四宮楓様よりオリジナルストーリー『魔法少女ここみん』いただきました
四宮楓様より『魔法少女ここみん(照)』を主人公にしたオリジナルストーリーをいただきました。
私の連載作品のキャラ等がいっぱい登場します。意外なネタも……(*´艸`*)
さぁ、あなたはどれだけわかるかな?
※魔法少女ここみん※
画:四宮楓様
“何でも屋ケビン&ビリー”をミラクルリボンでどうにか絡め取った“ここみん”はさすがに肩で息をしていた。彼らの波状攻撃をもろに受けた足がまだ小刻みに震えている。
「背中が不自由なゼンゾさんーとは違ったわ」
「当たり前だよ。彼らはヘタレじゃない」
「ナッくん。そんな事、言っちゃダメ! ゼンゾーさんは本来は優しい人、ブラックメイプルのBL光線に幻惑されているだけなのよ」
「じゃあ、ブラックメイプルがアーミティアスやゴゴを召喚したらやっかいだね」
“ここみん”は左手でしっかりとナッくんを抱いて、汗ばんだ右手でミラクルバトンを握り直した。
「もしブラックメイプルの魔力が異形の物どもにも有効なら…ココミックワールドの資源は無尽蔵だ。ヤツの魔力を断ち切る方法は…」
「そいつはチャカだよ」
いつの間にか“ここみん”の背中…ふわふわの羽と大きなリボンの間に黒光りするM19-357マグナムが押し当てられている。
「次元ほどじゃないがオレもなかなかのモンだろう?!」
「…まさかゲイリー・サラスさん。どうして??」
「オレは美しい人が好きなんだ」
銃を突き付けられている以上、一瞬が勝負だ。“ここみん”はバトンに念を送っているのを悟られないよう背中のゲイリーに話し掛ける。
「あなたにはベスさんがいらっしゃるでしょう?」
「その通り。しかし男はフリーだ。ブラックメイプル…オレの愛人には相応しい」
そのゲイリーの言葉にバトンの先のミラクルジュエリーが大きく反応し、雲の割れ目から輝くハートが矢印のような尾を引いてゲイリーの頭上に“落雷”した。
「オトコでも不倫になるわ! ベスさんに代わってお仕置きよ!!」
ゲイリーの背後からの攻撃を見事にかわした“ここみん”だが、その体力を大きく消耗してがっくりと肘を付いた。
「やはりブラックメイプルの魔力は人間にしか通用しないんだ! しかし…」
ナッくんは危惧していた。最悪の事態を…そしてそれは今、まさにカレの目の前に繰り広げられようとしていた。
。。。。。。
「同じ人を愛する者として、いつかはこうなるとは思っていたのだけど…」
天上から声がして一人の黒髪の少女が降り立った。
それは“非現実的美少女” ガフンちゃんだった。
「同じ人を好きって??」
“ここみん”は戸惑っていた、
“非現実的美少女” ガフンちゃんは魔法少女“ここみん”と双璧をなす、なろうワールドの守り人だ。
なろうワールド最大の危機に現れるのはもっともだが、その口から“浮いた話”が出るとは…
「ガフンちゃん! 今はそんな話より力を合わせてブラックメイプルをやっつけましょう!!」
“ここみん”のこの言葉にガフンちゃんは頭を振った。
「あなたがブラックメイプルをやっつけると言うのなら、私があなたをやっつける!」
「どうして?!! ブラックメイプルは最凶下劣の地底魔人よ!! なろうワールドの敵なのよ!!」
青いチャイナドレスに身を包んだガフンちゃんは気功拳の構えを取った。
「私の…そう、『フェニー』としての“私”が愛する黒楓様を愚弄する事は、例え朋友であるあなたでも許さない!!」
「えっ??!!!」
“ここみん”の後ろを“電撃の漫画的背景”が走る!!
