九話 契約の大切さ
案内された寮の部屋で一夜を過ごした俺達は、再び理事長と会っていた。
「昨日はよく眠れたかい?」
「はい。昨夜はありがとうございました。これからお世話になります。宜しくお願い致します。」
「あぁ、こちらこそ宜しく。今日も竜種を連れているのだな。契約しているのか?」
「紹介が遅れまして、申し訳ありません。親友のルヴィリカです。」
俺を胸ポケットから出して、掌に乗せて紹介するシヴィ。
「キュー。」(ルヴィリカです。昨日は挨拶をせず、すみません。)
「お伺いしますが、契約とは何でしょうか?」
「人と一緒にいる魔物が暴れた時など言うことを聞かせる為に縛りを付けておくことを契約と言う。」
「キュッキュ!!」(俺が暴れたりするわけないだろ!!シヴィを困らせるようなことをするわけがない!)
「魔物は危険な存在だから、周りの人に迷惑をかけないように予防をしておくことが大事だ。」
「キュー。」(返す言葉もないです。操られでもしたら、自分の意思とは関係なく迷惑かけることになるだろうし。)
明らかに落ち込んだ俺をシヴィが撫でる。
「名前を付けることで半分契約出来ているのだが。ふむ。竜種の知能は高いが、ここまで会話の成立する竜種には初めて会ったな。」
「!?ルヴィリカと話せるのですか!?」
俺もシヴィも驚いて理事長を見た。シヴィは撫でる手を止めていた。
「念話を使えれば魔物の言っていることがわかるようになる。上級に近付けば、念話を使う魔物もいるな。」
念話あるのか。覚えよう。そしたらシヴィと話せる。
「念話とは…」
「頭の中でイメージした言葉を話したい相手に伝えることだ。その間、相手の頭の中の言葉もわかるようになる。」
「ありがとうございます。念話も上級魔法ですよね。習得してみせます。」
「そうだな。精進しなさい。契約も上級魔法だが、比較的簡単だ。なるべく早く学んで、契約を完成させなさい。」
「はい。」




