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恋人じゃなくて妹です!  作者: にとろ


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33/52

「妹の一九八四」

「今からお兄ちゃんの本棚を検閲しようと思います!」


 我が妹は堂々と言論の自由をガン無視する宣言を出した。


「なんでだよ!? 堂々と検閲宣言されても困るんだが……」


 しかし茜は平然と言い放つ。


「お兄ちゃんの本棚にえっちい本や姉モノの本が入っていないかどうか検査するのは妹の義務でしょう?」


「どこソースだよ!? 思いつきが偏りすぎなんだよ!」


「ソースは私です」


 えぇ……思いつきも大概にしろよ! 俺の本棚にはそういった本はないデジタルデータにしているので検閲されても前者は問題無い。後者の姉モノについてだがラノベで定番の組み合わせなのでどうしても心当たりが多少はある、どうやって誤魔化すかな……


「お兄ちゃん! 妙な動きはやめるように! それでは書架の検閲を始めます!」


 そう言って俺の本棚を一冊ずつチェックしている。もう少しデジタル化を進めておくべきだったな……この調子だと人妻もの(一般向け)とか姉モノ(一般向け)が見つかりかねない。一般向けと言ってもギリギリを攻めている品だ、あれが一般向けで売られていることに意見がある人がいるかもしれないが、少なくとも妹がみたらアウトな品でしかない。


 いや、普通の妹ならいちいち兄の本棚をガサ入れしたりしないだろう。こういうヤツに見つかるといちいち面倒な品だ。


「なあ茜、親しき仲にも礼儀ありって言うしこういう事はやめにしないか?」


「お兄ちゃんが私に見せられないモノを持っている方が問題ですから」


 くっ……コイツはまったく譲る気が無いようだ。しょうがない、言い訳を考えておこう。


「これは問題無し……幼なじみですか……ギリギリセーフですね……」


 そんなことを良いながら本棚を上から一冊ずつ目を通している。見つかるとマズいものは全て足元に置いているので底まで見ないことを祈ろう。


「何ですかこの動物の本の山は……技術書ですか……チェックが面倒くさいですね……」


 よしよし、順調に面倒くさがっているぞ。この調子でさっさと諦めてくれると助かる。一応その手の本はダミーのカバーを掛けてあるから中身をチェックされなければセーフだ。


 いい感じに内容のチェックを面倒くさがっている。理解できない文字ばかりの本の連続で気力をゴリゴリ削っていっている。分厚い本が多いのでその辺のチェックは不可能だろう。


「ふむ……お兄ちゃんも不遜な本は目立つところに置いていませんか……」


 ヨシ! いい感じにグダグダになってきたぞ、この調子で追及の手を緩めて欲しい。


「よくよく考えてみたらえっちい本で千ページ超えとか無いですよね……いちいち全部チェックするのは無駄のようです」


「そうだろ? 俺にはやましいところなんて無いからな」


「うーん……私の勘が外れましたかね……とはいえこの量の本をチェックするのは面倒ですし……」


「誰にだって後ろめたいことの一つや二つあるものだろ? お前だって俺に見られたくないものくらいあるだろ?」


「む……そうですね……私も兄妹モノの本くらい持ってますし……分かりましたよ、お兄ちゃんはセーフ、そういうことにしておきます」


「じゃあ聞き分けの良い妹に感謝しておくよ、ありがとう」


「ふひひ……私がお兄ちゃんに寛容なのは当然のことですよ!」


 茜は大層邪悪な笑みを浮かべるばかりで、機会があれば攻めてやろうという姿勢を表明する妹に恐れを感じるのだった。 

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