二十四話 二度目の約束
「あんなに傷だらけで帰ってくるとは思わなかった。」
昼頃に目が覚めると休日らしいシヴィに不安そうに言われた。そういえば身体が綺麗になってる。
「身体、シヴィが綺麗にしてくれたのか?…ありがとう。」
シヴィが頷いた。
「どこまで行ったの?どうしてそんなに強くなりたいの?」
泣いてはないけど、泣きそうな顔だ。
「学院の実習で行った森を抜けて、海を越えた所にある洞窟まで行った。俺は、何かあった時の為にシヴィを護れる力が欲しい。」
「…スワの森の向こう側…ガイスの海とガイスの迷宮かな。あそこは強い魔物が多いはず。下手したら死ぬんだよ?そこまでしてルヴィに護ってもらいたいとは思わない。一緒に居てほしいよ。」
だから、中級の魔物が居たんだ。
「俺は上級の魔物に進化したんだよ?そんな簡単には死ぬ気はないよ。」
「じゃあ、何で傷だらけで帰ってきたの?」
珍しくシヴィが怒っている。あれだけ滅茶苦茶な戦いをしたんだ。傷だらけでない方がおかしい。
「それは…魔物らしい戦い方を知らなかったから。」
「本当に?相手が強かったんじゃないの?中級の魔物だったとか。」
俺はビクッとしてしまった。図星だ。
「そうなんだね。もうそこには行かないで。お願い。」
不安そうに言うシヴィ。お願い…約束として縛ろうとはしないんだな。契約の縛りに限っては使ったことがない。
「それは出来ないよ。ここら辺の魔物だと倒し尽くさないと、レベルが上がらないんだ。それは良くないことだよ。」
「自分で訓練すれば…」
自信なさげに言った。シヴィもわかっているのだろう。
「それこそ中々上がらないよ。」
「それなら、危ないと思ったら、絶対に帰ってくること!死んだら駄目だからね。」
これも約束だ。シヴィらしいや。
「わかった。」




