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Episode 10

道草ファミリーと同盟を結んでから初めての朝。

姫森ファミリーの近所に拠点を移したと言う事で、打ち合わせが直接出来るようになっていた。


そんな中、彰仁は鈴音に呼び出されて自室に来ていた。

彰仁が部屋の扉を開けると、彼女は椅子の上に脚を組んで座っていた。

何か言いたげな表情をして、彰仁の顔を見ていた。


「何の用だ…?」


彰仁が尋ねると、鈴音は一呼吸置いて話し出した。


「私ね、最近…気になる事があるの。

 あっちゃんが単独で龍神ファミリーの調査をしてた時があったでしょ?

 それと全く同じ時期に、理央くんが龍神ファミリーのボス…

 深淵なる闇と落ち合ったと言う問題が出てきたんだよ。」


淡々とした様子で鈴音が話していると、彰仁は怪訝な顔をして言った。


「そりゃ一体どういう事だ…?」


「花園ファミリーの襲撃があったの、覚えてる?

 その時にあっちゃんは撃たれたでしょ。

 実は…その、あっちゃんを撃つように指示したのが理央くんじゃないのかって。

 正直、信じたくなかった。まさか私達の中に裏切り者が居るなんて思いたくなかったし、ね。」


彰仁は鈴音の話を聞いてある仮説が思い浮かぶ。

一体どうして、理央は自分を殺す様な真似をしたのか…その答えだ。


「奴の考えてる事は分かんねぇが…

 深淵なる闇と落ち合ったって言うんなら、考えられる事は一つだ。

 俺が真尋の為に材料を集めてた事を嗅ぎ付けて、奪い取ろうとしたんじゃねぇのか。

 龍神ファミリーからすりゃ、ファミリーを大きくするために必要な物だろうしな。」


「それはあり得るね…。」


鈴音が頷いていた。

彰仁は更に畳みかける様にして言った。


「処分は考えてねぇのか?」


「今すぐは…ね。状況も考慮しておかないと判断は出来ないなぁ。」


鈴音がそこまで言うと、彰仁は言った。


「お前も気を付けるんだぞ…道草ファミリーの奴らにも、な。」


「言われなくてもそのつもりだよ。」


鈴音がそう答えたのを見て、

彰仁はいつものポーカーフェイスではあるものの何処かホッとした様だった。

そして、彰仁は部屋を後にした。


鈴音は書類仕事を終わらせて疲れたのか、リビングへ向かって行った。

そしてそのままソファに座ってくつろいでいると、理央が何処かへ行く様子だった。

何だか怪しいのでそのまま止める事に。


「ねぇ、理央くん…黙って何処か行こうとしてたよね。

 潜入調査するんだったら、私でも良いし…誰か一緒に来てもらいなよ。」


「いやー…それは大丈夫だよ。」


そう言って冷や汗をかきながら目が泳いでいる理央。

彼のおかしな様子を鈴音が見逃すはずが無かった。


「まさか、龍神ファミリーのアジトにでも行くんじゃないでしょうね…?」


鈴音がそう言うと、図星だったのか理央がしどろもどろになりだした。


「いや、違うよ!違うってば…。

 美味い話があるんだって言って今日、会いに来てくれって言われただなんて知らないよ!」


そう言うと、鈴音の視線が凍り付いた。

後ろには話を聞きつけたのか彰仁も立っている。


「千夜から教えてもらったんだけどよ…お前、路地裏のカフェによく出入りしてるんだってな。

 待ち合わせして闇の取引をしてるんじゃないのかって、乃蒼が目星を付けてたぜ。

 俺を恨むのは構わねぇが、結果としてボスの事も危険に晒す事になってんだ。

 そこんところ、分かってんのか。」


「これはオレのマイヒーロー計画だよ、邪魔しないで貰えないかな?」


理央がしらを切るので、鈴音は溜息を付いた。


「勝手にしなよ。私はもう…あなたの事、仲間だと思わないんだからね。

 行きたいなら行けばいいじゃない。知らないからね。」


「ああ、良いよ!オレもようやく自由に動けると思ってうずうずしてたんだ。

 せいぜい、道草ファミリーのメカクレ君と仲良くすれば?」


理央はそう啖呵を切って出て行った。

彰仁はこりゃ確実にクロだな…と呟いた。鈴音は頭を抱えている様子だったが、

しばらくするとまた、リビングのソファに座ってくつろぎ始めた。


心配になったのか、千夜が近くに来て鈴音に話しかけた。


「あの…ボス、理央さんの事は良いんですか?」


「もう良いよ、言っても聞かないし。何よりあっちゃんを酷い目に遭わせたんだから許せないしね。」


「そうですよね。何が目的で動いてるのかは分かりかねますが…酷いと思います。」


千夜も鈴音が心底呆れている様子を見て、これは酷いなと思ったのだった。

しばらくすると、司令室から航が出てきた。


「衝撃的なニュースが出てきた様だけど、ここでいっそ…気晴らしにトランプでもやらないかい?」


珍しい提案であったが、鈴音と香恋、哲弥、真尋は乗り気の様だった。

彰仁は俺は仕事があるんでな、と言い参加はしないとの事。

哲弥が口を開いて言った。


「ゲームか…たまにはいいかもな。何やるんだ?」


「大富豪とか、ババ抜きでもやろうと思ってるんだ。どうだい?」


「彰仁だったら秒で終わっちゃうよな、それ…。まぁ、良いか。」


