八話 王都到着
朝、乗り合い馬車に乗って、夕方、王都に着いた。長かった。俺はシヴィのポケットの中で寝たり、ご飯もらったりと、ゴロゴロしてただけだけど。その間、「食べて寝ると太るよ。」なんて、こそっとシヴィに言われた。はっきりと聞こえたのは、一緒に乗っている人達が静かだったから。そして、太るのは良くないと思った俺だったが、ポケットの中が気持ち良く揺れるものだから、眠気に勝てず寝てしまった。
「これが王都。」
「キュ!?」
シヴィは驚きとわくわくとを混ぜた表情をしていた。俺も似たような表情をしているだろう。俺達の故郷とは全然違うのだから。故郷は近世日本の町並みに似ていて、所々に畑がある。そこから少し離れて丘を上った所にある、中世ヨーロッパの町にありそうな家が領主の屋敷だ。対して王都は中世と近世のヨーロッパの町並みが混ざったような感じで、中心に近世ヨーロッパ風の城がある。
「スクゥーレ学院を探そうか。城の横にあるらしいから、中心に向かえば見つかるかな。」
「キュー!」(そうだ!)
学院を探さないと!楽観的だけど、迷子になれば人に聞けば良いだけだしな!
暫く歩くと、迷子になることなく学院に辿り着いた。一般の建物より高い位置にスクゥーレ学院と書かれた看板があったんだ。迷子になる方がおかしい。すると、学院から人が出てきた。俺達に気付いたみたいだ。
「学院に何か用事かな?」
「はい。私はシルヴィ・ランスと申します。スクゥーレ学院で学ばさせて頂く為に参りました。」
「あぁ、デビエン・ノブル・スン侯爵領から来た子だね。私はスクゥーレ学院の理事長をしているスロウ・ノブル・スクゥーレだ。待っていたよ。だが今日はもう遅い。寮の君の部屋まで案内しよう。」
ノブルということは、この人も貴族か。それに理事長でもある。そんな人が案内してくれるとか、有り難すぎだな。
「ありがとうございます。宜しくお願い致します。」
デビエン・ノブル・スン侯爵はリノアの父親です。




