7-3 戦士 拓哉
次の日の二十三時、京子は梢女が言う通り拓哉の部屋へ行った。
拓哉はまた寝落ちの最中だった。ただ、ゲーム画面は動いていた。
真ん中に鎧を着たキャラクターが何かを叫んでいる。
「うあ、何これ!どうして?」
「どうしたんですか?」
京子は思わず口に出していた。
「えっ、母さん?俺が見えるの?」
京子はそのキャラクターが拓哉であることを瞬時に理解した。
「拓哉なんだね」
「やっぱり母さんなんだ。……俺、よく分からんけど……ゲームの世界にいるみたいだ。夢見てるんだろうか、俺……」
京子は拓哉はパソコンの前で寝ているということを伝えた。
「そうか、安心したよ。俺って、ゲームやりすぎてるから、こんな夢みるんだ。しかもここ、ドルフヴェルム城……まだ三人しか辿り着いていない最後のステージだ」
なんだか嬉しそうにしている拓哉の周りに、たくさんのメッセージが現れた。
「タックンいきなりラスボス?石まだ二つしか集めてないとか言ってなかった?」
「その装備何?どれも現時点で最強じゃん」
「四人目の城到達だね。頑張ってラスボス倒したら一番乗り。歴史に残るね」
「やっぱり最後は一人で行くんだ。回復どうするんだろ……」
「拓哉、お前の周りにたくさん文字が現れているよ」
「フレンドが騒いでるだけだから。放っといて。……それより、夢なら夢で楽しみたいから、奥に行ってみるよ」
拓哉は城の扉を開けた。