ゼノの過去
設定とあらすじだけですが、ゼノが『賢者』になった理由のストーリーです。
あらすじですが、少々グロめな表現があります。
●設定
・ゼノ(ゼノディアス・オルグレン)
魔術大国であるオルグレン王国の王族。王位継承権は放棄し、王立魔術研究所(通称、塔)にて魔術の研究をしている。魔力は非常に多く、魔術師としても非常に優秀。でも魔術師として前線に立つより研究が好き。
研究対象は多岐に渡り、その中には禁術と呼ばれる魔術もあり、術式は知っている。ただし、禁術は使うつもりはない(禁術も研究対象にしているのは、禁術を解析してその要素を利用して既存の魔術の改良を行えないかと考えているため)。
・バーティウス
オルグレン王国の魔術師で王立魔術研究所所属。ゼノの同僚であり学生時代からの親友。魔術師としても優秀だが、魔力があまり多くないため研究者の道を選んだ。
恋人のマリアのことを溺愛しており、マリアのためであればなんだってやる、と常日頃から豪語している。マリアとはもうすぐ結婚する予定。
・マリア
バーティウスの恋人。ゼノとも学生時代からの友人。体が弱く、よく寝込んでいる。もうすぐ結婚の予定なのに、最近は特に体調が良くなくて不安。
●大まかストーリー
魔術の研究で引き籠りがちなゼノ。ある日バーティウスに夕食に誘われ、やや強引に引っ張り出される。
行き先はバーティウスとマリアの新居。もうすぐ結婚する、という報告を聞き祝杯をあげる。
バーティウスが席を外している時、マリアから体調が思わしくないことを聞く。
「幸せだけど、不安なの。もしものことがあったら、バーティウスはどうなってしまうのかしら……」
それから何てことのない日常が続く。
そんなある日、魔術研究でしばらく塔に引き籠っていたゼノ。マリアのお見舞いに行くため街に出ると、行方不明事件が相次いているという不穏な噂が聞こえてくる。
ベッドに寝たままだが迎えてくれるマリア。見慣れない水薬を飲んでいる。
「その薬は?」
「バーティウスが煎じてくれたの。お医者様にはね、もう長くないって言われてて……。もうお医者様を信じられないって、バーティウスが色々研究してくれてるの」
困った様に笑うマリアは、どこか儚い。
そしてついに塔に所属している魔術師にまで行方不明者が出始める。
偶然塔の食堂で会ったバーティウスと話をするが、バーティウスはどこか上の空。心配になり、バーティウスとマリアの家に押しかけると、かなり体調が悪そうなマリア。近頃は起き上がれないレベルらしい。
「多分わたしね、もう、限界なの。だから、ゼノ。どうか、バーティウスを止めて。彼は、なにか良くないことをやっているわ……」
そしてその日の夜、マリアはそっと息を引き取った。慟哭するバーティウス。今はそっとしておこう、と家を出るゼノ。
翌朝。街の一角が忽然と消え失せ、化け物が現れる。人々はパニックに陥り、逃げ惑う。
化け物が現れた場所がバーティウスの家周辺と聞き、嫌な予感がしたゼノは逃げ惑う人々に逆行し、バーティウスの家の方へ向かう。
そして化け物に対面する。化け物は蠢く肉塊で、逃げ遅れた住民(老人)を捕食しているところだった。そしてその化け物の隣には、肉塊を愛し気に見つめるバーティウス。
「嗚呼マリア、そんなモノ食べてはいけないよ。君の糧にならないだろう?」
ゼノに気付いたバーティウスは嬉しそうに笑う。
「見てくれ、ゼノ。マリアが元気になったんだよ」
「バーティウス……。お前、禁術を使いやがったな?」
「禁術だなんてそんなの関係ないだろう? マリアのためなら、僕は何だってやるさ」
何も悪いことなどしていない、という様子で言い放つバーティウスにゼノはふと思い至る。
「街の人を攫ってたのはお前だな?」
「攫っただなんて、人聞きの悪い。マリアのために、協力してもらっただけさ」
「お前っ! その人たちはどこにやった!?」
「さぁ? もしかしたら、そこらへんに落ちてるかもね。まぁ、元々残りカスでしかなかったけど」
軽く周囲を見回して笑うバーティウス。
恐らくマリアが飲んでいた水薬の材料とされたであろう人々の末路を思い、絶句するゼノ。この周辺の人々も、バーティウスが禁術を使うために生贄にされたのだろう。不自然に家々までもごっそりと消え失せ、瓦礫すらない周辺にゼノは心を決める。
「お前を野放しには出来ない」
「ちょうどいい。ゼノの純粋で多量の魔力を取り込めば、きっとマリアも喋れるようになる」
そして襲い掛かって来る肉塊とバーティウスの魔術。ゼノも魔術で応戦するが、バーティウスに致命傷を与えてもすぐさま回復してしまう。禁術を使ったことで、バーティウスは『賢者』と成っていた。
不滅な『賢者』を倒す方法は限られている。いくらバーティウスの数倍魔力を持っていてもじり貧のゼノ。
追い詰められたゼノは、ついにとある禁術を使う。
その禁術は煉獄の炎を召喚するもので、攻撃対象者の魂まで焼き尽くす魔術だった。魂まで焼き尽くされた人は完全に消滅し、二度と生まれ変わることも出来なくなる。
のたうちながら燃え尽きる肉塊とバーティウス。
一陣の風が二人分の白い灰を舞い上げ、ゼノを取り巻く。
「ごめんなさい。そして、ありがとう」
不意に聞こえて来たマリアの声。
過ぎ去った風を追うように空を見上げるが、そこにあるのはただの青空。
取り残されたのは、『賢者』と成ったゼノ一人だった。
バーティウスが『狂愛の賢者』。
本当は、行方不明事件とバーティウスがあからさまには関連がないようにもっといろいろ肉付けして、ミステリーちっくにしたかった。。。
でもそういうのが苦手なのと、もっと他に書きたい小説があるので、ここで設定とあらすじだけアップして供養です。




