再会
一六六九人。それが、≪五つ子≫が革命戦争、そしてブルクの戦闘で殺した敵の総数だ。殺した人数は不吉な数字ではあるが、これが≪五つ子≫の罪の重さ。あくまでも軍から提供された状況だから、もしかするともっと少ないかもしれないし、もっと多いかもしれない。だが、勝者たちにとっては勝利こそが重要なのであり、その過程で起きた事の大きさなどどうでもいいのだ。そして、俺はこれから一七七十人目の犠牲者を出そうとしている。
作戦決行の日。俺たちは|標的≪ラーヴィ≫を待ち伏せるため、15時頃からバッカスへ向けて出発することになった。打ち合わせの通り、バッカスでラーヴィを待ち伏せ、彼が店に入ってきたの確認後、俺が出口に向かって歩き、そのそれ違いざまに奴の心臓を撃つ。セレーヌは万が一現地の警察などが来ないかどうか、窓側の席で見張ってもらう。急所を狙うのは、≪五つ子≫は頭部か心臓部のどちらかを射抜かない限り殺せないからだ。傷の具合にもよるが、たいがいの怪我は一週間もあれば完治してしまうため、その場で即死させなければ意味がない。それと、ラーヴィを射殺後にホテルへ戻る際、周囲の人間に素性を知られないよう、帽子とサングラスを道中に購入した。持参していたフルフェイスマスクは、被るとあからさまに怪しいので、最初から選択肢には入れていなかったためだ。
現時刻は十四時十五分。セレーヌはクルスの街をもっと見たいと言って散歩に出かけていた。かく言う俺は、集合場所の公園でベンチに座って空を見上げている。ブルクほどの大きさでもなければ噴水もなかったが、中央に設置された遊具で遊んでいる子供たちが目に入っていた。彼らを時折見ながら、俺は頭の中で何度も作戦のシミュレーションをした。すべてがうまくいった場合、途中で警察が来た場合、ラーヴィに反撃を受けた場合など、いろいろ可能性を考慮したが、不意打ちこそが暗殺の常とう手段であり、最悪、周囲に被害が及んでもその場で彼を殺すつもりだ。一度しくじれば、ラーヴィへの接近は格段に難しくなる。あいつもプロの軍人だ。その気になれば、きっとオスカーでも情報収集は困難になるだろう。スケジュールがわからなければ、先回りして狙撃することもできない。まだ後に三人が控えている以上、ここで手こずりたくはなかった。
「クルスは美しい街ですね。木々の紅葉がすごくきれいで、美術館に行った気分でした」
そう言いながら、セレーヌが散歩から戻り、俺の隣に腰かける。長い金髪を下ろし、茶色のコートに身を包んだ彼女の姿はとても美しかった。シオンのつぎに。
「まだ紅葉が始まって間もないから、枯れ木は少ない。時期的にはちょうどよかったな」
「はい、どうぞ」
彼女の両手には、焼き芋の片割れがひとつずつ握られていた。本格的に肌寒くなってくるこの時期にはおあつらえ向きの食べ物だ。
「ありがとう」
もらった焼き芋にかぶりつく。作戦決行前の腹ごしらえにはちょうどいい。そう思っていると、セレーヌは焼き芋の皮を無視して中身だけを食べようとして、かなり手こずっているのが目に入った。お嬢様は、焼き芋の食い方を知らないらしい。
「セレーヌ。焼き芋は皮ごと食べて問題ない。そっちのほうが栄養も多く取れる」
「えっ、そうなんですか? 思い切った食べ方が主流なのですね」
俺も助言を受け、彼女は口を大きく開けて焼き芋に被りつく。さきほどとは比べ物にならないほどの量を一度に食べられたからか、セレーヌは満足げな表情を浮かべていた。
「うまかった。ごちそうさま」
「これくらい、お安い御用です」
ふたりが芋を食べ終えた頃には、時刻は十四時三十五分を指していた。
「ロイさん、このようなことを聞くのは野暮だということは承知していますが……、今回の作戦、抵抗は……ありませんか……?」
