三十二話 人化
昼はシヴィの肩の上で過ごし、夜は人化に向けての研究をしている。魔力の流れを人型にしないといけないだろう。とか、俺は小さいから何倍もの大きさにならないといけないだろう。とか、尻尾は?翼は?角は?とどうするか考えながらイメージを作り上げている段階だ。
「課題が多いね。」
「そうだな。一旦、大きさを変えてみようかな。」
この部屋の中に収まる程度の大きさをイメージする。魔力の形は竜のままに。目を瞑っていたから、開けてみる。シヴィより視界が上になっていた。ちゃんと、足は床に着いている。
「変な所ないかな。」
「ちゃんと全部大きくなってるよ。」
「ありがとう。戻るね。」
元の大きさに戻るイメージをする。余裕が出来たのか、さっきより大きさが変わる感覚がわかる。暫くはこれの練習かな。
巨大化、縮小化と名付けた俺は、何日間か、実験を兼ねて練習した。一定の大きさになるのではなく、色々な大きさになれるようになった。元の大きさには、リターンと唱えれば元に戻るようになった。
「今日は人化に挑戦だ!」
「大丈夫かな。」
「大丈夫だよ。たくさん人と会ってきたんだから。」
ということにしておく。元人間だ。自分の顔だって見たことあるんだ。大丈夫。人の姿をイメージする。一番イメージしやすいのはやっぱり、転生前の自分の姿だ。体の形が変わる感覚がする。体も大きくなっていく。尻尾も翼も角も引っ込んでいく。終わっただろうと思って、目を開ける。すると、薄桃色で後ろが徐々に雪のように白い髪色をした、転生前の姿で姿見に写る自分が居た。
「ルヴィ、凄いよ!」
「出来た!…服を着ないとだな。」
自分のことのように喜ぶシヴィ。だが、喜ぶ前に服だ。「そうだね。」と言うシヴィと笑い合った。




