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恋人じゃなくて妹です!  作者: にとろ


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「妹と禁書」

「茜、明日の授業って参考書は何を使うんだったっけ?」


 辞書が必要だと言われたような気もする。重いものは少なくしたいので必要無いものは持ち運びたくない。


「ひゃう!? お兄ちゃんですか……明日は英和辞典だけですよ。電子辞書で事足ります」


「そうか、ありがと。なんでそんなに狼狽えてるんだ?」


「お兄ちゃんに合いたいので部屋のドアを開けましたが、部屋の中は見ていただきたくないもので」


「……? 普通の部屋だと思うが」


「そう! 普通の部屋です! ですからお話ならお兄ちゃんの部屋でしましょう!」


「いや、寝る前に必要な物を聞きに来ただけなんだが……」


「そうですか、では問題無いですね」


 なんだか狼狽えている茜に部屋から押し出されてしまった。結局その理由は不明だった。


「じゃあおやすみ」


「おやすみなさい!」


 こうして俺は部屋を出て自室に帰ったのだが、茜の行動について少し考えてみた。まるで見られてはいけないものがあるような様子だったな……しかし部屋に侵入してみるわけにもいかないし……


 気にせず寝るか!


 そうして俺は就寝した、その前にそういえば買おうと思っていた本があったのを思いだした。スマホにリマインダーをセットしてから眠ることにした。


 翌日の放課後、帰宅しようとしたところでスマホが鳴った。


『本屋、放課後』と表示され、そういえば買いたい本が今日発売だったことを思い出した。


 寄ってから帰っても文句は出ないだろ……


 今までは一々人の目など気にしなかったが、今は茜の目がある。とはいえあいつもそこまではやいやい言わないだろう。


 その日は茜が誘ってこなかったので珍しいこともあるのだな程度に考え書店に向かった。


 そして空調の効いた店内に入るとすうっと体を冷気がなでる。目的の漫画は……あったあった!


 海外作家の本はやっと翻訳されたと思ったらその辺には置かないから困るんだよ……


 町の書店では置いていないのでわざわざ町で一番大きい書店に来る羽目になっていた。


 後は会計を済ませるだけだったのだが……挙動不審な人物を見た。コソコソと書店の奥の方へと人目を気にした様子で入っていった。気にすることはないのかもしれないのだが、なじみの書店なので万引きされないように見ているくらいはいいだろう。


 本棚の影からその女(かな?)を覗いていると棚からまとめて本をガバッとカゴに放り込み、逃げるのかと思ったら普通に会計を済ませていた。俺の考えすぎだったと思いごっそり在庫の抜けた棚を見た。


 ラノベのコーナーで空になった棚の位置を見てみると、有名な妹モノラノベを大量購入した様子だ。消えている場所の作者からしてそのくらいは推測できた。


 俺は自分の本の会計を済ませ、万引きしようとしているやつなんていなかったことに安心して帰宅した。


 帰宅して玄関ドアを開けると上がり口に大きめの紙袋がドサリと置いてあった。どうやら茜が買ってきたものだろう。


 中を覗きたいという好奇心はあったものの、それはプライバシーに問題があると思い、さすがにやめておいた。


 しかしあのサイズ……なんか覚えのある大きさなんだよな……


 結局、その袋がなんだったかは思い出せず、夕食を食べてそのまま寝た。その日は隣の部屋から『ふひひ』『いいですねぇ!』『尊い……』独り言が絶え間なく響いたのだった。

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