黒星★チーコ風アクションホラー小説? 『ズルいお姉さまの功罪』
黒星★チーコさまの作風を物真似したアクションホラー小説?です。
黒星★チーコさまからは高貴なお許しをいただいております。
今回は笑いナシのシリアスなお話です。
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木曜の深夜一時。草木も眠る丑三つ時という奴である。
この時間、あるラジオ局では細々と、しかし確実にコアな人気を獲得している番組がオンエアされていた。
「ハイッ☆ 始まりましたぁ〜! わたくし黒星★チーコの『中☆二★病☆ナイト』! 今夜もたっぷり死亡フラグをいっぱい立てて行きますわよぉっ!☆」
パーソナリティーの名は『黒星★チーコ』、今をときめくネトコン二次選考通過者である。
年齢はピチピチとまでは行かないが、お肌の曲がり角ぐらいの若さだと噂されている。
「早速、お便りを紹介しちゃいまぁすっ!☆ えー、『今日も海岸に打ち上げられた城ヶ崎』さんからのお便り──女性の方かしら? 『今朝のお味噌汁がやたらとしょっぱかったんです。三枚のおふだを使って何とかできないですか?』──んー、わたくしに聞かれてもですねぇ……知らない!ですわ! ふふっ☆ 次!」
パーソナリティーはその魅惑のお姉さまボイス、そして熱烈なファンをサラッとかわして自室で紅茶を飲みながら好きな漫画に没頭するようなズルさで私設のファンクラブまで立ち上げさせてしまうほどの人気者だ。
ちなみにファンクラブの名前は『ズルいお姉さま同好会』である。
誰もそのパーソナリティーの顔を見たことのある者はいない。黒星★チーコは絵も描く。とてもうまい。
その描かれた絵は高貴で美麗という他はなく、貴族令嬢を描いたものは或いは自画像なのではないかと囁かれていた。キュッと吊り上がった眉はプライドの高さを、柔和に微笑む口元は鷹揚さを、そしてそのおどけたポーズはギャグが大好きな黒星★チーコ本人のイメージそのものだといえた。
「次のお便りはド田舎県の『しいな ここみ』さんから☆ えー『最近味噌壺の中の味噌が勝手に増えてるけどなぜなんですか? また、エレベーターの閉ボタンがよくすり減ってるのはなぜですか?』──知 ら ん が な!☆」
黒星★チーコの声は親しみが持てながらも飽く迄も高貴。
リスナーからのお便りを邪険に扱えば扱うほど、それに連れてファンの親近感も高まって行く。
その名前につけられた黒星は『敗戦続きの自分を現したもの』らしいが、これほどの人気者になっても未だに金星☆チーコに改名はしない。
初志貫徹に努めているらしい。
知らんけど。
しかしそんなかわいさも大人気の秘密である。意外な謙虚さも持ち合わせていることを匂わせるんだ?
「ところでねー☆ さっきADの菊池さんが、おそばに入れる天ぷらを買いに行ったんだけど、まだ戻って来ないのー★ おそば、もうお汁を吸いまくっちゃってますわよ。ふふっ☆」
その時、スタジオの外で物音がした。
「あら? 菊池さん、帰って来たのかしら?☆」
黒星★チーコが窓ガラスの向こうを見ると、手にバールのようなものを持った、青白い顔の青年が立っている。
「黒星★チーコ、あんたが好きだ」
「あら……☆ ストーカー?★」
「あんたの高貴な声が、自画像の美しい顔が、そしてギャグのツボが浅いところが俺は大好きだった」
「あら……☆ 過去形?★」
「それがなんで実物はヒゲもじゃでムキムキマッチョのオッサンなんだよ!? 俺の夢を壊しやがって!」
スタジオのガラスを壊し、青年が黒星★チーコに襲いかかる!
高貴な女性のような声をもつヒゲもじゃのオッサン黒星★チーコは、おどけたポーズを一瞬取ると、青年の腕を掴み、投げ飛ばした!
「どっせい!」
音声は既に流れてしまっていた。
正体がムキムキマッチョなオッサンであることを全国的に知られてしまった黒星★チーコは、この後人知れず表舞台から姿を消すことになる
かと思いきや、これが女性を中心に爆発的に受け、人気は更に爆上がりして行ったのである。
ちなみにこの物語はフィクションであり、作中の黒星★チーコとなろう作家の黒星★チーコさんとは何の関係もない。
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