五話 覚悟
「僕、魔法と剣術をもっと学びたい!」
そろそろ一年経とうとする頃、シヴィは両親に言った。
「駄目だ。ルヴィリカのことを知りたいと言ったから許したんだ。それに金がない。」
「ここでは初級しか教えてもらえない。中級、上級を学べば強くなれるし、ルヴィのことももっと知れると思うんだ。お金は自分で稼ぐから!お願いします!」
俺のことを知りたいと思ってくれることは嬉しい。俺もシヴィをもっと知りたい。願わくば、シヴィと話したい。
「稼ぐ当てはあるのか?それと、王都に行けば、一人で生活しないといけない。俺も母さんも頼れないんだぞ?覚悟は出来ているのか?」
「当てはある!覚悟も出来てる!それにルヴィも一緒だから一人じゃない。」
俺を頼ってくれるのは嬉しい。嬉しいのだが、七歳の子どもが本当に覚悟出来ているのかどうかは定かではない。それでも、当てを作ってるシヴィは偉いと思う。
「そうだな。それで?何処にお世話になるんだ?」
「領主様の屋敷。そこなら王都で必要な常識も身に付くって勧め…」
「!?本当に了承は得ているのか!?」
まぁ、驚くよな。母親は一回も会話に参加していないが、両親揃って固まっていた。待て待てと言わんばかりに、シヴィの言葉を遮った父親。実は、もっと学びたいと思った生徒はシヴィが久し振りだったようで、先生が喜んで領主に相談していたんだ。それで、領主の屋敷で十歳まで働いたらお金を出すと言ってくれたんだ。
「貰ってるよ。両親から許可が出れば良いって言われたんだ。」
「許可は出す。だが、条件がある。絶対に自分の決めたことを曲げるなよ。それが約束出来ないなら、この話は無しだ。途中で破ってもだ。その時は家で俺の仕事を手伝ってもらうからな。」
「わかった。ありがとう。」
優しいとは思ったが、大変だな。頑張れ、シヴィ。
◇シルヴィ日記◇
魔法と剣術を学びたい、そう言った。ルヴィについて知りたいことも事実だ。だけど、これ以上、竜種について学べることはないと思う。先生も教えてくれた情報しかないと言っていたし。だから、ずっと一緒に居れば、ルヴィのことがわかると思うんだ。そして王都で強くなってルヴィを護るんだ。




