第10話 異世界令嬢、スイーツコンテスト本番!
◆ 異世界令嬢、スイーツコンテスト本番! 勝利の栄光は誰の手に!?
カフェ・ルミエールの厨房に、緊張感が漂っていた。
コンテスト当日——ついに、メルの究極のミルフィーユが披露される日が来たのだ。
「……大丈夫、やれるわ」
メルは深呼吸をしながら、自分に言い聞かせた。
これまで何度も試行錯誤し、ついに完成した自信作。
彼女の心には、不安よりもワクワクする気持ちが勝っていた。
「お嬢様、準備はできてるか?」
響が隣で、腕を組みながらニヤリと笑う。
「もちろんですわ! 今日の私は負けません!」
エプロンをきゅっと締め直し、メルは決意を新たにした。
◆ スイーツコンテスト、開幕!
会場に到着すると、すでに多くの参加者が準備を進めていた。
会場には甘い香りが漂い、焼き菓子や生ケーキ、チョコレート菓子など、さまざまなスイーツがずらりと並んでいる。
「すごい……どれもレベルが高そうですわね」
メルは思わず息をのむ。
街の有名なカフェやパティシエたちが一堂に会し、それぞれが自信作を持ち寄っていた。
「メルちゃん、気負わなくていいんだよ。自分が作りたいものを作ればいい」
老婦人が優しく微笑む。
「ええ……ありがとうございます!」
メルは改めて気合を入れ、ミルフィーユ作りに取り掛かった。
◆ 究極のミルフィーユ、作りますわ!
審査員と観客の前で、出場者たちは実際にスイーツを作るパフォーマンスを行う。
メルは迷わず、パイ生地を広げ、慎重にカットし始めた。
「……このサクサク感を出すためには、焼き加減が重要ですわ」
黄金色に焼き上げたパイ生地を冷ましながら、彼女は手際よくカスタードクリームを準備する。
紅茶を煮詰め、濃厚な風味を引き出した特製カスタード——。
それを生地の間に丁寧に重ねていく。
最後に、表面にキャラメルソースを薄く塗り、バーナーでカリッと焼き上げる。
「ふふ……これで完璧ですわ!」
仕上げに、金粉をひとふり。
優雅で気品あふれる、究極のミルフィーユが完成した。
◆ ライバル登場!? 強敵たちのスイーツ
「おやおや、お嬢さん、なかなか見事なスイーツじゃないか」
隣のブースから、ひとりの男性が声をかけてきた。
彼の名前はユリウス・グランベリー。
この街の有名なパティシエで、毎年スイーツコンテストの上位に入る実力者だ。
「君のミルフィーユ、なかなか興味深いね。僕の新作とどちらが美味しいか、楽しみだよ」
彼が作っていたのは、ベルギーチョコを贅沢に使ったガナッシュタルトだった。
さらに、もうひとりのライバルが現れた。
「へぇ、お嬢様がスイーツコンテストに出場するなんて、面白いわね」
女性パティシエのレナ・フォスター。
彼女は和風モンブランを披露していた。
「どれもレベルが高いですわ……!」
メルは、ライバルたちのスイーツを見て、改めてこのコンテストの厳しさを実感した。
(でも……負けませんわ!)
気持ちを切り替え、彼女は自信を持ってミルフィーユを審査員の前へと運んだ。
◆ 審査結果発表! 果たして優勝は!?
全ての審査が終わり、ついに結果発表の時がやってきた。
会場に緊張が走る。
「それでは、今年のスイーツコンテストの優勝者を発表します!」
司会者が封筒を開く。
そして——。
「優勝は……カフェ・ルミエール、メルフィーナ・ランビエールさんの“究極のミルフィーユ”です!」
「えええええええええ!?」
メルは目を丸くした。
「やったな、お前!!」
響が驚きながらも、メルの肩を叩く。
「ふふ、おめでとう、メルちゃん」
老婦人も温かく微笑んだ。
「メルフィーナさんのミルフィーユは、サクサクのパイ生地と紅茶の風味が絶妙にマッチし、キャラメリゼの香ばしさが上品にまとまっています。何より“独創性”の面で群を抜いていました!」
メルは、思わず胸を押さえる。
(私が……優勝……!?)
この世界に来て、働くことすら初めてだった彼女が、自分の力で勝ち取った栄冠。
「……ありがとうございます!」
目を潤ませながら、メルは深々と頭を下げた。
→ 次回:「異世界令嬢、新聞に載って有名になりますわ!?」
スイーツコンテストでの快挙により、一躍有名になったメルフィーナ!
しかし、それが思わぬ事態を引き起こし——!?
「えっ……私が、新聞に!?」
次回、異世界令嬢の名が街に広まる!?
波乱の展開にご期待ください!