「今、何て??!!」
ガフンちゃんはいぶかしげな目で“ここみん”をねめつける。
「知らなかったの?!!」
「知らないって!! 何を? まさか??」
“ここみん”の顔にみるみる苦渋の表情が広がる。
「ブラックメイプルの正体は、あなたも大好きな“黒楓様”なのよ!」
「そ、そんな!! ナッくん知ってた??」
動揺を隠しきれない“ここみん”に尋ねられたナッくんは肩を竦める。
「うん! だって黒楓って、ベタ過ぎでしょ?!」
腕組みして不敵な笑みを浮かべるブラックメイプルと気功拳の構えを解かないガフンちゃんの前に“ここみん”はガックリとひざを付く。
「そう! あなたとは恋のライバル!! ちょうどいい。今ここで決着を付けましょう! どちらが黒楓様に相応しいかを! ハイ……ヤァーーッ!!!」
ガフンちゃんの手から飛ばされた気功拳はとっさに身を引いた“ここみん”の目の前で炸裂し大きく土煙をあげた。
ガフンちゃんはさらりと黒髪をかき上げ、すうーっと息を整えると手を宙で舞わせて、改めて気功拳の構えを取った。
「今のは、ほんの挨拶替わり。次は容赦しなくってよ!!」
ヒュン!ヒュン! 風を切る音がして土煙が霧散するとバトンをトワリングさせている“ここみん”が現れた。
「あなたに黒楓様を渡すわけにはいかないわ」
見栄を切る“ここみん”にガフンちゃんは不敵に微笑む。
「やっと本気になった様ね。でも私に勝てるかしら?! ハイ……ヤァーーッ!!!」
「バトンシールド!!」
繰り出された気功拳はトワリングされたバトンの前でフラッシュの様に弾け、“ここみん”の姿は、かき消されている。
「来る!!」
ガフンちゃんが腕を天に伸ばすと3本の虹の矢が降って来る。
「たかがレインボーアローごときは!!」
ガフンちゃんの放った気功拳は一度に三本の矢を弾き、漆黒の空を花火の様に染める。
と、大きな白い光の束が空を染めて振り下ろされ、既の所で身をかわしたガフンちゃんの黒髪がひと房、風に飛ばされていく。
「乙女の命を切り裂かれた!!この罪、万死に値する!!」
体制を崩しながらもガフンちゃんから放たれた気功拳は大きくカーブして第二波のバトンソードを振り下ろそうとしていた“ここみん”の右羽を直撃してむしり取った。
「楽に逝かせはしない!!」
右羽を失い、墜落しそうになる“ここみん”の左羽に狙いを付けたガフンちゃんの左肩に虹の矢が刺さる。
「あいにくと逝く気はないわ!!」
ガフンちゃんが左肩を抑えた一瞬の間に“ここみん”は地面に降り立ちバトンを構える。
「それでこそ我がライバル!」とガフンちゃんも気功拳の構えを取り直す。
「クククク」
ブラックメイプルはそんな二人にほくそ笑んだ。
「なろうワールドきっての美少女戦士同士の闘い! どちらも消耗したところで亡き者にしてくれる! この世の美少女はすべて我の敵なり、我、篭絡してそれを絶やさん!!」
一方、“ここみん”に抱きしめられているナッくんは、ガフンちゃん、“ここみん”の二人が放つ魔法波を振り払いながら、しきりと“ここみん”に話し掛ける。
「ねえ!“ここみん” ブラックメイプルについて気になる事があるんだ。」
「なに?! ナッくんは! 黒楓様にはガフンちゃんの方が相応しいって思ってるの?!」
「違うよ!! ブラックメイプルからは“男の子のしっぽ臭”がしないんだ!! よく利く僕の鼻でいくら嗅いでも!!」
八艘飛びでガフンちゃんの気功拳をすり抜けている“ここみん”は胸元のナッくんを窘める。
「なろうワールドではそんな事を口走っちゃいけないの!! マシュマーリンとチューインキャンのところで話してらっしゃい!!」
窘められたナッくんは少し悲し気な目で“ここみん”を見上げる。.
