11-12 結ばれる代償
「里見さんと結ばれるには、一つ手順が必要です。まず、脳死により霊体が抜けたばかりの女性を探します。そこに、里見さんの魂を埋め込むのです。多少、前の女性の記憶も混ざるかもしれませんが、それは里見さんが別人格として生きていく上で必要なものですので残します。これで太田さんの望まれる里見さんを現世に移す作業が完成します。もちろん見た目は変わりますがね。ここまでよろしいですか?」
義弘は、見た目が変わるということに若干の不安を抱きながらも、頷いた。
「ただ、これには代償が必要です。里見さんには『命』がありません。ですから、太田さんの余命から半分を里見さんに与えます。太田さんの余命をお伝えすることはできませんが、あと四十年あったとすると、二十年ずつを二人で分けることになります。それでも、里見さんと結ばれたいですか?」
「もちろんです」
義弘は即答した。命を半分削ることに恐怖を感じたが、里見と結ばれるという目的達成のため、そこは考えないようにした。
「では黄泉の力をお借りするため、特別なお風呂に入っていただきます。私は浴室の入り口にてお待ちしております」
梢女は軽く頭を下げて、消えて行った。