十三話 念話の種類
シヴィとクロノアと俺の三人で、教室から出ていこうとするマロン先生の所に向かった。俺は向かったというより、シヴィの手に乗せられてただけだがな。
「トワイライト先生!ルヴィリカが念話を使いました!…ルヴィ、使って?」
「マロン先生、宜しく。…シヴィ、こんな感じで良い?」
俺が何か話すべきか、その場合、何を話したら良いか悩んでいたら、シヴィが急かしてきた。だから、どうでも良いことだけど、言ってなかったことを言って、不安になった。
「これは魔物独特の念話ですね。」
「皆と話したかったから、頭に話しかけるのを止めた。」
「なるほど。そうなると相手の考えていることがわからないことになりますね。」
「しようと思えば出来ると思う。」
「理解出来ていると?」
マロン先生の表情が、試すような、今にも怒りそうな、そんな先生の顔になった。
「自分なりに理解出来れば可能だ。」
「凄いですね!こんなに賢くて、しっかりと話す魔物には初めて出会いました!どのように育てたのですか?」
先程とは打って変わって、華が開いたかのような笑顔になったマロン先生は、食い気味でシヴィに聞いた。
「私が物心着く前から一緒に居ました。そして、どこに行くにも、いつも一緒に居ただけです。」
「その時に覚えたと?」
今度は俺に聞いてきた。まだ食い気味だ。
「さあな。竜種は賢いらしいからそうなんじゃない?」
誤魔化すと、一瞬、クロノアが俺を訝しむような顔で見てきたから、覚えてない風を装った。
「他の竜種と会ったことがない?」
マロン先生は驚いた表情で聞いてきた。
「ないね。」
ないに等しい。親には一瞬しか会ってないからな。
「お互いに生まれた時から一緒にいるのね。」
今度は優しい表情で俺とシヴィに言った。コロコロ表情が変わる、楽しい先生だな。
◇クロノア日記◇
一緒に居ただけ。教えてはいないということか?もしそうなら、会話を聞いただけで、初めて話すには流暢過ぎる。先生も隠していたが驚いていた。先生も驚くのなら普通ではないはず。加えて曖昧な返事をするのもおかしい。聞いて覚えたと答えれば良いものを。今度、父上に竜種について聞いてみよう。