十四話 帰郷
学院に通い始めて一年経つ頃、漸く長期休暇になった。期間は一ヶ月くらいだ。その間に先生達はそれぞれの成績を出してクラス分けまで行うらしい。対して、実家通いの学生はもちろんのこと、寮通いの学生も実家で過ごす者が多くいる。シヴィもその一人だ。
「ただいま。」
「お帰りなさい。一人で大丈夫だった?」
母親が心配そうに駆け寄ってきた。父親はシヴィを見て、安心した様子で近付いてきた。
「大丈夫だったよ。前も言ったけど、ルヴィが居るから一人じゃないよ。それに聞いて!ルヴィが話せるようになったんだ!」
シヴィが凄く嬉しそうに、俺を手に持って、ズイッと効果音がありそうな勢いで両親に近付けた。両親の顔が少し近い。
「た、ただいま。シヴィと一緒に学んできた。」
「!?偉いぞ!二人とも!」
父親が俺を巻き込んでシヴィを抱き締めた。
「俺のことを忘れていないか?」
突然、声がした。振り返るとドアに寄りかかって腕を組んでいるクロノアがいた。そう、彼はシヴィについてきたのだ。何故か?「友の故郷に遊びに行っては駄目か?」と言われて、一緒に来ることになった。
「父さん、母さん、この方は同級のクロノア・リオ・アース殿下です。」
「なんだ、友として紹介してくれないのか?」
「失礼致しました!殿下がいらっしゃことに気付かずに!」
目を大きく見開いて驚いていた両親が、ハッと我に返って、慌てて謝罪をした。
「気にするな。家族の再会だ。それに、隠れていたのだから気付かないのも当然だ。」
「ありがとうございます!」
クロノアは家の前で「先に行って良いぞ。」と言ってシヴィを先に家に入れたんだ。気を遣ってくれたのだろう。それに気付いた両親が感謝の言葉を言うのは当然だ。
「スン侯爵様の所に挨拶に行ってきます。」
さて、リノアはどう成長したかな。