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「くあ・・・あ~・・・・良く寝た・・・」


昨日は疲れたもんなぁ・・・あれから宿に帰って、風呂食事の後すぐに寝てしまった。


「おはよう、すぐに起きられませんでしたので、先にお食事をいただきましたわ。」


「あ~うん、ごめん、さすがにちょっと疲れてるみたいで。お!パンもらっておいてくれたんだ。ありがと。」


ムグムグ・・・グフッ・・・ミルクミルクと。


「ええ、それは構いませんけれど、お疲れでしたの?言ってくださればよろしいのに。」


「でしたら・・・・『ヴェルスパー』。」


ん?・・


「イリス?何?そのめっちゃ光ってる玉。」


「これは癒しの宝玉、神器『ヴェルスパー』。傷、病、いかなる物でもこの輝きにて癒しますの。死者の蘇生までは無理ですけれど。」


「へ~・・・そんな物まであるのか。」


つくづくウチの嫁さんは無敵だな。

あぁ・・・なんかじんわり暖かいわ、この光。


「おお~、スッキリさわやか、力が漲る感じ。ありがと!なんか元気になったわ!」


「どういたしまして。さぁ、今日は何をしますの?」


「・・・・あ~ごめん。今日はちょっとダラダラしようと思ってたから、特に決めてないや。」


どうしようかな・・・・・


「そうですの。では・・・・テレーズ様とアンナ様の所にでも行きませんこと?私、この世界の事をもう少し知りたいんですの。」


「そうだね、そうしよっか。」


テレーズさん、意外と暇人って言ってたしな、ツンデレ領主の癖に。


あと、アンナさん、やり手そうだったし、例の物、完成してるかもしれないしね。

「こんちわ~!アンナさ~ん!」


先にイリスの神聖なる装備を買いに行く事にした。

少しでも早く、守らなきゃならない夢がそこにあるからだ。


「ハイハイ!おや、あんたたち。なんてタイミングが良いのかねぇ。ちょうどついさっき全部揃った所だよ。」


ふふ~ん、どうよ、このご都合展開。天運なめんなよ?


「何ニヤニヤしてんだい。ほら嬢ちゃん!物を合わせてみるからこっちに来な。」


「はい。」

「はいよ!ぴったりだったねぇ、しかし嬢ちゃんの身体・・・何食ったらこんなになるのかねぇ・・・。同じ人間とは思えないよ。」


全てが女神級なのです。そう、そんな奇跡の女の子が何を隠そう俺の嫁!!ドヤヤァ!!


