十一話 契約完成
キース先生は成績と分野でクラスが変わると言っていたが、講義は履修制だった。おそらく総合成績でクラスが決まるのだろう。魔法と武術は初級、中級、上級とそれぞれある。更に魔法は攻撃、防御、付与とあって、武術は体術、弓術、剣術がある。その他の講義は魔物、薬草、社交ダンス、料理、雑学がある。シヴィは魔法の中級、上級と剣術の中級、その他の講義全部を履修した。一年生の魔法上級は区別がなかったから、全部で十科目だ。詰め込み過ぎじゃないかと思ったが、皆より一つ多いくらいだった。魔法と武術は、ほとんどの平民が初級、貴族が中級を履修している。平民の中に貴族、貴族の中に平民が混ざると目立つというもので、シヴィも目立っていた。入学初日から目立っているからか、本人は気にしていないようだが。
「シルヴィ、初級は学んでいたのだな。」
クロノアが話しかけてきた。クロノアは王子だが、平民、貴族分け隔てなく話す。だが、シヴィだけは本当に気に入ったようで、休憩時間はよく話すようになっていた。
「はい。故郷で初級だけ学べる場があったので。」
「話し方もそこで?」
「いえ。入学資金を貯める為に働かせて頂いた場で身に付けました。」
「どこで働いたのやら。」
どこで働いたのか察したらしい。クロノアは困った笑顔を作って言った。シヴィもそれがわかって少し笑っていた。
魔法の上級は一年生だからか少ない。だが、ほとんどの人が魔物を連れていた。クロノアも居たが、彼は魔物を連れていない。
「魔法上級講義担当のマロン・ノブル・トワイライトです。一年生の魔法上級は履修者が少ないので攻撃、防御、付与の講義は区別せずに行います。さて、魔物を連れている皆さん、契約出来ていませんね。だから、上級を履修した。良い判断です。では、最初は契約について教えましょう。その後、ステータス、鑑定と簡単なものから順に追って、魔物と話せる念話まで教えましょう。使える者は少ない為、念話はあくまで理想です。」
念話は最後かぁ。他も覚えられるから気長に待つか。
契約は自身から鎖が出て、それを魔物の身体に纏わり付かせて最後に名前を付けて縛るイメージらしい。時間がかかるから、凄く懐いていないとできないらしいが、手段を選ばなければ、動かないように固定して行うこともあると。固定だけはされたくないな。皆最初は固定せずにやっていたが、魔物が逃げるものだから結局、固定して契約していた。俺?俺は逃げも隠れもしないから一発で契約完成したんだよな!
「流石、親友と言うだけあるな。」
クロノアにも誉めてもらえた!