生命の暗号
それは偶然か、それとも……
二〇九八年……
A.C.X操作法により人間の遺伝子は、いかようにもデザイン出来るようになった。A.C.X操作法は、まだ生命が形をなさない受精卵の暗号(遺伝子)を組み替える技術だ。現在、地球上のほぼ全ての生物の暗号の読解が完了している。つまり、多種多様な生物の特徴を人間に反映することが可能となったのだ。鳥の暗号を取り入れ翼を手にしたもの。魚の暗号を取り入れエラを手にしたもの。文字通り「何者にでもなれる」世界なのだ。しかし、どんなものにもトレンドがある。皆、なりたいものになり終えてしまったのだ……
何者にでもなれる世界で次に人々を虜にしたこと、それは知の探求である。幸か不幸か、A.C.X操作法は知の探求においても抜群の相性を見せた。高いIQを持つものの遺伝子を組み込めば良いのだ!
そうして人々は、この世界の真理を探求し、知ることの喜びを覚えていった。時が経ち、我々新人類は太陽における核融合反応を応用しエネルギーを取り出すことに成功、地球温暖化における諸問題は解決の兆しを見せ、人々の関心はさらに知の探求へと向かった。
この頃、高IQを持つものは同じく高IQを持つものと結ばれ濃縮された遺伝子を持つ次の世代へ、また次の世代へ、と命の二重螺旋は紡がれていく。そうして三〇〇年の年が経ち必要な脳は世代を追うごとに肥大化し、知的活動に必要のない四肢は細くなり、体毛は生えなくなっていた。
「なぁ、お前宇宙人て信じる?」
「いや〜、宇宙人がいたらとっくに人間を家畜にでもしてるでしょ」
「そうだよな、いるわけないよな」
「でもさ、いたとしてもあんな頭がおっきいだけのヒョロヒョロに負ける気しないけどな」
「それは想像の姿だろwww本当はマッチョの巨人かもよwww」
「それだったら勝てないかもwww」
「がはははwww」
「がはははwww」
続いてのニュースです。兼ねてより理論としてのみ存在していたA.C.X操作法が確立されました。それにより我々人類は……