三話 勉強会
ここは田舎だ。領主が居る。俺とシヴィは領主の屋敷のとある部屋で勉強中だ。何故か。六歳から十歳の子どもに一年間勉強を教えてくれるんだ。この年齢であれば何歳で来ても良いらしい。だが、なかなか集まらないようだ。無償なのにだ。田舎だから働き手を奪われたくないのだろう。シヴィは俺のことを知りたいと言って両親を説得していた。嬉しいな。
領主の屋敷では、簡単な読み書き計算、そして魔物、魔法、武術について教えてもらっている。と言っても、俺は見て聞くだけだ。魔法以外は。シヴィ、頑張れ。
文字は日本語のように一音一文字。五十音表が作れる。お金の単位はリン。考え方は日本と全く同じで、一円が一リン、十円が十リンだ。
魔物は魔力を持った人間以外の生き物のことらしい。人間には魔力がある。馬や牛のような家畜には魔力がないんだと。じゃあ、俺は?と思ったら、シヴィが聞いてくれた。魔力があるから魔物と言われた。
魔法は初級魔法を教えてもらっている。中級、上級を覚えたければ、王都の学校に行くか、魔導師に弟子入りするのが良いらしい。魔法の練習には俺も参加する予定だ。魔力があるなら出来るはずだからな。
武術は基本の型を教えてもらっている。俺は四足歩行だから、回避の仕方を覚えさせてもらおうかな。
やってまいりました!初めての魔法練習。今までは全部、知識として机上で教えられていたからな。知識があって初めて魔法が使えるんだ。さて、最初は体内の魔力を感じて?これか?体の中で何か流れてるやつ。シヴィも何かわかったみたいだ。
「魔力を感じましたか?そしたら、手に集中して水球をイメージしなさい。」
俺の場合は口かな。水球、水球…出来た!シヴィも出来ていた。
「先生!出来ました!…!?ルヴィもです!」
「!?…コホン。よく出来ました。これは一般的にウォーターボールと呼ばれる技です。前にも話しましたが、初めて使う魔法を安易に技名で出そうとしないこと、良いですね。」
「はい!」
この世界の魔法は、最初の一回目はイメージして技を作り上げる。二回目以降は技名を付けて使う。何故なら、イメージのない技名を言えば、魔力が暴走して、イメージの追い付かない脳が焼かれてしまうかららしい。最悪、死に至るとか。恐ろしい。
◇シルヴィ日記◇
ルヴィと呼ぶようになっても、たまにルヴィリカって呼ぶと名前ってわかってるんだなぁという反応をするルヴィ。魔物って賢いんだなぁ。そもそも魔物って何だろう。そういえば、領主様の屋敷で教えてもらえるって聞いたことあるな。今度、父さんと母さんに相談してみよう。
父さんと母さんに許しをもらって、領主様の屋敷に通うようになった。ルヴィも教えを聞いているのかなと思っていたら、本当に聞いていた。先生の言う通りに魔法を使ったんだ。僕だけでなく、先生も驚いていた。先生も驚く程、ルヴィは賢いのかなぁ。