「だめだこりゃ!! “ここみん”、そしてガフンちゃんも!!ブラックメイプルの幻惑魔法『けんかを止めてマリア』に掛けられているんだ!! このままでは二人共、自滅してしまう!! こうなったらブラックメイプルの“正体”を暴くしかない!! 後が怖いけど…」
炸裂する気功拳の嵐を“ここみん”がジャンプしてかわしたその刹那、ナッくんは“ここみん”の胸元から更に飛び上がって空に浮かぶ月を背にした。
ぶるぶるっと身を震わせるナッくんはみるみる膨れ上がって行く。
いや、膨れ上がったように見えるが、回転しはじめたのだ。
まるでチェーンソーのように高速回転したそれは、速すぎて見えないもののように、あっという間に空気と同化した。
「喰らえ!!ブラックメイプル!!!」
「うへっ!?」
と叫ぶ間もなくブラックメイプルは、あっという間に素っ裸に剥かれた。
「キャー!!!!」「黒楓さまぁ!!!」
同時に叫んだ“ここみん”とガフンちゃんの目に晒されたのは
“あるはず”のモノが無く、フラットだけれども男の物ではない胸だった。
「そんなぁ~!!!」「黒楓様がチッパイ女子だなんて!!!」
二人の悲痛な叫びと
「女ならチッパイなんかにゃ用はねえ」とドン引きするBL光線の犠牲となった男達…
一人取り残されたブラックメイプルの足元には黒く変色したモミジの葉っぱが舞うばかり…
「キサマら!!! 絶対に許さん!!」
涙目のブラックメイプルは不器用な手でカラダに黒色モミジを張り付けて“ここみん”達を睨みつける。
「我、最凶の魔法“チッパイで失敗”を受けよ!! お前らもチッパイの苦しみを味わうのだ!!」
「そんな魔法!絶対に受けたくはない!! 」
逃げまどう二人目掛けてブラックメイプルは魔法を繰り出すが…何も起きない…
「えっ??!!」
「そうか!『チッパイで失敗』だから失敗したんだ!」
「なるほど、どんな恐ろしい魔法でも…」
『「当たらなければどうと言う事はない」』
二人してハモり戦闘態勢を取る。
しかしブラックメイプルは不敵にも高らかに笑う。
「フハハハハハ いかにも!! お前達には被害は及ばない。しかし、お前達がかわせばかわすほど“なろう”のお友達の巨乳は失われ、なろうワールドのチッパイ人口比率はうなぎ上り間違いなしだ!!」
「なんと卑怯な!!」
「女の腐ったヤツめ!!」
「グフフフ それこそ我に対する最高の誉め言葉!! さあ喰らえ!!」
「そうはさせない!!」
その声はまるで矢の様に飛んで来てブラックメイプルの足を止めた。
仰ぎ見ると…
いつの間にか現れた断崖絶壁の上に4人の女戦士が立っている
。
「私達はあなた達とキャラが被るから敢えて本名を名乗るけど…」
と4人の戦士は名乗りを上げる。
「私は千々梨マリア、そして妹の優美、その隣の黄色いリボンの子が平野ペタ、そして青色の子が微風ユレン」
「ちょっと!グリーン! 私の事はイエローって言って!!」
「すまん!ペタ」
「だからそのペタが嫌なんじゃん!!」
「ほほう!さっそく内輪もめか! そんな事でこの私に勝てると…ゲゲ!!」
ブラックメイプルの顔が恐怖に歪む。
「フフフ、気付いたようね!」と千々梨マリアはグイっと胸を反らす。
「私達は見ての通り『貧乳』よ!! あなたの攻撃は通用しないわ!!」
「ちょっと!! Cカップのお姉ちゃんは下がってて! さあ!“ここみん”とガフンちゃん!! ブラックメイプルからの攻撃は私達がすべて受け止めるから!! 思う存分!ブラックメイプルを叩きのめしてしまって!!」
「なにを猪口才な!!」
とブラックメイプルが放つ『チッパイで失敗』はすべて三人の戦士の“胸”に吸収され、何も変化のない事に皆、自虐の涙を流した。
「ここみん! 身を挺して闘う彼女達の涙を無駄にはできないわ! ここは二人力を合わせましょう!! 既に消耗が激しくて、お互いピンだと大技は繰り出せないけど、私があなたのミラクルジュエリーに気功拳をブチ当てるから」
その言葉に“ここみん”はウィンクしてバトンに念を送り始めた。
ガフンちゃんは気功拳の構えで“気”を貯めていく。
そして二人目くばせした。
「ハイ……ヤァーーッ!!!」
「矢かうさかかかかかかかさたぁぁ!!!」
“ここみん”の最終奥義『ミ☆★ 失敗作品集 ★☆彡』が発動し、ブラックメイプルはブラックホールに吸い込まれる様にその中へ飲み込まれていく。
「このままでは終わらんぞ!! 世にチッパイのある限り、必ず我は復活する!! 覚えておけ!! “ここみん”!!!」
。。。。。。
「なんで、私を名指ししたんだろう…?」
すべてが終わり、変身を解いた“ここみん”はナッくんにミルクをあげながら独り言ちる。
ナッくんはただ「ピチャ……ピチャ……ピチャ……」とミルクを飲むばかりだ…
黙して語らないナッくんに“ここみん”はため息をつく。
「ナッくん! また『白き魔獣』になってる!」
使い魔の躾には厳しい“ここみん”ではあるが…ナッくんからミルクを取り上げたのはそれだけが理由では無さそうだ。
おしまい
※魔法少女ここみん※
画:四宮楓様
四宮楓様、ありがとうございました\(^o^)/