「あんた・・・さっきから顔が気持ち悪いよ?この前の話は誤魔化しじゃないだろうね・・・」


「っと、失礼。では代金を・・・」


「まったく・・・下着が5着、4万セルだね。・・・ほい、毎度。破いたりすんじゃないよ!」


「もちろんです!あ!イリス、宿に戻って装着するよな?ちょっと先に歩いててくれ。トイレを借りてすぐに行くから。」


「そうですの、ではお先に向かっておりますわ。」


「トイレかい?・・それなら奥の・・・」


「いえいえアンナさん。少しご相談がありまして・・・・・」

「・・・なるほどね、まったく、さっきの気持ち悪い顔した男と同一人物とは思えないよ。」


「お願いできませんか?」


「急ぎじゃないんだろう?だったら・・・」


「・・・・なるほど、ではそれでお願いします。」


「わかったよ、必要な素材を依頼に出しておく。その土地に行く用事がある時にでも探しておいで、代金は・・・こんなもんだね。」


おぉぉう・・・さすがにお高い・・・お金は二人で頑張ろうか。


「わかりました。ではよろしくお願いします。」


「あいよ!はっはぁ、あの素材なら、あたしの最高傑作になるかもねぇ・・・」

「お待たせ!」


「ええ、意外と高額でしたわね。そろそろ仕事をしませんと。」


うぐ・・・イリスって結構堅実だよな・・・アレ怒られないよな?・・・・


「うん!明日から頑張ろう!さ、宿に戻るぞー。」


慌てて妙なテンションになってしまった・・・・

「この縛られている感じ、落ち着きませんわ・・・」


「我慢我慢。」


それは、どちらに向けた言葉なのか・・・・・


ただでさえ、主張が激しいというのに・・・装着するとこんなになるのかよ・・・

生意気すぎるわ!ありがたやありがたや。


「慣れるようにいたします。さて?」


「うん。軽くお腹に何かいれて、テレーズさんのところに行こうか。」

コンコン・・


「はい・・・あら、貴方達、さすがに昨日の今日では屋敷は用意出来ないわよ?」


「いえいえ、今日はこの国のお話を伺いに来たんですよ。」


「あらそうなの?うん、今日は時間もあるし構わないわ。そうね、これからの事も考えて、貴方達にはしっかり把握しておいてもらったほうが良いわね。」


情勢という物には最も詳しいだろう。このお嬢様、話を聞くには一番だ。


「そうね・・・ちゃんと一から説明した方がいいかしら、いい?・・・」

ここは「グレイシス大陸」、「エルカ都市連合国」はちょうど大陸の中央部に位置している。


荒廃した「ゴルデオ高地」を境目に「魔王国フォームハウト」とエルカは対立している。


本来、ゴルデオ高地は踏破が難しいはずだが、どういう手法か、魔族達はこちらへ侵攻してくるそうだ。


現状ではこちらから攻め入る事は出来ないので、防戦を続けている、幸いな事に大軍では攻めて来ないためなんとか凌げているらしい。


エルカの周辺について、南が「フォームハウト」。東に「悪夢の森」と「龍海」が拡がり。西に「グラスヘイム山脈」。そして北には、大陸一の大国「メルクリアス王国」が存在する。


そしてなんと、ドワーフとエルフ、亜人族が存在してるらしい。それぞれ「グラスヘイム山脈」と「悪夢の森」に生息しているが、人と交流する事は滅多にないそうだ。


さらに、エルカ以外にも、北東部に「魔法学園都市ハイドルフ」、北西部に「聖騎士領ニブルヘイル」という国があるそうだ。ぬぐぐ・・・そろそろ混乱してきた。


まとめると、エルカが魔族に対しての第一防衛ライン、聖騎士と魔法使いの国で王国を守る第二防衛ライン、最終防衛ラインの王国が堕ちると大陸の人類は滅びるって形か・・・


亜人は我関せずって感じらしいし、結束力があるのかないのか。


イリスの絶大な力を、この戦争が放っておくはずがないだろうな・・・


やだな~・・・平穏にイチャイチャ暮らしたいな~・・・・

「最後にエルカについてね、エルカは基本的に産業都市よ。簡単に説明すると、「エルロンド」が農業、「ルルーイエ」が工業、「カプリコス」が林業、水産業と言った感じかしら。まあ、基盤は王国だから重要性はそれほどでもないけれどね・・・・」


ふむ・・・食事に魚が少ないのはそういうわけか。「カプリコス」そのうち行ってみたいな・・・


「おおまかにはこんな所ね、ごめんなさい、本当は貴方達みたいな人は王国にいてもらったほうが良いんだろうけれど・・・わたしはこの国を・・・わたしの領地をどうしても守りたいの。なるべく便宜を図るようにするから、どうかその力を貸してちょうだい。」


「なるほど、大体わかりました。でもそんなに緊迫した状況なので?優勢劣勢はわかりませんが、街を見るかぎり、戦争まっただ中!という感じはしないのですが。」


「今はね、でも魔王軍は一時期から大掛かりな侵攻は見せなくなったの、理由は不明。あと、定期的に人間を狩猟している、という話が噂になっている。正直、不安なのよ。何かあるような気がしてならないの。」


テレーズさんの表情から察するに、考えすぎ・・・という訳ではないのだろう。


「わかりましたわ。もともとそのつもりでしたし、街の防衛の件はお受けします。ふふ・・・」


「なにかしら?」


「失礼。いえ、フリックさんにもこの街を守るようお願いされましたので、この街は愛されてますのね。少ししか滞在しておりませんけれど、私もこの街は気に入っておりますわ。」


