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第十二話:おいでませ罠のお家

第十二話

 忍者?である豪雪と氷柱さんの母親に会った後、二人の部屋へと向かう。ああ、そういえば家族以外での女性の部屋なんて初めて見るなぁと思ったものだ。

「……何と言うか、両極端だね」

 純和風のお部屋。実に趣のある落ちついた部屋…だとしてもそれはあくまで基本的なものである。最初はどこもそんな感じ。後は住人の色に染められて部屋も様変わりを見せてくれる。

 畳の間にラインが引かれており、左が豪雪の部屋じつにごちゃごちゃしているで右が氷柱さんの部屋(ちゃぶ台、箪笥しかない)のようだ。まさかこの部屋もラインを設け、両極端の部屋になるとは思ってもみなかった事だろう。

「豪雪の部屋汚いね」

 思えば僕の部屋も常に豪雪との戦いだった。

「か、勘違いしてもらったら困るっ。これは氷柱の私物もあるんだからねっ」

「…私の私物はもうないぞ。母を見つけるまで帰ってくるつもりはなかったからな」

 だからこんなに部屋が片付いているのか。

「ま、あたしの部屋が汚いとかは置いておくとしましょう」

「いいの?」

「豪雪の部屋だからな。私の部屋じゃない」

「そこ、うるさい。窓の外に雪女がいます…二人程」

「早速か」

 やれやれと氷柱さんは立ち上がり、豪雪は僕の前に陣取る。

「え?何事?」

「さっきもいったでしょ?陽太を狙いに泥棒猫が来るって」

 にやりと笑う豪雪にいたって冷静な氷柱さん。廊下の方で誰かの足音が聞こえてくる。

「あちゃー廊下から来たか」

「……可哀想に」

 心の底から憐れむような声を出して二人はお互いの陣地に入り腰をおろしたのだった。

「……誰か来たんだよね?」

「んー…」



「ぎゃああああああああ」



 ここは忍者じゃないと危険な家だからな。

 ぽつりとそういった氷柱さん。豪雪は立ち上がり部屋から出ようとしたので着いて行こうとすると首を振られた。

「陽太…世の中にはね、見ないほうがいい物があるんだよ。テレビだとそういうのにはモザイクかかるけど人間…それに雪女の頭の中にもモザイクなんて便利な物、ついてないんだ」

「え、これ…笑うところ?」

 豪雪は僕の問いに答えることなく出ていった。

「今頃村の掲示板に『今年の犠牲者一』って書かれている頃だろうな」

「そ、そんなのあるんですか」

「ああ、催しに事故はつきものだ。春祭りとか夏祭り、大雪女運動会に年の瀬雪納め祭なんか包帯女がたくさん出てくるからある意味お化け屋敷だ」

 そんな催し嫌だな。そもそも今回の物は試験なのではないだろうか。

「土曜日になったら私か豪雪が村を案内しよう。それまでこの家…正確に言うと狭いが、この部屋で我慢してくれ」

 出たらどうなるか言わないでもわかるだろうと目で言われた。

 それから約三十分後、豪雪が戻ってきた。

「ふー、ただ今」

「お帰り」

「ご、豪雪ぅっ…その…ほっぺについてる赤い…液体は?」

「ん?……」

 僕に指摘されて豪雪は頬をぬぐう。

「……ケチャープダヨ」

「嘘だぁ」

「ケチャップはほら、赤いもので作るよね?トマトとか血とか」

「…」

「だから大丈夫、あ、でも部屋から一人でぜーったいに出ないでね。夜中、トイレに行くときも起こさないと駄目だよ?」

「う、うん」

 トイレに行って行方不明とか…怪談話に行きそうなものだ。そして朝変わり果てて発見される事になるんだろうな。

「今日はえーっと…何曜日?」

「今日は水曜」

 まだ先は長いようだった。

 その日の晩、いつの間にか戻ってきた小雪さん…名前は可愛らしいのにやることはものすごくえげつないから陽太も気を付けるようにと再三注意を受けている…による食事の後、試験勉強を受けさせられ、ようやくの就寝時間。

「あー疲れた」

 川の字で寝ることになり、いつものように僕を挟んで二人が横になる。

 豪雪も疲れていたようでさっさと寝息を立てており、氷柱さんも眠っている。枕が変わって眠れなくなるわけでもない、何より疲れていたので僕もすぐさま眠りの世界へと誘われたのだった。

 そして、深夜になってトイレに行きたくなった。

「…豪雪、豪雪」

 情けないが、何か忍法的な罠に引っ掛かって泣き叫ぶ自分が夢の中に居た為プライドも糞も捨てて豪雪を起こす努力をする。

「ちょ、や、やだ…こんな人前で…」

「……なんだか今起こすと嫌な予感がする」

 仕方がないので隣に寝ている氷柱さんを起こすことにした。

「氷柱さん、氷柱さんっ」

「……ぐぅ」

 後で知った事なんだけど、氷柱さんは自分から目を覚まさないと起きない人らしい。つまり、外的要因(目覚ましとか王子様のキス)では全く起きない。

 こうなったら一人で行くしかない。

「くそぅ、死亡フラグじゃないかっ…」

 水先案内人を失った僕としては意地でも罠に引っ掛かりたくない。ふすまを開けて廊下が顔を見せる。きっと足元にピアノ線で罠が張られているに違いない。

 よって、匍匐前進で攻めてみることにした。



カチッ



 何かのスイッチは何処かにあったのだろう。次の日、僕は屋根から吊るされた状態で発見されたのだった。


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