「ない、と言えば嘘になる。今回のような作戦がなければ、戦友を殺すなんてことはまずしない。この時代に生まれて、たまたま兵器として生まれ変わり、偶然相手の国が機密をネタに祖国を脅迫し、戦争の危機が迫っていて、その尻拭いをするのに最適だったのが、俺だったってわけだ」
「ラーヴィさんって、どんな方なんですか?」
そう言われると、彼女に自身以外の≪五つ子≫のことを話したことはほとんどなかった。この機会に、あいつのことを知っておいてもらおう。
「ラーヴィは、一言で言い表すなら、上昇志向の塊のような男。自己顕示欲が強く、名を挙げて歴史に名を残そうと、昔はことあるごとに俺に話していたよ。目立とうという考えの現れなのか、昔は髪を金髪に染めていた。あの性格のままなら、おそらく変わっていないだろう。利己的な一方で、一度決めたことは徹底的にやり通す面もあった。誰かに惚れれば、尊敬し、どこまでも付いていくし、国に尽くすと思えば、命を捧げる。矜持と欲望が深く絡み合っているという、要するに面倒くさい奴だ。」
「彼から好かれていたんですか?」
「尊敬の対象としてな。ミディレルの戦いで、独断専行して敵に包囲された奴を助けて以来、その傾向は顕著になった。まあ、部隊を率いる隊長として、部下から信頼を得られているというのは嬉しかったな。お互い、腹を割って話せるような間柄になれば、いざという時には自然と背中を預けられる」
信頼関係の話を聞いて、セレーヌの顔は、どこか寂しげな顔になっていた。きっと実家にいたころのことを思い出しているのだろう。家庭内での激しい競争、不義の子という異質な境遇、彼女の人生の中において信頼という言葉ほど無縁なものはない。
「――そう言うの羨ましいです。少なくとも家では、私が信じることはあっても、相手から信じられることはほとんどありませんでしたから」
「それは過去の話だろう? 大切なのは一九四五年の十月十二日、つまり今だ。過去を悔んだり振り返るのは自由だが、度が過ぎれば、前から来る障害物に気づかずに転んでしまうぞ。まあ、現在ばかり見たところで、今度は先を考えた行動ができないが、過去に縛られるよりはいい」
「大切なのは、今……」
「少なくとも、俺は君のことを信用している。ブルクでの戦闘時、戦場の真っ只中にいた君は震える体で、俺の指示の通り、博士と連絡するために動いてくれた。君は初めて直面した死の恐怖に打ち勝ち、己の責務を果たしたんだ。口だけならそこら辺の子供でも言えるが、実際に行動しようとすれば、大の大人でも難しい。もっと自信を持っていいんだ。」
「……ありがとうございます」
彼女の顔はいつも通り柔和な表情に戻っていた。
「それに、アデライード家の君と同じくらいの連中は、実戦が未経験の連中がほとんどだろう。今の君は間違いなく、君のどの兄弟姉妹よりも凛々しく、そして力強い」
「なんだか、口説かれているみたいです」
そう言い、セレーヌは笑う。言われてみれば、確かにちょっと青臭いセリフだったかもしれない。
「――とにかく、君は立派な女性だ。もっと胸を張っていればいい。少し偉そうなくらいでもいいかもな」
「はい」
そうこう話しているうちに、出発時間まであと五分となっていた。
「ロイさん、そろそろ時間です。バッカスへ向かわないと」
言われて腕時計を見ると、時間は五十分。セレーヌの言う通り、現地へ出向こう。
「よし、行こう。セレーヌ、ブルクの時ほどではないが、これからバッカスも“戦場”になる。気を引き締めろ」
「肝に銘じておきます」
