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短編集

なんか落ち着くんです

作者: 歪んだ部屋

書いてる小説が煮詰まったので、息抜きに思い付きで書いてみましたわ~

脳内から出た言葉を直で入力していま~す。はいまたがんばりま~す

 とうとう我々勇者一行は魔王の居場所へと辿り着いた。


 俺たちは幾多の試練と強敵を潜り抜けた。


 四天王、闇堕ちした七英雄、暗黒五代将軍、三人官女、六代将軍の内の四人、高橋是清、俺の職場にいた人を選んで挨拶する無能etc………


 血塗れになりながらなんとか魔王のいるフロアへと続く階段を登った先に、そこはあった。


 厳然たる白い石畳に囲まれたバカでかい空間、篝火の点る先にそびえたつ玉座が控えている。


「このフロア...すごい邪気を感じるよ。きっとここに間違い無いよ!!」


 メガネっ子の金髪ショートの僧侶が額に汗を垂らしながら、俺へと顔を向ける。

 俺は緊張した面持ちで黙って頷き返す。

 やっぱアイツきゃ~~~わい~~~~いぃな~~あ。終わったら告白しよ。


 魔法使いのジジイとふくよかなタンク、何考えてるかわかんないタイプの暗殺者のやつもどうやら同じ気配を感じているようだった。みんな同じ歴戦の戦士だもんな。そうだろうそうだろう。


 だが、玉座にいるはずの魔王はいなかった。一匹の魔物の気配すらしない。

 一体...どういう事なんだ?


「とにかく、あたり一帯を良く調べるんだ。もしかしたら何か仕掛けが」


 俺が声を掛ける前に、あいつらは玉座の裏側の部屋の奥の一角に集まっていた。

 なんか見つけたんなら俺に言え!ホウレンソウはどうした!!


「…何か見つけたのか?」


「ヒェッヒヒヒ.......これ、見て見ろよォ」


 暗殺者くんが、指さした先には壁に埋め込まれたドア一つくらいの奇妙な窪みがあった。


「この中に一体何が……」


「強い気配を感じます!」


 僧侶がさらに緊迫した声を上げる。

 全員が顔を見合わせ、固唾を飲む。

 ヤツはこの中だ

 ん?ちょっと待て。


 終わったら、僧侶に告白しようと思ってたけど、でも出来るかな俺。いきなり好きですとか言われたら迷惑じゃない、かな?


「いくぞ!」


 デ…ふくよかタンクが意を決してドアを開ける。

 俺大丈夫かな?


 そこには緑色のローブに身を包んだ、人の形をした禍々しい気を放つ中肉中背の魔物が椅子に肩肘をついて座っている。間違いない、魔王だ。


 魔王はドアを開けたすぐの所にいた。というか結構目の前にいた。距離は58ポネペーロん。日本語だと2メートルくらいだ。天井と壁の幅は魔王の背丈に合わせているのか、ほとんど余裕がない。


 魔王は椅子に座ったまま、黙って俺たちのことを見ている。


 ついに……ついに辿り着いた!

 この世界に生きる全ての敵。滅ぼされた街や村は数知れず。ヤツのおかげで……俺の村も滅ぼされた。いや嘘ついた。俺の家だけだ。勇者だからって事らしい。アメリカ軍のピンポイント爆撃より綺麗にやられた。村の住人からは形ばかりの同情をいただいた。寄り添ってくれるだけでもありがたいので一人一人丁寧にお礼をした。


「ようやく会えたな魔王!貴様との決着、ここでつける!!」


 こういう事、言って見たかったんだよね〜

 もう一生使わないと思ってた!異世界転生したら言おうと思ってて練習してたんだよね〜!


「生きてお前に会えるとはな、長生きはするもんじゃな!」

「ここで出会ったが百年目ぇ〜必ずお前を倒してやるからなぁ〜」(声太め)

「母さんの仇、ここで討たせてもらいます!!」

「ケヒャヘヒャハァ!!!お~れの八人の家族と結婚するはずだった恋人、村の仲間、ペットのミーちゃん(パンダウサギ)、学校の先生、バイト先の先輩、相談相手の公園のおじちゃん、殺されたみんなと同じ目に合わせてやるよぉ!!!!!」


 え?そんなに殺されちゃったの?ちょっとひどいな。許せん!!!


