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僕の下着革命は友達が少ない  作者: 常陸之介寛浩
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プロローグ: 俺の青春がパンツで始まるなんて聞いてない

 俺、佐藤悠斗、16歳。友達ゼロの高校生だ。青春? そんなものは俺には縁がない。毎日が単調で、せいぜい昼休みに一人で弁当を食べて、「はー、今日も平和だな」と呟くくらいが関の山だ。まあ、平和が一番だろ? 刺激なんて求めないよ。俺は地味に生きられればそれでいい。

 俺は平凡な高校生そのもの。黒髪短髪で、顔立ちも特に目立つところはない。身長は平均的で、制服の白シャツと紺ズボンが地味な印象。肌は少し日に焼けた健康的な色合いで、部活で走り回ったせいか、腕にはうっすら筋肉のラインと汗のツヤが見える。自分の汗の匂いがほのかに漂い、昼休みの教室のざわめきの中で少しだけ気になる。

 教室の窓から差し込む昼下がりの陽光が、机の上にまだ残る弁当の包み紙を照らしている。弁当の残り香――母ちゃんが作ってくれた卵焼きのほのかな醤油の匂いと、ご飯の温かい香りが鼻をくすぐる。俺は箸を手に持ったまま、ぼんやりと窓の外を眺めていた。外では運動部の連中がグラウンドで騒がしく笑い合っていて、遠くから汗と土の匂いが風に乗って漂ってくる。俺には関係ない世界だ。

 隣の席が空いてるのはデフォルトだし、周りのクラスメイトは楽しそうに騒いでる。女子グループの笑い声が響き、誰かが持ってきたお菓子の甘い香りがふわっと漂ってくる。まあ、いつもの光景だ。俺は唐揚げを箸でつまんで口に運び、「今日も平和だな」と呟いた瞬間、教室のドアがバーン! と勢いよく開いた。

 現れたのは、学園一の美少女にして風紀委員長、神崎麗華だ。黒髪ロングをなびかせ、鋭い目つきで教室を見渡す姿は、まさに「完璧」の二文字が似合う存在。彼女の黒髪は高いポニーテールにまとめられ、紺ブレザーをピシッと着こなす姿が凛としている。肌は白く、陶器のように滑らかで、頬にはほんのり自然な赤みが差している。彼女が近づくと、ほのかにフローラル系のシャンプーの香りが漂ってくる。クラス中が一瞬静まり返る中、麗華の視線が俺にガチッとロックオン。

「佐藤悠斗! お前だな、下着泥棒の犯人は!」

「……は?」

 俺、弁当の唐揚げを箸でつまんだまま固まる。唐揚げの油っぽい匂いが鼻をつく中、教室が「うわっ!」と一斉にざわつき、誰かが「佐藤ってそんな奴だったのか!?」と叫ぶのが聞こえた。いやいやいや、ちょっと待て! 下着泥棒!? 俺が!? 何のメリットがあってそんな犯罪に手を出すんだよ! 俺はただの地味な高校生だぞ!

「ち、違う! 俺じゃない! 冤罪だ!」

「言い訳は後で聞く! とにかく来い!」

 麗華がズカズカと近づいてきて、俺の腕をガシッと掴む。彼女のフローラルな香りが一瞬強く漂い、俺の汗臭い匂いと混ざって妙な空気を作り出す。弁当を置く間もなく、俺は引きずられるようにして教室を出た。教室のざわめきが遠ざかり、廊下の埃っぽい匂いが鼻をつく。向かった先は職員室の奥、誰もいない会議スペース。会議室に入ると、机の上に積まれた書類のインクの匂いと、窓から漂う外の草の香りが混ざり合っていた。

 麗華は俺を椅子に座らせ、腕を組んで仁王立ちだ。彼女の白い肌が、会議室の蛍光灯の下でさらに輝いて見える。

「お前が女生徒のロッカーから下着を盗んだ証拠が上がってる。観念しろ」

「いや、だから俺じゃないって! 証拠って何だよ! 俺、女生徒のロッカーなんて近づいたことすらないぞ!」

「ふん。体育館裏で怪しい動きをしてた目撃情報がある。言い逃れは無駄だ」

「体育館裏!? あれはただ弁当食う場所探してただけだよ! 友達いないから人目につかないとこ選んだだけで!」

「……まあいい。証拠を確認する」

 麗華がカバンから何か取り出そうと屈んだ瞬間、窓から吹き込んだ風が彼女のスカートをふわりと持ち上げた。風が運んできた外の草木の匂いと一緒に、俺の視界に飛び込んできたのは、純白のパンツ! シンプルで清楚、風紀委員長らしいデザイン……って、んなこと考えてる場合か! 俺は慌てて目を逸らすが、麗華が顔を真っ赤にして叫ぶ。

「きゃああ! お前、今見たろ!? 私のパンツを見た罪で死刑だ!」

「いや、見てない! 見てないって! 風が悪いんだよ! 俺は悪くない!」

「言い訳無用! お前、死ね! いや、死ぬ前に私の下僕として働け!」

「下僕!? 何だよそれ! てか死刑って何!? 罪状急に重くなりすぎだろ!」

 麗華が顔を真っ赤にして俺を睨む。彼女のフローラルな香りが、怒りと一緒に一層強く漂ってくる。こうして、俺の青春は一気にカオスな方向へ突き進むことになった。麗華曰く、「この恥を隠すため、お前は私の下僕として学園の下着ルールを改革する部活に入れ」とのこと。いやいや、ちょっと待て。俺、友達ゼロで地味に生きてきただけなのに、なんでこんな目に!? しかも「下着改革部」って何だよ! そんな部活、聞いたことねえぞ!

 俺の青春、これでいいのか? いや、絶対よくないだろ!



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