「そう言えば、バッカスに入ってきた客がラーヴィさんかどうかは、どうやって確かめるんですか? 顔をまじまじと見つめていたら、きっと怪しまれてしまいますよ?」
バッカスまで残り五百メートルを切ったくらいの場所で、セレーヌが尋ねてきた。
「酒場なら酒瓶があるだろう。ボトルを頼んで、その反射で確認する。さすがに顔の判別は厳しいだろうから、まずは髪の色が金髪かどうかだな。髪自体の長さの目安は、前髪が目にかかるかどうかくらいだ。あいつは髪が視界に入るのを嫌う。それと、歩いたときに聞こえる金属音か」
「ラーヴィさんはアクセサリーを付けているんですか?」
「まあ、そんな感じだ。軍人は自身の身元に関する情報が書いてあるドックタグを身に付けるのが基本だが、俺たち≪五つ子≫はそれとは別にもうひとつドックタグを付けている。仲間が個人的に制作したもので、兄妹同士の結束をより強くしようという考えの元に作られた。俺の首にもぶら下げてある」
そう言って、俺はセレーヌに首元を見せた。イーリス軍の正式なドックタグと、≪五つ子≫専用のドックタグのふたつが重なり、少し動いただけで低めの金属音が鳴っている。
「よく磨き上げられていますね」
専用のドックタグには、イーリスのアデライード家を始め多くの貴族の尊敬を集めたイーリス旧王家の紋章である黄金の天秤と、俺たちが提案し合って決めた、キメラの姿が彫られている。黄金の天秤には、正義と悪を客観的に判別することで、イーリスにとっての正義を執行し、国民から信頼される存在であれという思いが込められていた。当のイーリスの王家は、今から二百年ほど前、この国が革命によって共和政に移行した際に滅んでいる。革命の始まりは、どこかの貴族勢力が強硬的な専制を強いろうと画策していたことがバレてしまい、国民が大規模かつ攻撃的な抗議活動に及んだことからだった(この勢力は結託して独自の旗や紋章を使用していたほか、資料はほとんど焼かれてしまったため、参加していた貴族の詳細はわからない)。貴族の地位は低下し、配下の兵たちからは死傷者も出た。国土全域で、反貴族の気運は収まることを知らず、革命発生から半年後、位の高い者が率先して国民を導くということに限界を感じた王家は、国民より選出された者が行政を行う組織である政府を設置し、共和政に移行すると宣言したのだ。この間、国の権威たる王家には、ひとりの負傷者や犠牲者も出なかった。黄金の天秤に込められた意味を知り、それを実践している王家の誠実な姿を、国民は日頃から見ていたからだろう。……ここまで聞いても、王家が滅ぶ前兆は微塵も感じられない。問題は、共和政に移行してから一ヵ月後のことだ。自分で言っていても不思議に思うのだが、王家の人間がみな姿をくらましてしまったのだ。彼らは、名誉よりも民の安全をつねに願っていた。王家の人間が失踪したのは、自分たちがその時代で正義を執行することが困難であり、もはや必要とされていない、代わりに政府という存在がいると考えたからではないかというのが、歴史学者たちの一般的な論調だった。
「天秤は、イーリスの旧王家の紋章ですね。ですが、この獅子の体と蛇の……尻尾……? を持つ動物はわかりません」
黄金の天秤を守るように描かれているキメラに、セレーヌは興味津々のようだ。
「これは、キメラと呼ばれる伝説上の生き物だ。君の言う通り、獅子の体に蛇の尻尾を併せ持っている。この姿を、俺たちは自分と似ていると考えたんだ。二種類の動物が融合しているということは、生き物であり、そして化け物のようなもの。≪五つ子≫もまた、人間の身でありながら、身体を改造され、常人とはかけ離れた身体能力を有している。キメラのように目で判別することができない分、俺たちのほうが不気味だが」