「おい!!ちょっと待ってくれ!!」


 襲い掛かろうとする仲間たちを前に俺は叫んだ。


「どうした?」「どうしたんですか?」「え~?」(太い声)「いいからはやくぶっ殺させろぉ!!」


「思ったんだが......」


 全員がこちらを見ている。


「トイレしてるところをみんなで見てる感じしない?」


 今、五人の大人が小さな部屋に座る魔王とにらみ合っている。

 なんかそんな風に見えたのだ。ちょっとかわいそうになってきたのだ。


 そう、異世界転生する前の俺はある光景を思い出していた。

 あれはまるで...


「いじめだよね」

「そうそうそうそう!今俺それ言おうと思ってた!」


 さすが魔王だ!心を読んできやがった!!


 くそっ!!これじゃあなんか今倒すのを躊躇しちゃうじゃないか!!

 けど待ってなんかいられない!


 さらにもう一つ大きな問題が発生した。

 入り口も中も狭いので四人全員が入ることが出来ない事にタンクが気が付いた。

 タンクは身体が割とでかいのでアイツが入ると入り口全体が塞がれて魔王が見えなくなるのだ。こういう時は邪魔だな。タンクの脇の下から剣を入れて刺そうと思ったが、タンクの頭で魔王が見えないのとあんまり力が入らない。

 俺とタンクがああでもないこうでもないする様子を他の三人が棒立ちで見守っている。

 まさか、これがやつの狙いだったとしたら...


「あ、いい事思いついた!」


 俺は叫ぶ。これはいけるぞ!


「じいさん!魔法でやっちまえ!」

「ほいや!!ワシの出番じゃな!!」


 魔王の下に魔法陣が浮かび上がる。いくら魔王といえどジジイの最大火力には耐えられんはずだ!


「プロミネンスフレアー!!!!」


 すると、突然魔王が立ち上がりスタスタとこちらに近づいて来た。

 魔法陣はきっちり部屋の範囲内しか作られていなかったので少し歩けば容易に範囲外に出るのだ。魔王の背後で10兆度の灼熱が下から上へと伸びていき、そして消えた。


 出てきた魔王に慌てた俺とタンクが剣と斧を振りかざすが、魔王もあわてて元の位置に戻った。くっそ!逃げられた!!


 再びさっきと同じ体勢で座りなおした魔王に俺とタンク、暗殺者くんで行こうとするがやはり入り口が狭すぎて引っかかってしまい、武器もギリギリで届かない。

 やはり打つ手なし、か。


「一つだけ聞かせて!どうして...どうして私の母さんを殺したの!?」

「君のお母さんは君が学校に行っている間に仕事場の上司と不倫関係にあった。母の帰りを待つ君が腹を空かせて待っている間にな」


「え......」


「それだけじゃない。それを咎めた同僚にSNSで誹謗中傷を受けたとありもしない作り話をでっちあげ、その同僚は自殺したんだ。話を聞いていた僕は、それが許せなかったんだ...」


「.......」


「後、カレー食べる時にすんごい混ぜてから食うの、あれめっちゃ嫌だった」


「許せない.........やっぱり許せないよ.......こんなの」


 僧侶は声を震わせ泣いていた。お母さんの話はほんとの話なんかな、あれ。


「やはり、この技を使う時がきたようだな.........」


 俺は覚悟を決めた。俺は勇者としての責務を全うする!!


「まさか............お主あれをやるつもりか?!」

「やめなよぉ~そんなことをしたら君だけじゃなくて世界が持たないよ~」(略)

「まだ早いわ!!私たちが力を合わせればまだ戦えるはずよ!!もう少し待って!!」

「ケヒャヒャヒャヒャア!!やっちまえ勇者!!」


「みんな......悪いな、もう多分これしかないんだ」


 俺の勇者の剣が光を放ち始める。

 俺には勇者として与えられた力がある。世界中から力を少しだけもらい、それを悪を倒す力に変えるのだ。


 ワ〇ン、ポ〇タ、Vポイ〇ト、すべての世界のお買い物ポイントが俺の剣に集まっていく。

 今回は...........全世界から一人半分ずつだ!!


「ファイナルファイヤ~~~~!!!!」


「ぎにゃーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 魔王はぶっ殺された。

 非情にならねばならない事もある。

 ごめんで済んだら警察は入らないという言葉もある。


 後日、俺は魔王の玉座の奥の、あの部屋を訪れた。

 試しに座ってみる。


 思ってたより落ち着いて、いい感じだった。END


魔王のいる部屋ってむだにめっちゃ広いイメージがあったので、逆にすごい狭い所にいてもいいんじゃないかと思って書きました。ご感想お待ちしております。

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