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第6話 異世界令嬢、スイーツに衝撃を受ける!

 カフェ・ルミエールの厨房に、甘く芳ばしい香りが広がっていた。


「ふふ、メルちゃん。働いた後は、甘いものが欲しくなるだろう?」


 老婦人が、にこやかに微笑みながら、手際よく焼きたてのスイーツを並べていく。


 黄金色に焼き上げられたスコーン。表面はさっくりと割れ、バターの芳醇な香りがふわりと広がる。

 ふわふわのシフォンケーキ。ナイフを入れると、しゅわっと儚く崩れる柔らかさ。

 濃厚なガトーショコラ。艶やかなチョコレートガナッシュがたっぷりかかり、しっとりとした口当たり。

 表面はカリッと、中はもちもちのカヌレ。ラム酒のほのかな香りが鼻をくすぐる。

 そして、バターの香ばしさとシナモンの甘い香りが漂う焼きたてのアップルパイ。


「さあ、好きなものを選んでお食べ」と老婦人が微笑む。


 メルの目が、キラキラと輝く——!


「おばあちゃん、今日の新作は?」


 響が興味深げに覗き込む。


「今日は、ふわふわのシフォンケーキと、特製の濃厚チーズケーキさ」

「シフォン……ケーキ?」


 メルフィーナは聞き慣れない単語に首をかしげた。


「ふふ、メルちゃんのお口にも合うと思うよ。さあ、食べてごらん」


 おばあちゃんが、そっとメルの前にシフォンケーキを置く。


 ふわりと漂う甘い香りに、メルの目が輝いた。


「これは……?」


 貴族の菓子とはまるで違う。


 焼き菓子なのに、驚くほど軽やかで、まるで雲を手のひらにのせたような感覚。

 指でそっと押せば、ふわりと沈み込み、まるで空気を含んだ綿のように弾力を持って戻る。


「食べてみなよ」


 響がスプーンを差し出す。


「えっ? ナイフとフォークは……?」

「いや、それ普通にスプーンで食べるものだから」

「そんな……! 貴族がスプーンでスイーツを!?ですが、これは貴族の常識を覆す革命的な食べ方……!」

「革命とか言うな」


 メルは恐る恐るスプーンを入れ、ふわっとした生地をすくう。

 ふわりと沈みながらも、しっとりとした弾力が指先に伝わる。


 口に運んだ瞬間——。


「……っ!」


 メルは目を見開いた。


「こ、これは……! 口の中で……消えていきますわ!!」

「だからシフォンケーキってそういうもんだから」

「信じられませんわ……!! まるで雲を食べているかのような、この儚さ……! いや、これはもはや——天使の祝福!!」

「いやいやいや、大げさすぎんだろ!!」

「響!! これはまさしくスイーツ界の革命ですわ!!」

「革命って言うな!!」

「貴族のスイーツは、豪華さこそあれど、ここまで繊細な食感ではありませんわ……!」


 メルは手を胸に当て、感動を噛み締める。


「……ねえ、おばあちゃん。この子、本気でスイーツにハマったんじゃない?」


 老婦人は穏やかに微笑んだ。


「ふふ、メルちゃんのように喜んでくれると、作り甲斐があるねぇ」

「この感動……ぜひとも、王宮の貴族たちにも届けてあげたい……!」


 メルは胸に手を当て、真剣な顔で決意を固めるのだった。


 →次回:「異世界令嬢、スイーツの虜になる!」


 未知なるスイーツとの出会いに衝撃を受けたメル。


 そして彼女は、さらなる“究極の一品”を求めることに……!?



 次回、異世界令嬢がカフェのスイーツ革命に挑む——!?


 →次回:「異世界令嬢、スイーツの虜になる!」


 未知なるスイーツとの出会いに衝撃を受けたメル。


 そして彼女は、さらなる“究極の一品”を求めることに……!?


 次回、異世界令嬢がカフェのスイーツ革命に挑む——!?

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