イケメンくん、嫌い
「知ってるって…どういうこと?」
思わず聞いてしまった。明らかに苦手で関わりたくないタイプだけど、次の場所へ行けるかもしれないチャンスには変えられないだろう。
「実は俺たちね…次の街から来たんだ」
やはりそうか…。
どうりで全員アイロニーでは見ない豪華な装備をしている訳だ。
だったら話は早い。
「教えてくれ!次の街への行き方を!」
ショウは俺の肩に手をぽんと置き嘲笑した。
「むり」
「へ?」
「だから……むり」
何を言ってるんだこいつは。
自分たちから話し出してといて断るって…。
俺も沢山ゲームをやってきた身だからもう理解した。
コイツは…コイツらは"害悪プレイヤー"だ。
【完クリの掟】〜!!
今回は害悪プレイヤーについて解説するの!
ゲームをしてたら聞くかもしれないこのワード。
害悪プレイヤーとはズバリ頑張ってプレイしてるプレイヤーを邪魔する、不快にするプレイヤーなの。
例えば自分が頑張って作ったものを壊したりチャットで暴言を吐いたりするプレイヤーなの。
正直みんなが楽しむためのゲームなのにそれを壊す害悪プレイヤーなんて○ね!!!
失礼したの。ついつい本音が……。
やっぱりコイツらはヤバい奴なんだ。
……うんそうだな。
こんなチャンスもう無いかもしれないけどここは立ち去ろう。
嘘は言って無さそうだけど、貴重な情報源かもしれないけど俺の幸せなゲームライフをアホ共に壊されてたまるか!
「教えてくれないんだったらもういいです……じゃあ僕はこれで」
俺が背を向けて歩き出すと、今度はさっきよりも強い力で引き止めてきた。
「待ってくれ!行き方は"まだ"教えられないだけなんだ!」
「と言うと?」
「次の街にはアイロニーのようにクエストが受けれないんだ!だから次の街行ったところで面白くなくて苦しむだけなんだ」
「つまり?」
ショウはさっきの嘲笑はどこ行ったのか真剣な眼差しでこちらを見つめた。
「クリアが目的じゃないやつは次の街には行って欲しくない」
俺はイラついてきた。話の筋が一向に見えないからだ。
時間の無駄だよこんなの。
「結局何が言いたいんだよ!?」
ショウは俺の精一杯の怒声を超えるくらいの大きな声で叫んだ。
「審査をさせてくれ!!君が次の街へ行くに相応しいプレイヤーか見てみたい」
はぁ?何言ってんのコイツ……。
面倒くさそうの次元を超えてる。
あんだけ期待させてそれかよ。もういいよ。
俺は石を採掘しに奥へ行く。またな。
俺はまた無言で立ち去ろうとしたが、またまた手をかけてきて止められた。
「君には素質を感じたんだ。やると言うまで俺は止め続けるよ!」
ショウの後ろの3人も仲間になりたそうにこちらを見ている。
え〜まじかこいつら。ヤバい奴もヤバい奴、イカれてるよ。
オンラインゲームってこんな強引に誘っても無理だって知らないのかよ。
……もしかしてこれうんって言わないと返してくれないんですか??
え……え?
「…わかったよ…受けます…!」
ショウ達の顔から光が浮かんだ。
「ありがとう!!じゃあ君の名前を教えてくれないか?」
正直教えたくないが、もう話を長引かせたくないので俺は正直に答えた。
「"わん"です」
「いい名前だね!じゃあ俺達も自己紹介を!俺は"ショウ"次にこいつが〜」
ショウは後ろにいた3人のうち、唯一の男を指さした。
「こいつが"クラウン"」
「よろしくね〜」
「それでこの子が〜」
次にへそ出しで腹筋バキバキの戦闘スタイルな女の子を指さした。
「この子が"はぁと"」
「よろしくな!」
「で、彼女が〜」
最後に長い黒髪で和の着物を来ている女の子を指さした。
「彼女が"お嬢"」
「よろしくお願いしたしますわ」
そしてショウはこちらを向いて一言かけた。
「これから少しの間だけどよろしくな!わん!!」
……だる。
ショウ達はホントに異世界漫画の勇者パーティーみたいな装備してます。アイロニーにはボロ雑巾みたいな色の服しか着てる人が居ないのでめちゃめちゃ街で目立ちます。ですが目立ちたがりのショウはさらに赤髪までして傘増ししてます。ちなみに髪色や髪型だったりリアルでも簡単に変えれるやつは専用の場所で変えれるよっ!