十六話 おふざけ
あの後、政務があるからとクロノアは二泊三日で帰った。「城に遊びに来るか?」と笑って言っていたが、「ご冗談を。」と笑って流していたシヴィ。その後は特に何もなく長期休暇が終わった。
学院の二年生に進級すると、一年時の成績とクラス分けが発表された。成績は一位がクロノア。二位がシヴィ。三位からはほとんどが貴族の爵位順になっていた。結果、魔法全部と剣術で講義が一緒だったクロノアとシヴィは必然的に二年生でも同じクラスになった。
「シルヴィ、頑張ったな。」
「ありがとうございます。クロノア様も流石です。」
お互い笑って誉めている。
「当然だな。」
「王子だからな。」
突っ込む俺。
「王子は関係ないだろう。王子だって人間だ。苦手なことくらいある。」
「例えば?」
「こら、ルヴィ。ふざけすぎだよ。」
シヴィに怒られたちった。初めてふざけた時はシヴィもクロノアも驚いて、シヴィに怒られた。だがその夜、「たまにはしても良いはずだよ。クロノアのこと、友と思ってるんだろ?」と言ったら、「うん。」って言った。可愛いかよ。それはさておき、その時ふざけは続けようと思ったね。
「良い。楽しめた。だが、賢い相棒を持つのも大変だな。」
笑って言ったクロノアに対して、苦笑いをしたシヴィ。俺は素知らぬ振りをした。そんな俺をクロノアが見た。何だ?
「シルヴィ、少しだけルヴィリカを借りても良いか?」
突然、真面目な顔になったクロノア。
「?少しだけですよ?」
疑問を浮かべながらも了承するシヴィ。
「いや、いつも一緒だから、借りれないかと思っただけだ。」
いつも自信満々なクロノアが不安そうな表情をした。
「クロノア様だからですよ。」
「そう言ってもらえるのは嬉しいものだな。」
微笑むシヴィに安心して笑顔に戻ったクロノアだった。