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恋人じゃなくて妹です!  作者: にとろ


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「妹の兄専用電話」

「お兄ちゃん! ちょっと母さんと携帯ショップに行ってきますね!」


 休日に茜は突然そんなことを言い出した。


「どうした? 機種変か? でも壊れてもいないんだろう?」


「いえ、ちょっとわがままを言って新規契約をしてもらえることになりまして……」


 新規契約? 二台目を持ちたいのか?


「よくそんな贅沢を許してもらえたな……」


「基本料ゼロ円ですから、お兄ちゃんとだけやりとりをする専用のスマホが欲しかったんですよね!」


 ああ、オンライン専用契約か。だったらスマホも通販でかえばいいじゃないかとおもうのだが、実際に買うのは母さんなのでネットで買うのはハードルが高いのだろう。


 しかし俺専用の回線なんてそんなに欲しいものかね……メリットなんてそんなに感じないのだがな。


「ではお兄ちゃん! 行ってきます!」


「はいはい、いってらっしゃい」


 俺はそうして妹を送り出した。よくよく考えるとゼロ円プランはネット専用なので端末だけ買いにいったのだろう。携帯ショップの人は機種のみ買われて終了か……好かれない契約なんだろうなあ……


 そして俺は昼飯を食べた。やはりというか妹は帰ってこなかった。一応認められている行為だが店舗で契約の勧誘でもされているのだろうか? 向こうにとっては死活問題なので気の毒な話ではある。


 そうして太陽が頂点を過ぎた頃になってようやく茜は帰ってきた。


「お帰り、遅かったな?」


「ただいま! 機種のみ買うのをめっちゃ渋られました……」


「相談してくれれば密林でオススメの機種を教えたのに」


 我々は格安スマホを求めて密林の奥へと分け入った、そうすればかなり安いものが簡単に手に入っただろうに、どうせ俺としか通信しないならハイスペックの必要は微塵も無いだろ。


「やっぱり林檎のスマホがいいもので……」


「よく金があるようで何よりだよ」


 サブ機にするには明らかに高額な機種を買ってきた茜を半眼で見る。金持ち、羨ましいっすね……


 俺なんぞ一世代前の林檎スマホしか持っていないというのに妹の方は二台目か……


「ではでは! 早速お兄ちゃんを連絡先に入れたいのですが……」


「ああ、番号は知ってるだろ? 知り合いに追加はしておいていいぞ」


「それは当然もう済ませているのですが……お兄ちゃんはあまりスマホを見てくれないようなのでこれからはもう少し見てくださいね?」


「善処するよ」


「いけたら行く、みたいな不安な言い方はやめてもらえますか?」


「そうは言うがな……一日百件以上のメッセージを送ってきてそれに既読をつける以上の事を求めるのは無謀だと思うぞ?」


 茜は最近出た廉価版のスマホを持って楽しそうに操作している。俺は自分のスマホを取り出してメッセンジャーに出てきている『友達かも』を開いて茜のサブアカウントを登録しておいた。


 早速『専用線ですね!』とメッセージが来た。専用線というのは……という言葉の定義をつつくのはやめておき『そうだな』と返した。専用線、便利だよね?


 しかし、俺は一つ気になったので聞いてみた。


「ゼロ円プランって未成年で契約できたっけ?」


「そこはお母さんに任せました! ちゃんと代金は払いますし、メッセンジャーに登録するだけならSMSさえ受信できればいいですし」


 ほぼゼロ円運用か……まあテキストデータの送受信くらいなら超低速でも届くだろう、ストレスで壁を殴りたくなりそうな気もするが。


 何にせよ我が家にはWi-Fiが飛んでいるので自宅内では自由に通信ができる。外出時は……つよく生きてください。


 そして夕食を家族で食べ、一番風呂を茜に譲って部屋でつべを見ていたところでメッセージが届いた。


「お兄ちゃん、裸でお風呂に入った状態でお兄ちゃんにメッセージを送るのってめっちゃ興奮しますね!」


 ウチの妹が変な性癖に目覚めそうだ。頼むから常識の範囲内でスマホは使ってくれ。防水だからって風呂に持ち込むなよ……


 しかしさすがに画像データは送られてこなかったのでそこは弁えているのだろう。俺はその返信に『そんなことやってると水没で壊れるぞ?』と忠告しておいた。防水と言っても長い間水の中に沈めるのは推奨されない。


 問題はその晩だった。俺が風呂に入って部屋に戻るとピコピコと受信音が続いていた。


 そのメッセージのほとんどは『何をしてますか?』とか『妹っていいですよね!』などと言うメッセージだったので俺はいたく返信に悩んで、既読をつけてスタンプを送っておいた。困ったときのスタンプ万能説、あると思います。

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