哲弥が承諾したので航は司令室に他の4人を招待して準備を始めた。

一方の彰仁は書類の山を見て溜息を付きつつ、仕事に取り掛かっていた。


通信室からは楽しげな声が聞こえている。


「ボス、強いねー。アタシはいつになったらまともに勝負出来んのかなぁ…。」


「香恋ちゃんが分かりやす過ぎるんだよ、顔に出さない様にしなきゃ。」


「アタシ、そんなに顔に出てた?」


「出てたね。」


航が頷きながら言うと、香恋はそんな訳ないしと慌てて否定し出した。

その様子を見て哲弥と真尋は苦笑していた。


「おいおい、ちゃんとやらないとまたボスがいち抜けだぞ。」


「ウチのとっておきは、まだ使わなくて良さそうだねぇ。」


「僕も負けないよ。」


そう言い合いながら、5人は盛り上がっていた。

ゲームの後はお菓子や飲み物を並べて雑談を始める。映画の事やセールの事、評議会の事など

あらゆる事を喋っていた。

そんな中、鈴音が何か外が気になる様子だったので航が話しかけた。


「ボス…理央の事、やっぱり心配なんだろう?」


「あはは…今までは仲間として頑張ってくれてたからね。

 でも、何故あっちゃんに対してあんな仕打ちをしたんだろうって。」


「どうだろうね。乃蒼も、そこは分からないって言ってたし。

 僕は、龍神ファミリーの奴に良い様に言われてやったのだろうと思う…憶測だがね。」


「憶測が事実だったら、どうしよう…。」


鈴音が不安そうに言うと、航はその時はその時だ、と言った。

真尋も彼は何だかんだ言って、肝心な時に姿を消したことが無いから大丈夫なはずだと励ました。


そしてしばらくすると、玄関のチャイムが聞こえた。

書類仕事を終えた彰仁が扉を開けると、そこには息を切らしながら幾馬が立っていた。

彰仁は言った。


「一体どうした、そんなに慌てて。」


すると、幾馬は息を整えて話し始めた。


「俺は見てしまったのだ…。お前達のスナイパーが、

 龍神ファミリーのボスに言われるがままに密輸や殺人を犯している所をな。」


「理央の奴…何が目的なんだ。」


「それは解らない。だが、あの時挨拶に行った時は少なくとも…味方であったはずだろう?」


「お前らから見たらな…。ただ、面倒な事になったぜ。

 ボスは通信室で親睦会とやらをやっている。後で俺が伝える事にするよ。

 姉貴は大丈夫か?」


彰仁はやれやれだ、と言った後にいつものポーカーフェイスに戻った。

そして、さりげなくであるが歩美の事も心配している様だった。


「ああ…ボスは問題ない。とにかく、決戦の日まであっという間に時間が過ぎる事だろう。

 良く準備しておかねばな。それでは。」


「ああ、また何かあれば教えてくれ…じゃあな。」


彰仁はそう言って幾馬に会釈をすると、玄関の扉を閉めて司令室に向かった。

そして扉を開けて開口一番に言う。


「道草ファミリーのアンダーボス、幾馬が尋ねて来たぞ。

 奴の話によると、どうやら理央は…龍神ファミリーに言われるがままに、

 密輸だ殺人だあくどい事をしてる様だ。

 場合によっちゃ、アイツも敵として討伐しなきゃいけなくなるだろうな。」


彰仁が言うと、鈴音が真剣な表情で言った。


「久志くんに連絡して。代わりにスナイパーとして現場に居てもらうから。

 私達はどうするか、よく考えなきゃね。」


「ああ…面倒臭ぇ事になったがな。」


鈴音と彰仁が言う事に、他の4人は頷いていた。

香恋は不安そうになって言った。


「ねぇ、ボスにアッキー。理央は敵になったの…?」


「俺もそう思いたくはねぇが、今の状況じゃ…敵としか認識出来ねぇな。」


「私もそうだと思うよ。でも、救う方法はあるかもしれない…。

 中途半端な事は絶対に許されないけどね。」


鈴音と彰仁、それぞれが答えた。

香恋はまだ不安が拭えていないようだったが、皆が居るならと思い心を落ち着かせることにした。


PC室から乃蒼が出てきた。

そして、どこか神妙な顔をした彼女の口から衝撃の事実が告げられる。


「龍神ファミリーの新しい情報よ。

 今までは深淵なる闇と言う不気味な男の名前しか載ってなかったの…覚えてるかしら?

 理央の名前も、そこにあったわ…。」


「確定だな…奴は敵だとすげぇ厄介だぞ。

 千里眼の持ち主でな、()()()()()()銃弾を当てられるんだぜ。」


彰仁がやれやれ、と言った表情になって口を開いた。

哲弥が頭を抱えながら言った。


「理央が敵とか面倒にもほどがあるって…。

 俺、アイツとまともに戦ったら死ぬかもな。」


「そうならない為に、臨機応変に動けるようにしとくもんだろ。

 何かありゃ航がサポートしてくれるぜ、アイツは俺の代わりを出来る様な器だ…。」


「それもそうか。」


哲弥は納得した様子でニッと笑っていた。


ファミリーに新たなる試練が訪れる。

それは、仲間の裏切り。

果たして、理央はどう動くのか…。

そして、姫森ファミリーはどうなるのか。

明日の事は、誰にもわからない。

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