「あなたは、確かに私たちとは違うところがあるでしょう。けれど、ご飯を食べて、ベッドで寝て、話し相手と冗談を言い、ともに笑い、ときに慰め、励ましてくれるような人を、私は化け物だとは思いません」
力強い声で、彼女は俺に語り掛けてくる。
「ちょっとほかの人より運動神経が良いだけです」
――運動神経が良い。まさかそのような簡単な言葉で済まされると思わず、俺は心の中で大笑いした。彼女の思考は、きっとイーリスに住む誰とも異なる。
「ロイさん、もしかして笑ってますか?」
「……いや?」
「口がつり上がってますよ。……そんな可笑しかったですか? 私は励ましたつもりなのに!」
初めてセレーヌが怒っている姿を見た。どうも彼女といると雰囲気が緩くなる。
「悪かった、悪かった! ――それより、こんなところで立ち往生してる場合じゃないぞ。早くバッカスへ行かないと」
「……そうですね。失礼しました」
ごもっともな言い訳を述べて彼女の怒りが鎮まるのを確認してから、俺はセレーヌを連れてバッカスを目指す。
「それと、もうひとつ、キメラには込められた意味がある」
「それは……?」
「王家の高潔な意志を継ぐということだ」
入り組んだ路地の一角にあるバッカスに入ると、中は非常に暖かかった。きっと酒場の中央にある暖炉のおかげだろう。炉には薪が適度にくべられ、炎がたくましく燃え盛っている。店は木造建築でニ階建て。雰囲気を出すためか、店自体が少し薄暗く、入って四メートルほど正面に向かって歩けば、カウンター席がある。カウンターの左には上に行くための階段があり、右は暖炉を中心とし、それを囲むようにテーブルと二つの椅子の組が十五個ほどあった。セレーヌには窓際で外を見張ってもらうため、右のテーブルの一角に座れるよう、それぞれが少し時間を置いて入店する手筈だ。ラーヴィか、あるいはそれと思わしき人が来た場合、咳を二回するように言ってある。
「ご注文は?」
「ワインをボトルでくれ」
俺はサングラスはかけたまま、帽子を脱ぎ、カウンターの空いている席に座る。時刻は十五時半を指しており、そろそろ夕方にさしかかる。
「お客さん、旅の人かい?」
マスターがワインボトルとグラスを渡しながら尋ねてきた。白髪の混じった黒髪と、堀が深い出で立ちは、この場で働き始めてからの長さを物語っているように思える。
「ああ。よくわかったな」
「ここは常連さんがよく来るんでね。見慣れない人が来るたびにこの質問をしてるんだ。……どこから来たんだい?」
「カニアだ」
「遠いところから来たんだな」
「ちょっと長めの休みが取れたから、せっかくの機会に母国をいろいろ周ってみようかと考えてね」
「それは名案だ。最近はテレビとかいう機械が出てきているが、やっぱり自分の目で見るのが一番だよ。そうだ、旦那、最近各地で起こってる動乱は知ってるかい?」
「ああ、知ってる。規模が大きくなってきて、なんだか心配――」
「不思議に思うこたあねえよ! こうなることはわかってたんだ!」
俺の横でひたすらビールを飲んでいた男が、マスターと俺との会話に割り込んできた。その男は小太りで、黒いスーツに身を包んでいる。顔にはしわが刻まれており、四十代ほどに見える。かなり前から酒を飲んでいるようで、顔はゆでだこのように赤くなっていた。
「わかっていた? それはいったい?」
「イーリスには、革命戦争で……ガリムから賠償金も、領地も得られなかったことに対して不満を抱いている人間がめちゃくちゃ存在する。あっ? 不思議そうな顔をしてんな? まあ、あんたは知らないかもしれないが、このご時世だから、あまり好戦的なことは言えず、その分、口に出さない人が多いんだよ! そのうっ憤が、今になって噴き出してきたってことさ。……せっかくあの忌まわしいくそったれどもを叩きのめしたってのに見返りがないなんておかしいぜ。そもそも、奴らから仕掛けてきた戦争じゃねえか! それを返り討ちにして、予想外の出来事に慌てたガリムどもがすべての戦闘の終結を提案してきたんだぜ? ……しかもなんも譲歩案もなしでな!」
