二十六話 エルフ
更に奥に進むと、ポイズンスライムやアイススライム、サンダースライムがうようよ居て、倒していった。スライムは中級でも比較的倒しやすかった。そんな中、ウォスプやアイスウルススも倒した。ウォスプは毒で中級だけど、蜂だからフレイムバーストで群れを一気に倒した。アイスウルススはホッキョクグマに似ていた。蜘蛛やマカクみたいに苦戦はしたけど、なんとか倒せた。
ある空間に出ると、洞窟の中なのに湖とその中心に一本の木を見つけた。何故?と思ったが、ここは迷宮だ。あってもおかしくはないと諦めた。そしてそこには、一体の黒い狼と横たわる金髪の青年がいた。狼は青年に寄り添っている。契約した魔物なのかな。
グロウ、シャドウウルフ、10/50、2533/8353、512/32153。
クロス・エト・ノワール、エルフ、37/500、13/15009、8/139345。
鑑定してみると色々、驚いた。上級の魔物にエルフ。俺も上級だけど、初めて会った。エルフにも。というか、この世界にエルフ居たんだ。魔力量が桁違いだ。そして、瀕死に近い状態だ。何があったんだ。
俺が近付くと、グロウが唸る。どうしたものか。
「クークー。」(助けさせてくれ。)
久しぶりに声出したな。魔物に念話は不要だろうと思ったんだが、鳴き方が「クー。」になってる。
伝わったのか、唸るのを止めてくれた。腹から血が出ている。大怪我だ。ハイヒールをかけた。これで怪我は治るはず。体力と魔力も多少は回復するはずだ。
「んっ。ここは。」
「クーン。」
気が付いたみたいだ。碧眼が見えた。グロウが心配している。
「私は怪我をしたはずだが。グロウ…が治せるはずはないか。」
グロウを撫でながら言うクロスは、やっと顔を上げて、俺を視界に入れた。
「何故こんなところに竜種が。…妖精か。なるほど。君が助けてくれたのだな。ありがとう。」
鑑定をされた。頭の中を覗かれているような感覚。シヴィのような知った間柄にされる時は何も思わなかったが、知らない奴からされると、こんなに嫌悪感があるのか。
「クー。」(どういたしまして。)
「君の主はここには居ないのか?」
俺は頷いた。
「そうか。君にお礼がしたい。一旦この迷宮を出ようか。」




