二十一話 始まり
シヴィはクロノア直属の騎士になることを選んで学院を卒業した。これには両親は驚き喜んでシヴィを送り出した。
他の同僚は王立騎士団、王立魔法師団に入団した者が多かった。少数派としては料理人、薬師になった者、実家に戻る者がいた。
シヴィは今、王直属の騎士、モノス・ライトの補佐として仕事を学んでいる。その間、俺は暇をしていた。
「なぁ、シヴィ。ちょっと出掛けて良いか?」
仕事を終えて、城の与えられた部屋で寝ようとしているシヴィに言った。
「今から?」
あ、言葉が足りなかった。
「違う。明日から。」
「良いけど、どこに行くの?」
「この世界を冒険するんだ。そして強くなりたい。」
「それは帰ってこないってこと?」
寂しそうに言われた。
「帰ってくるよ。俺もシヴィと離れるのは嫌だからな。ただ毎日帰ってくるかはわからない。それでもシヴィが呼んでくれれば絶対帰ってくる。」
「それなら、約束して。遅くても必ず一週間に一回は帰ってくるって。」
それはホームシックになりそうだな。
「わかった。約束だ。」
「もう今日は遅い。寝よう。…おやすみ、ルヴィ。」
「おやすみ、シヴィ。」
その日シヴィは、いつもと違って、俺を抱くように眠った。
さて、俺が知っているのはアース王国の王都に比較的近い森や洞窟だけだ。それも馬車で一日かかる距離くらいの近さ。学院の三年生の実習で行った場所だ。それより遠くに行くにはやっぱり、そこら辺に転移して移動するのが良いよな。ということで、転移を使う。
因みに人間は転移出来ない。この世界の人間に転移の理屈は理解が難しいみたいだ。シヴィもマロン先生も頭に疑問符を浮かべていた。
転移した先は森の入口。森に入って、更に王都から離れる方角へと飛んで進む。途中ゴブリンやスライム、ホーンラビットを多く倒したがレベルが一つしか上がらなかった。そして森を抜けた先はトレントの群れが居て、その後ろを見ると海が広がっていた。トレントは俺を見つけると、手前の何体かだけが襲ってきた。だから、アイシクルで攻撃したんだ。だが、一撃で倒せなかったから、ホーリーアローで一気に倒した。すると、残りのトレントは怯えて俺から離れた。全滅させると環境問題とかあるかもしれないからしないけど、そんなに怯えなくても良いと思うんだ。