「テレーズさん、安心してください。イリスが乗り気なら、この街は大陸一安全な街になりますよ。」


「そう・・・本当にありがとう。屋敷の用意を急がせるわね。」


ちょっとだけ不安を晴らせてあげられたかな・・・へえ、この子笑うと結構・・・。


「あなた?」


なんでもございません!危ねぇ・・・一瞬、見た事ない微笑みだった・・・直感鋭すぎだろ・・・・


「お時間いただきましてありがとうございました。屋敷の件、決まりましたらご連絡ください。俺達は引き続き宿屋に滞在してますので。」


「ええ、その時は使者を送ります。ではまたね。ごきげんよう。」

「色々とわかってきたな。魔王軍かぁ・・・おとなしくしててくれりゃいいのに。」


「不穏な動き、というのは気になりますけれど。・・・いっそ討伐の依頼を出してもらおうかしら・・・」


「やめなさい。相手がイリス並みに強かったりしたらどうすんだ?旦那として、危ない事は認められません。」


「そうですわね。あなたを危険な目には遭わせたくありませんし。迎撃に努める事にいたしますわ。」


やれやれ・・・見た目によらず、結構脳筋よね・・・


「あ、ちょっとギルドに寄って行っていい?そろそろ稼がなくちゃな~って思ってるんだけど。」


「そうですわね。それでは依頼を受けて、明日は仕事に行きましょうか。」

「あ、イリスさん!キリウさん!こんばんは!もう夕刻ですけど、これからお仕事ですか?」


ギルド受付嬢のシャルロッテちゃん。明るくていい子だよね。むさくるしいギルドの一輪の花って感じだ。


「そういえば聞きましたよ!西門の防衛、大活躍だったそうですね!ここのみんなは緊急依頼が出ないからってお酒ばっかり飲んでて・・・やっぱり最高ランクのお二人は違います!」


「・・・・・・・((((ぐぬぬ・・・!))))」


「ははは、イリスのおかげですよ。」


「・・・・・・・(シャルのヤツ。EXランクなんかと比較すんじゃねぇやい・・・)」

「・・・・・・・(((うんうん。))」


「たいした事ではありませんわ。そうそう、動くのは明日にしようと思っているのですけれど、何か高額の依頼はありまして?」


「あ、はい!えぇ~と、高額の依頼・・・・あ~・・・う~ん、これはなぁ・・・」


「それは?」


「え?えっと・・・これはSクラス依頼なんですけど・・・」


Sクラス?Aが最高じゃないのか?


「Aランクの傭兵が100人集まって達成できるかどうかの依頼です。かなり危険ですけど・・・」


「見せてもらえるかしら?」


:はぐれドラゴン討伐(悪夢の森)報酬3000万セル、依頼の証「ドラゴンの黒鱗」


3000万!?っていうかドラゴン!?マジかよ・・・イリスさん?まさか・・・


「この依頼、受けますわ。」


「「「「「ええッ!!!!」」」」」


「ちょおおい!!待て!!イリス!!これは待て!!」


「あら、良い報酬額ですわよ?」


そうだけど!!子鬼、豚、魔獣ときてドラゴン!?飛ばしすぎなんだよ!!まだ悪魔あたりにしとけ!!!


「悪夢の森って遠いのかしら・・・1泊2日くらいならいいのですけれど。」


妻はもう旅行気分です。新婚旅行はドラゴン討伐。・・・・ねえよ!!


「大丈夫。なんとかなりますわ。」


「・・・・ああ、もう!わかったよ・・・」


ヤバかったら逃げようマジで。加護!最大限に力発揮しろよ!


「で、では、受注と言うことで・・・・(ど、どうしよう。テレーズ様にご報告しといたほうがいいかな・・・)」


「ええ、よろしくお願いしますわ。」

「やはり、あなたの幸運は素晴らしいですわね。こうもおあつらえ向きな話が次々とやってくるんですもの。」


「・・・そうかね。俺としてはだんだん自信が無くなってきてるよ・・・・。」


「ところで、別件で何か依頼を受けていたようですけれど、何をしていましたの?」


「うえ!?あ~、バレてた?いや、イリスだけに任せるのもアレだしさ、探索系の依頼を受けたんだよ。俺の運を使えないかと思ってさ。」


「そうでしたの。今回の依頼が終われば、金銭的にはしばらくは大丈夫だと思うのですけれど。」


「運任せだからさ!期限は無いみたいだし、受注だけしておこうと思って。」


「そう・・・あまり気にしないでくださいね?・・・・・・私はあなたさえいてくれれば。」


ふ~・・・誤魔化せたかな。さすがに鋭いね、騙してるみたいで気がひけるけど・・・


:夫婦限定依頼、「金剛石」「月光の雫」「精霊の涙」の収集(グラスヘイム山脈、悪夢の森、エルフの隠れ里)探索地域については推測である。報酬なし。


仕事が早いね、アンナさん。さあて、伝説級の素材らしいし、気長に集めるとしますか・・・・

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