5-5 決心する女
「これでも飲んで、落ち着いてくださいよ」
二人は再び三途砂のテーブルに着いた。
「なんなんですか?ここは」
瑠美は震えが止まらなかった。
「真実を見つめ、本当の自分を探り、悩みを解決する那楽華の湯でございます。ですから話してください。あなたは今、どうされたいのかを」
「私は……私は一樹さんが私の所へ戻ってきて欲しいだけなんです」
「そして、結婚したい。ということなんでしょう?……ですからそれは無理なんです。彼は奥様も含め、家族を愛してらっしゃいますし、生活を変えようなどとは全く考えていません。あなたはまた怒るかもしれませんが、元々あなたの所に彼の心は無いのです。ですから、自分の所に戻るというのも当てはまらないのでございます」
瑠美はコップに口を当て、ゴクッと一口ジュースを飲んだ。
「じゃあ……壊してやりたい」
「えっ?」
小声で言うので、梢女には聞き取れなかった。
「その……一樹が愛している家族を壊してやりたい。そうしたら、私の方に振り向くかもしれない。そうでしょう。梢女さん」
「それでは裁判でも起こしてみますか?結婚詐欺ということで……」
瑠美は梢女の顔をしっかりと見て言った。
「なんだってやるわ。……やり方教えてくれるんでしょう?」
「はい、喜んで」
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