十九話 一つの手段
三年生になると、毎日が実習になった。経験値稼ぎまくりだな。俺のレベルは48/50になった。多分50になったら進化出来るんだろう。だが、人間は違うようで、シヴィとクロノアのレベルは28/100と、年齢の二倍くらいになると上がりにくくなるようだ。人間が進化するなら何になるんだろうな。仙人とかか?それはさておき、シヴィは悩んでいる。
「卒業までまだ時間はあるんだ。ゆっくり悩んだらどうだ。焦って決めると後で後悔するぞ。」
「そうなんだけど。」
「見学しても良いんじゃないか?」
「!?考えもしなかった!ルヴィありがとう!」
そう、将来の仕事をどうするか悩んでいるのだ。周りはクロノア直属の騎士か王立騎士団のどちらかだろうと噂している。本人はそれ以外に、実家に戻って父親の仕事を手伝うかも考えているのだ。
「王直属の騎士と王立騎士団の仕事を見学したい?騎士団の方は良いが、もう一方は父上に確認が必要だ。」
「クロノア様、ありがとうございます。」
そうして始まった見学で、何故か訓練に参加させられているシヴィ。思ってたのと違うというような表情で続けているとクロノアがやって来た。
「何だ。訓練に参加していたのか。父上の許可が出たがこのまま続けるか?」
「…いえ、クロノア殿下、お願い致します。」
シヴィは息を整えてクロノアに丁寧に言った。クスッと笑うクロノア。流れでこうなったが、シヴィは頑張った。偉い。
「では、着替えてついてこい。」
「はい。そうさせて頂きます。」
王直属の騎士は一人だった。騎士というより、護衛兼秘書。騎士団が暑苦しい集団だとするなら、こちらは物静かな守護者と言ったところか。シヴィは先程よりは興味を持って見ていた。
「収穫はあった?」
夜、収穫があったのは見ててわかったが、敢えて質問した。
「騎士団は何か違う。あれで自分が強くなれるとは思えない。自分らしく居られるとも思えなかった。」
申し訳なさそうに言うシヴィ。
「直属の騎士は?」
「大変そうだけど、相手がクロノア様だと思うと、自分らしく居られると思った。王様と騎士の方、二人とも仲良さそうだったね。」
思い出しながら、微笑んで言うシヴィ。
「そうだな。今日決める必要はないからな。見学は一つの手段だからな。」
「うん。ルヴィ、ありがとう。」
「どういたしまして。」
俺も進化先どうしようか考えないとな。