一布風お料理小説『焼豚を縛るXXX』
一布さまの作風を真似して書いたオリジナルお料理小説なので、どうか重々しく読んでください。
一布さまからはワクワクの伝わって来るような許可を頂いております、
二月八日。午前11時半。
酒盛野三咲は調理台を前に、一塊の豚肉と向き合っていた。
ブレザーの制服に真っ白なエプロンと三角巾。そんな地味な格好をしていながら、匂い立つほどの美貌は隠せない。包丁を手に持ち真剣な表情で唇を結ぶと、さらにその美貌は増す。そんな少女だった。17歳。高校2年。背中まで伸びた長く綺麗な黒髪は、纏め上げられて三角巾の中に仕舞われているが、それでも美貌は少しも損なわれない。
彼女は真剣な表情で調理台のブロック豚肉を見下ろしている。その口角がわずかに上がり、笑いが浮かんだことが、観客席で見守っている村々下庸平だけにはわかった。
「やめるんだ、三咲! 復讐なんて━━」
観客席から叫ぶ庸平の声。しかしそれは三咲には届かない。
幽霊なのだ、庸平は。
「それでは、調理を始めてください」
赤いメガネにひっつめ髪。黒いスーツに身を包んだ進行役の女性がそう言って、お料理対決が始まる。
対戦相手は九頭五味彦。
「お手柔らかにね、三咲ちゃん」
九頭はテレビにも出ている有名料理人の息子。しかし三咲は彼のことなど眼中になかった。ただ、ひたすらに、まな板の上に乗せられた豚肉を、憎む目で睨んでいる。
二日前━━。二月六日。午後6時18分。
恋人の村々下庸平をこの豚に噛み殺された。
とても凶暴な豚だった。憎むべき豚だった。豚のくせに人間様を舐めきっていた。しかも超能力が使えた。
超能力━━今から40年前、生まれながらにしてその力を持つ豚は、たまに生まれた。詳しい説明は難しいので割愛するが、超能力ある豚は人間様を馬鹿にすることが可能であり、一噛みであの世へ送ることも出来る。とはいえ、豚に殺される人間など滅多にいるものではなく、殺されたら恥だとすら言えた。
調理が始まると、三咲はすぐに、サバイバルナイフほどの大きさの包丁を振り上げた。
大きなおっぱいが、揺れた。
「あんたなんか、焼豚にするだけじゃ足りない」
そう言うと、豚肉に包丁の先端を、突き刺した!
そのショックで、豚肉は目を覚ました。
「あれ……なんでおれ……刺されてんの?」
すぐに引き抜くと、もう一度振り下ろした。何度も、何度も、突き刺すことで、味の染みがよくなるのだ。
庸平は叫ぶことしか出来ない。
「やめろー! そいつを焼豚にしても、おれは食べられないんだ!」
しかしその泣き叫ぶ声は三咲には届かない。聞こえない。
三咲は次には頑丈なタコ糸をバッグから取り出すと、それで豚肉をきつく締め上げた。もちろん、焼いたり煮たりしても、形が崩れないようにだ。
暗い狂気を孕んだ時間が終わった頃、そこには悲しくも美しい、焼豚が完成していた。
━━━━━━━━━━━━━━━
あとがき
まずは、こんなところまで目を通していただき、ありがとうございます!
今回は自粛してあとがきにおっぱいネタは出しませんが、大好きなので、作中に無駄におっぱいが揺れるシーンを出してみました!
いかがでしたか?
感想など、いただけましたらクソ嬉しいです!
北海道、でっかいどー!
社会派! 読めば賢くもなれる一布さまのページはこちら↓
https://mypage.syosetu.com/2287699/