と、その時ドアが開き、女性が店に入ってきた。セレーヌだ。
「テーブル席は空いていますか?」
相変わらずの優しい物腰でマスターに尋ねる。
「ああ。客もまだ少ないし、好きなところに座ってくれ」
「ありがとうございます」
そう言うとセレーヌは窓際の席に座った。
「可愛らしいねえちゃんだな」
「ナンパするなよ」
マスターに釘を刺され、彼はあからさまに不機嫌な態度をとった。
「……まあいい。ええと、どこまで話したか?」
「ガリムが譲歩案なしで戦争の終結を提案してきたというところまでだ」
俺は即座に答える。
「ああ、そうだったか……。とにかく、ふざけた話だぜ! あんたもそう思うだろう?」
「イーリスにだって、あれ以上戦う能力はほとんど残っていなかったらしいと聞く。あのままガリムが自棄を起こして革命戦争を続けていたら、イーリスもガリムも、下手すればパークス大陸の大半の国家が滅亡していたかもしれない。むしろ運がよかったと考えることだってできるだろう?」
「お前さんの意見もごもっともだ。だがな、一般市民ってのはな、いいか、戦争っていう競技を、スタジアムで見る観客なんだよ。“俺たち”はお前さんのようなことを考えられても、事情を深く知らねえ一般人は、過程の内容なんてどこ吹く風。結果にしか目がねえんだ。戦時中は英雄と称えられたが、いざ革命戦争が終わると、なんの得も無かったって一部の市民から罵られたのをよく覚えてるぜ。必要が無くなれば、用なしってことかよ」
「俺たち? あんたは軍人なのか?」
「元だがな! 元! 革命戦争とかいう地獄を経験した、数少ねえ人間のひとりのウィリアム・ゲートルードよ!」
その言葉は意外だった。まさかこんなところで仲間に出会えるとは。しかし、立場上、身分を易々と明かすことはできない。
「……んで、今起こっている動乱は、いまのイーリスの弱腰な姿勢を好まない連中の仕業ってわけだ。退役軍人もけっこう参加しているらしい。話によると、≪五つ子≫が――」
セレーヌが二回咳をした。
「風邪か? おい、ねえちゃん! 蜂蜜酒でも頼みな! 蜂蜜は風邪に効くからよ!」
「ウィリアムさん。いい話を聞けたよ。俺はそろそろ出ようと思う」
「え? もうかい? なんだよ、こっからが良い話しだってのに。風の噂では≪五つ子≫が――」
「ウィリアムさん。話し声が大きすぎて、店外まで聞こえてきましたよ。もうちょっと声の調整をしたほうがいい」
そう言って、男が入ってきた。俺はすかさずボトルの反射で入口を見る。金髪、歩くたびに響く低めの金属音。間違いない。
「おお、“ラインハルト”。ちょうどこの男が店を出るってんで、俺の隣が空いてる。ちょっと付き合ってくれよ!」
ラーヴィは俺とすれ違いそうになる。俺は右の腰に隠したホルスターから、リボルバーを取り出し、バレないようコートの内側から左前から歩いてくる彼の心臓部分に照準を合わせる。
「そういえば、あんた! 名前を聞いてなかったな! 教えてくれ! また飲もうや」
「この男ですか?」
ラーヴィはこちらを一瞬見た。その後、まるで待ってましたと言わんばかりの表情で言葉を紡ぐ。
「――ロイです。ロイ・トルステン。」
「!」
リボルバーの引き金を引こうとした瞬間。それよりも早くラーヴィは俺に接近し、細めの腕で俺の銃をシリンダーごと掴んだ。




