5-3 失礼な女
どうして?何をいきなりーー。と思ったが、瑠美は少しだけ話してみることにした。
「お金に困っている友達がいて、その子にお金を貸してあげるべきかどうか迷ってるのですよ。ただそれだけで……」
「お幾らお貸しになるつもりですの?」
「いいじゃないですの(不躾な店員ね)。金額までこんな場所で話すつもりはございません」
「そうですか。お客様にとってその方は余程大切なお方なのですね。私どもはそのお方についてもお調べすることができるのですが、どんな方なのかお話しいただけませんか?」
「調べられるって、どんなことを調べられるのですか?」
「大概のことは分かりますよ」
今まで胡散くさいと内心思っていた瑠美の心が揺れた。それを知ってか、梢女は情報提示を求めてきた。
「その方の写真があればいいのですけど……」
「ありますよ。これでよければ」
瑠美はスマホの画像を見せた。
「三島 一樹さん三十二才。同い年の奥さんと二人の娘さんの四人家族です」
驚くことに梢女は写真を見ただけで一樹のことを言い当てた。
「彼はとても家族を大切にしていますし、家族も彼のことを愛しています。失礼ですが、あなたの入れる隙はありませんよ」
この一言に瑠美は条件反射的に反発した。