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新「ねえ、怜司、
なんでついてくるんだい?」
怜司「あなたの相談所を見るためだ。」
新「ああ、確かに言ったけれど、
私は今から旅にでなくては
いけないんだ。だから」
怜司「なら、ついていく。
俺も旅の途中だ。
一緒に行ってもいいだろう?」
新「いいけれど、
きみは、まきさんの家に
住むんじゃなかったのか?」
怜司「なぜそうなる?」
新「いや、なんとなくだったんだ。
気にしないで!……
そうだ。相談所には行かないけれど、
常連さんのところには行くよ。」
川に到着した。
怜司「川?」
新「ああ、町には用水路がないだろう?
1人のお爺ちゃんが困っていてね、
簡易的な用水路をつくれればと思って。」
怜司「竹でつくるのか。」
新「うん、とりあえず、
前からつくっていたんだけど、
水をどうやって高い位置から
流すかが難しくて……
まあ、あとから考えるとして、
先にお爺ちゃんの家まで
竹を敷いてくるよ。
怜司は少し待っていてくれ!」
組み立ててあった竹を持って、
梅川さんの家まで並べた。
あとは水を流すだけだ。
新「怜司、それはなんだい?」
怜司「川の流れを動力として
回る、水車と呼ばれるものだ。」
新「すごい!私は初めて見るものだ。
それがあれば、
水を少し持ち上げることも
できそうだ!ありがとう怜司!」
しばらくして、
なんとか水を持ち上げることに成功した。
新「できた!流してみよう。」
水を流して、水の流れを追って
梅川さんの家まで走った。
新「成功だ!怜司のおかげだ。
ありがとう!
梅川さん!いらっしゃいますか?」
梅川「お前か、どうしたんだ?」
新「来てください!」
梅川さんを少し急かしながら、
作った水路を見せた。
梅川「おお、こりゃすごい。
これなら、水をくみに
いかなくてもいい。新、
お前はすごい。ありがとう。」
新「これは、私の力ではありません。
怜司が手伝ってくれたんです。
……あれ?」
梅川「怜司?誰だそりゃ。」
怜司の姿が見つからなかった。
新「さっきまで一緒だったんですけど、
あはは…」
梅川「ほら、みかんをやろう。」
新「ありがとうございます。
あと、私は今から旅に出るので、
しばらく会えないと思います。
本当はもう少し、
お手伝いしていたかったのですが。」
梅川「そうか、まあ、わしは
長年の知恵ってやつで、
お前さんがいなくても
なんとかなるがな!
ちょっと待っとれ。」
梅川さんは、少しだけ寂しそうな顔を
しているように感じた。
梅川「ほれ、これをやろう。」
新「これは、羽織?」
梅川「そうだ、それを着れば、
夜でも暖かい。持っていけ。」
新「ありがとうございます!
それでは、お元気で!」
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