三十五話 エルフの処遇
俺達は謁見の間に来ている。初めて来たな。王様には会ったことあるけど、正式に会っていたわけではなかったからな。シヴィは片膝を立てて頭を下げている。クロノアは一瞬同じことをしたが、直ぐに立ち上がった。俺は何もしなくて、護衛が「不敬だ。」と言ってこっちに来ようとしたのを王様が止めてくれた。
「そなたがシルヴィ・ランスの…。随分と変わるのだな。まぁ、良い。エルフを捕まえたと聞いたが、眠っておるのか。」
「はい。」
クロノアが答えるが、起こすことも出来る。
「起こしましょうか?」
俺が敬語を使ったことで、クロノアとシヴィが誰?とでもいうように驚いてこっちを見た。王様はどうした?とでも言いたげだ。
「起こせるのか。では、そうしてくれ。」
起きろ。一人に向けて唱えた。俺と話した奴だ。
「ん…。ここは…。」
「おはよう、お兄さん。よく眠れた?」
笑顔で言ってやった。
「!?何故私達が捕らえられている!?おい、起きろ!」
「無駄だよ。随分効いてるみたいだから、暫くは起きないよ。捕らえられたのはね…俺に意地悪したからとでも思っときなよ。だから、王様に謝罪しなよ。」
驚くエルフに笑いながら言った。嘘は言ってない。
「お前のような子ども、私の手で…!?」
怒って攻撃しようとしたが、何も出ない。魔力が使えないことに気付いたようだ。
「茶番は済んだか?」
「はい。」
王様の言葉に俺は頷いて、一歩下がってシヴィと同じ体勢を取った。それにまたもや、シヴィとクロノアが驚いてこっちを見る。そんなに驚かなくたって良いじゃないか。俺だってしようと思えば出来るんだ。
「エルフよ。人間を見下し、国に入ることさえ拒んできたお主達が何故今、この国に来た?」
「お前ら人間に教える義理はない。」
強気だ。でも、捕まってるから様にならない。笑える。
「今、お主達は魔力も使えず、捕らえられている。立場をわかっておるのか?此方は何時でもお主達を殺すことが出来るのだぞ。」
「だから何だ。私達を殺せば、他のエルフがお前達を滅ぼしに来る。それだけだ。」
「それは残念だ。…お主の獲物だ。始末しなさい。」
俺に向かって言ってきた。ということは、経験値を独り占めして良いってことだな。
「ありがとうございます。」
俺はエルフの前に立った。
「お前のような子どもに何が出来る。」
まだ強気だ。そんなエルフに洗脳を使う。
「入国理由を言え。」
敢えて口に出した。「誰が言うか!」と反抗しようとしていたが、次第にエルフの目が虚ろになっていき、口が開いた。
「ルヴィリカというフェアリードラゴンを探す為。」
「探す目的を言え。」
「契約する為。」
「竜を集める目的を言え。」
「エルフが世界を支配する為。」
もう良いだろう。俺はホーリーアローにアイスを合わせて、エルフの心臓に刺した。全員にだ。すると、全身が氷った。最後にファイアボールで形がなくなるまで燃やした。




