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第18話 新たな挑戦!究極のスイーツを作りますわ!

 カフェ・ルミエールの厨房に、メルフィーナの真剣な表情が浮かんでいた。


「紅茶に合う究極のスイーツ……私だけの看板メニューを作らなければなりませんわ!」


 先日のスイーツコンテストでの優勝を機に、メルは新たな課題に挑んでいた。


 紅茶とスイーツは切っても切れない関係。


 しかし、メルにはまだ 「これこそが私の看板スイーツですわ!」 と胸を張って言える一品がなかった。


「今のメニューでも十分美味しいんじゃないか?」


 厨房の隅で腕を組んでいる響が、興味深そうにメルを見つめる。


「いいえ、それでは足りませんわ!」


 メルは鼻を鳴らし、次々と材料を取り出した。


「このお店にしかない、私にしか作れないスイーツを完成させるのです!」


「……お前、本当にこういう時はやたら気合入るよな。」


 呆れつつも、響はカウンターに肘をつきながら見守る。


「それで、具体的には何を作るつもりなんだ?」


 メルはテーブルにずらりと並べた材料を指差した。


「紅茶の香りを最大限に引き出し、なおかつ甘さと食感のバランスが完璧なスイーツですわ!」


「つまり?」


「まだ決まっておりませんわ!」


 自信満々に言い切るメルに、響は思わず吹き出した。


「ははっ、お前な……」


「何を笑っていますの? これから決めるのですわ!」


 メルは腕を組み、じっと材料を見つめる。


(シフォンケーキもミルフィーユも良いけれど、それ以上に“紅茶との調和”を重視したスイーツ……何が最適かしら?)


 そこでふと、彼女の脳裏に浮かんだのは 「パウンドケーキ」 だった。


 シンプルだが、奥深い。紅茶の風味を存分に生かせる。


「……パウンドケーキにしましょう!」


「おっ、ようやく決まったか。」


「ですが、普通のパウンドケーキではありませんわ! 紅茶の香りを最大限に生かし、さらに食感を工夫して——」


 メルはすぐに試作に取り掛かる。


 アールグレイの茶葉を細かく砕き、バターと合わせて香りを引き出し、生地に混ぜ込む。


 ふんわりとした生地にしつつも、しっとり感を損なわないようにするのがポイントだった。


「よし、焼き上がりましたわ!」


 焼きたてのパウンドケーキがオーブンから取り出されると、厨房には甘くて芳醇な紅茶の香りが広がる。


「おぉ……これはすごい香りだな。」


 響が驚いたように目を見開く。


 しかし——


「……まだですわ!」


 メルはケーキの一切れを口に運び、目を閉じた。


 (悪くない。でも……完璧ではありませんわ!)


 甘みと紅茶の香りのバランス、しっとり感、食べた後の余韻……


 何かが足りない。


「もう一度やりますわ!」


 そうして、メルの試作は続いていった。


 2回目の試作——


 茶葉の種類を変え、より香りが立つものを選ぶ。


 しかし、焼き上がると香りが飛びすぎてしまう。


「……違いますわね。」


 3回目の試作——


 紅茶の抽出方法を工夫し、茶葉のエキスを牛乳に染み込ませる方法を試す。


「これは……少し良くなりましたわ。」


 響が味見をして、少し眉をひそめた。


「おい、俺の舌も限界なんだけど?」


「文句を言わないでくださいませ! これは研究なのです!」


 メルは妥協を許さず、さらなる調整を続ける。


 4回目の試作——


 茶葉だけではなく、紅茶のシロップを加えることで、味わいをより深くする。


「……これは……!」


 メルの目が輝いた。


 しかし、まだ足りない。


「何かが……決め手が必要ですわ。」


 彼女は試作品を前に、再び考え込む。


(究極の紅茶スイーツ……本当に紅茶と調和する、そんな一品を……!)


 メルの挑戦は、まだまだ続く——!




→ 次回 「異世界令嬢、究極の味を追求しますわ!」


 試行錯誤を重ね、ついにメルの看板スイーツが完成!?



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