三十四話 エルフ捕獲
シヴィにエルフが居たことを念話で伝えると、捕獲指示が出た。倒さずに捕獲する方法…眠らせるのが良いかな。俺はエルフ達に近付いた。
「お兄さん達何してるの?」
「子どもには用はない。」
そんなに童顔か?まぁ、良いや。
「そんなつれないこと言わないでよ。」
俺は一人のエルフの上着を掴んだ。
「邪魔だ。私達は忙しいんだ。他所に行け。」
「優しくない人は嫌いだなぁ。」
眠れ。笑顔で言った後、そう念じた。するとあら不思議。エルフ全員が眠った。他にも居たらしい。少し離れた場所で同時に人が倒れる音がした。驚く住民達。
「酷いこと言うからこうなるんだよ。」
眠ったエルフ達の前に立つ俺は住民に聞こえるように言った。そうして、エルフ全員を回収して、ホーリープリズンに入れて城まで戻った。城門にはシヴィとクロノアが迎えにきてくれていた。一人では出れたけど、一人では入れないからかもしれない。
「ただいま!捕まえてきたよ!」
衛兵が俺を睨む。
「倒し…眠ってるね。…クロノア殿下、問題ありません。」
驚きかけて安心したシヴィは、クロノアに報告した。
「ルヴィリカ、魔力を封じることは出来るか?」
「出来るよ。…はい、完了。」
また、衛兵に睨まれたが無視する俺。ロックでエルフ全員の魔力を封じた。エルフの手首には光の手錠のようなものが付いた。
「父上の所に行こうか。」
~シルヴィ視点~
『シヴィ、エルフ見つけた。』
俺の心配を余所に城下町に出掛けたルヴィから突然、念話が届いた。警備を強化していたはずなのに、どうやって入国したんだろう。
「クロノア様、エルフが城下町に居るそうです。」
「ルヴィリカか。この国にお前達がいることはいずれわかることだ。今、捕らえて、入国理由を吐かせた方が良いだろう。」
泳がせて、城に侵入されても良くない。これが最善かな。
「そうですね。伝えます。」
『ルヴィ、捕まえること出来る?』
『楽勝!』
倒して捕まえようとしてる?
『倒したら駄目だよ。人間でエルフに勝てる者は少ないんだ。』
『わかった。』
大丈夫かな。
「大丈夫だろ。あいつは妖精だ。それに賢い。工夫ぐらいするだろう。城門まで迎えに行こうか。」
口に出てたかな。クロノア様に気を遣わせてしまった。
「そうですね。」
そうして俺達はルヴィを迎えに城門まで行ったんだ。




