表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/162

6-5 襖の向こう

「いらっしゃいませ、早希様。お待ちしておりました」


 那楽華に行くと、梢女が迎えてくれた。


「梢女さん、私が来るのを知ってたみたいですね」


「ええ、……と言っても数分前ですけどね。タバコ屋のじいさんが知らせてくれるんですよ」


 早希は(なぜタバコ屋のじいさんが)と思ったが、気にしないことにした。


「そんなことより、早希様、あなたを待っていました。一つ引き受けてほしい仕事があるのです。お時間よろしいですか?」


「ええ、娘はしばらく帰ってきませんし……梢女さんの願いであれば、できるだけのことをしますよ」


 梢女は早希が持ってきたお風呂セットを見た。


「あっ、お風呂はその仕事の後がいいと思います。汗を掻くと思いますから」


 話をしているうちに、早希は梢女に先導されて、ロビーの端に来た。


「ここに襖がありますよね」


 梢女が指差す先には、周りの雰囲気とはミスマッチな襖があった。


「この襖の奥に行ってほしいんです」


「それだけ……ですか?」


 妙な依頼に、早希の声は裏返った。


「そうです。まずは行ってみてもらえますか?すると私のねらいも分かるはずなので……。けっして危険なことではありません。むしろ早希様にとっては有益なことでございます。ここは私を信じて、どうかーー」


「いいですよ」


 早希はあっさりと承諾し、襖を開けた。人の家の匂いがして、奥から声も聞こえた。早希が立ち止まっていると、梢女が背中を押した。


「では閉めますね。頑張ってください。あと、戻る時はこの襖からどうぞ」


 襖が閉められ、早希は声が聞こえる方に歩いて行った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