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二十一話 秘密の物語

永遠に夜。別名百夜の街の「狐の宮」。この街は全て頭首の玉藻の前が作った。

煌びやかな装飾が妖怪たちを魅了する。

「綺麗な街じゃ。妾が作った美しい街。お前さん見てるかえ?いつかお前さんに見合う姿に……」

羽衣を玉藻の前という名前で呼ぶのは上級妖怪以外は禁句になっている。

だが、その秘密…羽衣狐自身の秘密は誰も知らない。彼女が人間の娘を狩る「羽織り」の理由も……

「さて、この姿も限界かのぅ…また行くか…朧車を呼べ!」

「へ、へい!ただいま!」

羽衣はそう言うとスタスタと朧車に乗り夜の中に消えていった。

「あの阿呆ぅはいつまで続けるつもりだろうなぁ。」

近くにいたマフラーをした妖怪はボソッと冷たい冷気とともに呟いた。

羽衣の姿は日々変わる。

髪が短い女性。胸が大きい女性。童顔な女性。様々だ。

現場を見ていた椿はもう驚きはしないが、罪のない女性が命を落とすのは見ていられなかった。

もし自分も殺されてもきっと期限が来れば次の犠牲者が出る。

今なら分かる。あの時は自分勝手な気持ちが先走ったのだ。

いつしか椿は羽衣の「羽織り」を止めたいとも思っていた。

「椿、何か考え事か?」

考え込む椿に針女は声をかけた。

「え?あぁ、ごめんなさい。ちょっとね。」

「アタシで良ければ話聞くぞ。」

羽衣はこの街の主……針女を巻き込みたくないと考えた椿は言葉を飲み込んだ。

「ありがとう、大丈夫よ。」

「そうか…何かあったら言えよ。友人だろ?」

「えぇ。」

「お!いたいた、椿!針女!」

「お雪さん?」

二人は声のする方を向くと雪女がこちらに走ってきた。雪女が近づくと気温がぐっと下がるため少し寒くなる。

「どうしたんですか?追加の修繕ですか?」

「今なら手は空いてるから大丈夫だ。」

「すまない。修繕じゃなくてな、二人に3日間休暇をやろうじゃないかって話になってね。」

「休暇ですか?」

「しかも3日も!?」

「いつも頑張ってくれているからね。明日から休んでくれ。」

雪女はニコニコと笑いながら二人の肩を叩く。椿は好都合だと感じた。休暇中なら自由に行動できる。何かあれば牛鬼に貰った毒の香り袋がある。

「ありがとうございます。有難く休暇をいただきます。では残りの着物を返しに行って参ります。」

「あぁ、いってらっしゃい。」

椿たちは雪女にお辞儀をするとその場を後にした。

明日からどうやって羽衣について調べるかを考えていると針女が急に椿を抱き寄せた。

「椿、お前なんかしようとしてるな?」

「えっ?」

針女は鋭い目つきで椿を見た。嘘を見透かす目だ。

「水臭いじゃないか。アタシとお前は友人なのに…」

「でも、あなたを巻き込む訳にはいかないわ。」

「アタシがそんなヤワな妖怪に見えるか?」

針女は椿から離れると胸をトンと叩いた。自分に自信があると言わんばかりの姿を見た椿は観念したのか、針女に話そうと決心した。

「そうね。あなたは頼れる妖怪ね。分かった、話すわ。」

「ここじゃ誰かに聞かれる。椿の部屋で話そう。」

そう話し合うと二人は仕事部屋に足を向ける。

椿は何故かワクワクしていた。友人と秘密の作戦会議みたいな事を今からするからだ。

部屋に着くと二人はいつもの定位置に座る。

「で、何を考えていたんだ?」

「羽衣様のこと。「羽織り」を止めさせたいと思って…」

「あぁ、確かに。これ以上やると流石に重罪だ。」

「重罪?」

「昔は神隠しがあったが、今じゃあ神隠しをするヤツは余りいない。なぜなら閻魔大王がこれ以上人間の死亡を減らすために殺めることは罪になるように取り決めができたからだ。今までは、何とかただの人間界の行方不明にしてバレなかったがこれ以上は流石にマズいと狐の宮のヤツらも思ってる。」

「そんなことが…」

妖怪の世界にも罪がある、早く止めないともっと罪が重くなる。急がなければ…

「止めるには羽衣様の「羽織り」の理由を知る必要があるな。」

「そうね。詳しい方…お雪さんとか?」

「残念だが、お雪さんは確かに羽衣様とよく口喧嘩をするがお雪さんの事だ。すぐはぐらかされるのがオチだ。」

確かに…雪女は羽衣と仲がいい。ということは雪女も羽衣の秘密を守るに違いない。友人だから。

「で、椿。実は羽衣様に関していい情報がある。」

椿は針女の言葉に耳を傾けた。

「狐の宮から少し歩くが裏山辺りに館がある。そこに羽衣様をよく知る妖怪がいるそうだ。名前は山ン本五郎左衛門。これくらいしか情報は無いが。行く価値はある。」

「明日、聞き込みも含めて出発しましょう。」

「おうさ!決まりだな。」

椿と針女は明日から3日間。山ン本五郎左衛門に会いにいくことは出来るだろうか。

微かに冷たい風が頬を伝ったのをまだ彼女たちは気づいていない。

山ン本五郎左衛門を探すため、椿たち聞き込みを開始。別々に行動し収穫はあったのだろうか。

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