未来屋 環風エロティック文学『ミッドナイトトリップセンターで、魔女は黒い薔薇の夢を見る』
未来屋 環さまがもしもエロっちぃ小説を書いたら──という趣向でやってみました。ギリギリR15は避けたつもりです。
未来屋さまからは有難い許可をいただいております。
──その看板を見るたびに、僕はエロティックな好奇心に囚われる。
『ミッドナイトトリップセンターで、魔女は黒い薔薇の夢を見る』
その日も夜遅くまで仕事で、疲れていた。
ロック・アーティストになる夢を捨て、忙しく流れていく同じような毎日。愛想笑いと社交辞令にまみれた日々に、どこか遠くの田舎にでも旅行へ行きたくなる。そんな気持ちは僕の内にふつふつと育っていく。──そう、それは逃げるように。
──ちりん
車のハンドルを握りながら、そんな音を聞いた気がした。それはここを通る時、いつも聞こえる音だ。
夜の暗いバイパスの側道に一軒だけ、闇に浮かぶように看板がある。そこに書かれた文字を、僕はまた声に出して読む。
「ミッドナイトトリップセンター……」
──一体何の建物なのだろうか。中でどんなことをやっているというのか。いつも興味はあったが通り過ぎていた。
それは黒い看板に紫色の縁取りをされて、赤い文字で書かれている。僕にはどうにもそれがいかがわしく見えてしまう。
「──入ってみるか」
それはたまたま沸き起こった興味のいたずらだった。
***
レストランのようなガラスの扉を開けると、燕尾服姿の紳士がにこやかに出迎えて笑う。
「ようこそミッドナイトトリップセンターへ」
建物の中は真っ暗だ。僕はスタッフだと名乗った紳士の肩に掴まり、導かれて奥へと歩く。
ふかふかの絨毯の上を歩いている感覚が僕を浮遊させた。
「ここはどういうことをするお店なんですか?」
ようやくそれを聞いた僕に驚く気配もなく、スタッフの紳士は鷹揚な声音で答える。
「ここはババヘラを食べるところですよ」
「ババヘラ?」
聞いたこともない単語に聞き返す僕に、紳士は「──まぁ、体験してもらえればわかります」とだけ答え、なにやら含み笑いをする。
そういえば秋田名物に、路傍でババヘラという薔薇の形のアイスクリームを売るおばあさんがいると聞いたことが──あったかも、と思っていると、急に部屋の中が明るくなった。
──僕の目の前に、ヴァーチュアル映像が広がった。
──青い、夕焼けの空だった。
──紳士の声が横から説明する。
──「火星の夕焼けですよ。懐かしいでしょう?」
「いや……僕、地球人だし。──ババヘラはどうしたんですか?」
──おばあさんの声が部屋の隅から響いた。
「わしがババヘラじゃよ。名前は雪音っていうの、よろしくね」
──そういうと、おばあさんは僕に、とても気持ちいいことをしてくれた。
──無理やりだったけど、気持ちよかった。
──歯がないのが、よかった。
──ああ……
──やめないで、雪音。
(了)
最後までお読みいただきありがとうございました。
この作品はなるべくイケメンな雰囲気は崩さないまま、未来屋さまの物真似をしてふざけたエロいものを書こうと思って取りかかった作品になります。
ちなみにですが、もちろん本物の未来屋さまがこんなものを書くわけがありませんので、どうかバカなし◯なを皆様で寄ってたかってストンピングで踏みつけてくだされば幸いです。
ありがとうございました。
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