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第二話:雪女への道

第二話

 月子は食事を食べ終えるとそのまま部活に行ってしまう為、僕と豪雪の二人(雪女も一人で数えてセーフだよね?)で家に残る事になる。まだ仲がいいわけではないので、少々居心地が悪い。

「さて…」

 しかし、仲が良くないと言っても事態は進展しない。黙っていて仲良くなるわけでもないし、食器も洗い終わったのでテーブルで面と向かって座る。豪雪はクーラーのリモコンを手にとってスイッチを押していた。

「ふーあつー」

 シャツ一枚、目に毒な光景である。

「暑さを克服するために来た雪女さんが早速冷房のスイッチ押すなんてどういう事でしょう」

「え、ほ、ほら、それは暑いから仕方がない」

 笑ってごまかそうとする雪女にため息しか出てこない。本場の雪女になるとすっごい事になるそうです。

「さ、さーて、そろそろ雪女になる為に手伝ってもらおうかなーっと…」

 ちらちらこちらを見ながらそう言ってくる。結局手伝うしかないのだから波風立たないようにすればいいのに。そして、未だにクーラーつけたまんまじゃないか。

「それで、今日は何をするの」

「んー…今日も集中の練習をしようかなぁと思っていますですはい」

「はいはい」

 何でも、一年後ぐらいに雪女と言う名前を名乗る為の試験があるそうでそれに向けてこういった事をしているそうである。

 雪女と言えば種族を一括しての言葉になるような気がする。でも、名乗れるのはほぼ一部だけだそうで雪女の名前を名乗るのは価値のある話らしい。もっとも、この雪女と言う名前は人間側がつけた者の為に中には雪女という名前を嫌っている者もいる。

 人間が付けたため、ある程度信頼されている元で修行に打ち込むらしい。

「さー集中集中」

 頬をパンパンとたたいている豪雪の隣に行って目を瞑る。集中という修行は僕がただ単にこうやって近づいて頭の中で何かよこしまな事を考えるだけでいいらしい。

雪女が生まれてきたときは能力がまばらであってしかも極端な例が多い。名は体を現す…豪雪の名前は力は強いが使いこなせておらず、暴走する事が多いそうである。例を上げるならば競輪選手が補助輪付きの三輪車、つまりは五輪車ぐらいに乗っていると思ってくれればわかりやすいと思う。

「…よこしまなことねぇ」

「すっごくエッチな事を考えてくれるだけでいい」

 真面目な顔でそんなことを言われる。

「やん、エッチっ」

「…僕じゃなくて豪雪が考えたって始まらないでしょ…」

 もしも、もしもである。今から豪雪を捕まえて妖怪研究に命を賭けているような人に売り飛ばしたらどのくらいの金額が転がり込んでくるだろうか。

「う、うおぅ…な、何この感覚…あたし陽太の頭の中で…剥かれてるかもっ」

 豪雪を売り飛ばして得られた金額……グータラ、家事全般駄目、挙句雪女としては犯人前の名前負けしている点で…

「すごい、僕の方が引き取るからってお金むしり取られてる姿が見えるよっ」

 使い終わった家電はちゃんとお金を出して引き取ってもらいましょう。山中に捨てたりしたら困ります。

「きたきたきたー…具現化成功っ」

 そんなこんなで集中する時間は終了。成果はかき氷が一杯分で来ただけ。

「あー疲れた」

 扇風機に思う存分当ててクーラーは最低温度、僕の方は長袖で対応している。

「…この調子で大丈夫なの?」

「うん、すっごくいけてる。だって生まれてこのかたこんなに前進したことなかったからねー。此処来る前も頑張って練習していたけれどすぐに消える雪ん子ぐらいしか出来なかったよ」

 これも陽太パワーだと言ってくれている。それはそれで嬉しいけれど『雪女』として名乗るにはどうみても力不足だろう。いや、力はあるけれど制御しきれていないからどの道駄目である。

「まぁ、豪雪がそれでいいなら僕は構わないよ。さて、お昼の準備するからこのかき氷片づけて」

「あ、それ食べちゃっていいよ」

「シロップがない」

「はい、どうぞー」

 渡されたのはパイン味のちょっと珍しい気がするシロップ。量はそこまで多いわけでもない為、すぐに片づけられる。

「…クーラーがんがん聞かせてる中でかき氷とかある意味罰ゲーム…」

 そして何だか熱心に見てくる視線があったりするので何だか嫌だ。彼女の努力の結晶を一口進めるごとにあふんとかやんとか言ってきて気持ち悪い。

 最後の一救いを口に入れてようやく尋ねる事にする。

「何?」

「い、いやー、まぁ、そのー…それあたしの力で出したかき氷じゃん?」

「そりゃそうだね」

「まー、それでね…こう、自分の体を食べられているようで、舐められているようで…いわば体液吸われてるようなもんで」

「……」

 何この仕打ち。まるで僕が変態だと言わんばかりの視線である。

「で、ど、どうだった?」

 期待されても僕は落ち着いて答えるしかない。

「そりゃあ…普通だったよ」

「ただいまー」

 そして妹である月子が部活から帰ってくる。

「つ、月子ちゃーんっお兄ちゃんったら私を食べた挙句…普通とか答えやがった―っ」

「おおおおおお兄ちゃんっ。なんて事をっ」

 何このノリ?そして僕が悪いのだろうか。


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