタチは急ぎ足で探しに出た。
広場や裏道、店の中など組まなく探したがなかなか見つからない。聞き込みでも分かったことは「男嫌い」、「最近姿を見ていない」など居場所が分からない事ばかりだった。
「見つからねぇな…」
「結構探したでありんすがねぇ…」
「そこのお二人方、少しよろしいでしょうか?」
声をするほうを向くとそこには子供のような妖怪と背が高い妖怪が立っている。
「お二人方って、アチキ達のこと?」
「何の用だ?」
「お前たちにお告げを下さるそうだ。有難く聞くように。」
背の高い目が沢山ある妖怪が言うと小さい妖怪はネコ達に近づいてきた。
「申し遅れました、私は修行で旅をしております、「覚」と申します。こちらは百々目鬼です。」
「覚って、人の心を読めるっていう…妖怪」
「はい。ご存知だったとは光栄です。」
「で?お告げというのは?」
「はい、貴方達が探している方は意外と近くにいるかもしれませんよ?例えば布を扱っている店とか…」
覚はそう言うとニコッと微笑む。その笑みは何だか全てを見透貸されそうで不気味だった。カマイタチは何とか怯むことなく覚に尋ねた。
「アンタは心を読めるだけであって予知はできないはずだろ?なぜ分かる?」
「口を慎め!」
「いいんですよ、百々目鬼。」
百々目鬼をどうどうと宥めると覚は話を続ける。
「確かにそうですが、私には心の声が音のように周りに溢れています。なので周りを見て妖怪や状況、場所を把握し、そこに心の声を組み合わせれば予知に変わるんですよ。」
「…探す当てがない今、こいつの言葉を信じるしかねぇな。」
「そうでありんすね。お二人、ありがとうでありんす。探してみるでありんす。」
ネコとカマイタチは布を扱っている店を探そうと歩き始めた時、覚はネコに話しかけた。
「貴方、近々運命の人に出会いますよ。」
「?よくわかんないでありんすが肝に銘じておくでありんす!」
覚たちに別れを告げ、再び聞き込みを行った。
「この近くに布を扱っている店があるか?」
「それならこの角を曲がった所に『はぎれ屋』がありますよ。」
「本当か!?礼を言う。」
「行くでありんす!」
言われた『はぎれ屋』に向かうとそこに見たことがある女性が店からでてきた。
「あ!!居た!」
「針女!!」
カマイタチが叫ぶと針女はビクッと肩を揺らすとこちらに振り向き苦笑いを浮かべる。
「な、なんの御用でしょうか?」
「煙羅煙羅…煙管を渡した妖怪と言えば分かるだろ?」
「煙管……」
その瞬間、針女の目付きが変わった。
「その顔…知ってる顔でありんすね。」
「別に危害を加える気は無い、ただ煙管を返して欲しいだけだ。アンタが持ってるんだろ?」
すると針女は袖をゴソゴソと漁ると何か投げつけてきたがそれをネコがキャッチした。
「言われなくても返しますよ。押し付けで頂いたものですし。」
「それはうちの大将が悪かったな、よく言っておくよ。」
「アタシ、男が嫌いなんです。さっさと消えてくれますか?」
「口が悪いでありんすね……。」
そんな会話をしていると店の奥からもう一人女性が出てきた。針女と違い不思議な服を着た黒髪の女性だった。
「どうしたの?なにか騒がしかったけど…」
「な、なんでもないよ椿。もう返したんだし用はないだろ?とっとと失せな!」
針女はシッシッと手で払うとそれに怒りを覚えたのかカマイタチのこめかみがピクっと動く。
「あぁ、言われなくても消えてやるよ!行くぞネコ!」
「………。」
「?…どうした?」
ネコは何故か椿を見た瞬間、固まってしまった。
嗅いだことがある匂い…そう近くで…何処でだ?
そうぐるぐる悩んでいると一つの答えにたどり着く。ゆづるだ!
そして覚が言っていた運命の人とはきっとこの女性の事だ。何故なら………。
気づけばネコは椿の腕を掴んでいた。
「お前!椿から手を離せ!」
「おいおい!どうしたんだよネコ!?」
そしてネコは椿という女性にこう尋ねた。
「アンタ……………「人間」でありんすね?」
一方ゆづるたちは『百鬼夜行』の祭りに行くために準備をしていた。




