表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最後の夢の彼方へ ~for the light of tomorrow~  作者: edwin
第一章 新世界へ
2/56

第一話   『異世界の膝枕』

「もしさ、もし異世界に転生されたらさ、どうする?」


「そうだね~ そりゃ仲間を集めて、冒険に出て、悪い奴を倒しまくるんじゃない? 結衣ちゃんは?」


「わたしならハーレムを作るよハーレムを! 一日中ずっっっと可愛い女の子とイチャイチャするわ!」


「そりゃいいね~ メイド達に家事をやらせて、魔法でモンスターとかを焼き尽くして、みんなからちやほやされたい~」


「最高だろう? ねぇ、あすちゃんは? あすちゃんならどうする?」


「いやそんな非現実的なことなんて起こるわけないから」


「あすちゃんのケチ!」


「飛鳥ちゃんはすぐそういう事言うんだから~」


「ていうか地球でもそういうことできるんじゃない? 冒険でもハーレムでも?」


「あすちゃんハーレム作るの!? すごい!」


「わたし飛鳥ちゃんハーレム第一号~」


「じゃぁあたし第二号! あすちゃん万歳!」


「もう……」


   ※ ※ ※


 頭が痛い。


「夢か……」


 頭だけじゃなくて、お腹も、腕も足も、体中全部がチクチク痛かった。

 でも同時になんか気持ちいい。


「あの、起きてるんですか? 大丈夫ですか?」


 真上からかわいい声がした。


「大丈夫……多分」


 目を開けたら、前には大きな畑、上には金髪ボブの女の子の顔、そして下には……


「膝枕?」

「勝手にすみませんでした!! ただ、あなたが倒れてたから頭を打ったかなぁって思って、大変だって思って、だからなんとしなきゃって思って、でもどうすればいいのかわからなくて……すみません!!」


 まるで小動物みたいに慌ててるそのかわいい女の子だけど、その体勢から動こうとはしなかった。


「大丈夫だよていうかありがとうございました助けてくれて。わたしは、伊吹飛鳥」

「イブキアスカ……さん? えっと、はい、私、サリアと言います! よろしくお願いします、です」


 なにこの子? 明らかに日本人じゃないのに、ペラペラな日本語喋ってるし、ここも日本っぽくないけど先まで東京にいたし……


「ここ、どこですか?」

「ここ? えっと、ここ第14区なんですけど?」

「いやそうじゃなくて町は? 国は?」

「ああ、はい、えっと、()()()()()()()()()()()、ダリアン領、第14区、です」


 ……なに?


 約十分後。

 ところで膝枕されてるままなんだけど動く理由も特になかったので。


「ってことは、アスカちゃん異世界から来たんですか?

「そうみたいだね……サリアが見たあの光、ここだけだったの?」

「そうです! この畑からすっごく眩しい光がしたので、見に来たら、アスカさんが倒れてたのです!」

「他に、誰もいなかった?」

「そうですアスカさん一人でした」

「そうか……」


 あの実験に巻き込まれてこの異世界に飛ばされたとすると、ここに結衣も春乃もいないのはおかしくない? でも、最後に手離したし、もしかして違う異世界に飛ばされたのか、この世界の違う地点に飛ばされたのか、それとも…… いや、それはありえない。


 絶対生きている。


「とりあえず、私達の寮に来ませんか? 今の()()()なら、多分気づかないので、大丈夫と思いますよ?」

「そうだね……じゃぁお願い」


 幸せな回復期間のおかげで問題なくて立てたわたしが、サリアと一緒に歩き始めた。


 約二十分後。


「誰こいつ? 可愛い顔だね」

「すみません! タルノさん、こちらの方はアスカさんです! そういう事言わないでください」

「ども」


 その赤色ショートで背が高くて存在感も強い女性の名はタルノ。

 この世界の人って名字とかないの?


「んで、お前異世界から来たって? コルタルシ領から逃げたんじゃなくて?」

「そうです。信じられない話かもしれないけど、事実です」

「まぁいいか。監督様には言わないから安心して。とりあえず、空いてるベッドならあるから大丈夫、好きなだけ泊まっていいと思う」

「ありがとうございます」

「タルノさんは私達のリーダーみたいな存在なのです! 気になることがあったらタルノさんに聞いてください!」

「いやボクはリーダーじゃねぇだろうそれフィンラだろう」

「あぅ……すみません」


 とりあえず、ここに数日間過ごして、できるだけ情報を集まったほうが良さそう。

 この世界の現状を知る必要がある。

 歴史も、政治も、経済も、技術レベルも。

 もしファンタジーみたいな異世界なら、魔法も、種族も、生物も、危険度も。

 まずは結衣と春乃を探す。この世界にいる可能性は高いと思う。

 次は、地球に帰る方法を考える? いや、本当にユートピアならずっとここに住んでもいいの……かな? それとも、往復できる手段を作って、二つの世界を繋ぐ可能性も?


 でも今は疲れた。

 他に聞きたいことはいくらでもあるし、フィンラっていう人にも会いたいし、シャワーも浴びたいし。

 でも明日にすればいい。

 明日、このアルナリア帝国の現状を、真実を、聞き出そう。


 結衣と春乃の夢をまた見ると、いいね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