ある日の二人
先輩と後輩の会話。
今日も朝8時から仕事だ。
作業着に着替えて体操して朝礼して
仕事をする。
そう、私は現場作業員。
車の部品を作る会社だ。
この会社で働きはじめて早5年。
手慣れたものである。
初めの頃は女だし、バカにされないようにがむしゃらに働いた。
それが恐ろしい事態を起こした。
やる気があると思われ、一番忙しい部署に押し込まれた。
今日も先輩と愚痴りながら仕事に勤しむ。
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「先輩、実は私今日のノルマもう終わりつつあるんですよ。」
「うん。で?」
「今日は定時で帰れるかなって希望が出てきたとこなんですよ。」
「へー。」
「なのに…なのに!!」
「…、」
「追加のノルマがやってきました。先輩、道連れです。」
「なんでだよ!やだよ!俺も今日は定時で上がれる工程なんだよ。」
「かわいい後輩がお願いしてるんだから、そこは「君と一緒に仕事が出来て嬉しいよ!ハート」って付けて言うところですよ。」
「言わないよ。俺のキャラじゃないし。ってか帰るし。」
「他の部署の人から、クールでイケメンとか言われて調子乗っちゃってるやつですか?なんですかキャラって!作ってるんですか?意味わかんないです。だから仕事手伝えや。」
「いやいや、そもそもなんで俺が手伝う前提?君がもらっちゃったんでしょ?いつもみたいにニコニコして。「お任せください!ハート」って感じで言っちゃったんでしょ?頑張れや。」
「…先輩。この前新作のアイス食べたいって言ってましたよね?2種類。」
「…手を打とう。どれ、半分渡しなさい。」
「あとで売店で買っておきます。一緒に食べましょうね。」
「やだよ。一人で全部食べるし。」
先輩、殴っていいですか?
そんな言葉は胸にしまって、今日もノルマと戦い中。
結局この後二人で仲良く食べた。
でも決して付き合ってはいない。