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初クエスト、毒

「とりあえず…自己紹介……しませんか…?」

「そうだね!呼び方とかも決めとかないとだし」


 2人は酒場にある1つの丸テーブルを囲み、話を始めた。


「俺はわん。普通にわんとか呼び捨てで良いよ!」

「わんさん…わかりました!えと…私ですね!私はメイです!私も呼び捨てで大丈夫です…!」


 少し話してみて分かったが思ったより根暗という感じじゃないな。まぁそらそうか。ゲームのキャラと現実のキャラは違うしな。


 自己紹介が終わり、2人はクエストの内容をお互い確認した。


 俺が選んだクエストは"毒キノコ採集"名前の通り、森に生えている毒キノコ"ドクドク茸"を30個採集するクエストだ。報酬はこのゲームの通貨である"G(ゴールド)"を100Gだ。これが報酬的にウマいのかどうかはまだ分からない。


「30個か…大変だ…!」


 メイは驚いているが俺にとっては30個など0個と何が違うのか分からない。俺は依頼の紙を看板娘である、胸にアリサとネームプレートを付けているブロンド髪の美少女に手渡した。


「毒キノコ採集ですね!分かりました!ではこれを!」


 アリサから依頼の紙に受諾とスタンプを押されそれを返された。クエストを達成してこの紙をまたアリサに渡すと報酬が貰えるらしい。


「それでは、行ってらっしゃい!」


 アリサに見送られ俺とメイは酒場を後にした。森からアイロニーに入ってきた時と同じ、唯一出入りが出来る看板の場所から森へ出る。ドクドク茸のよく生えているポイントまでは少し距離がありそこまで歩く必要があった。


 その間お互い無言で気まずい時が流れる。気まずくてしょうがない。なんたって俺は女子と話した記憶が無い生粋のゲーマーだ。普通に考えて話を途切れさせないなんて出来る訳無くないか?


「わんさんはこのゲーム始めて長いんですか?」


 メイが無言を断ち切ってくれた。

 助かった。やったー。


「いやいやいや!俺は今日始めたばっかで……」

「そうなんですね…!私は始めて1週間くらいですね。私の方が少し先輩なんで色々教えてあげますよ!」


 俺にはゲームをプレイする時に掲げている信条がある。それは『他人の力を極力借りない』こと。世間では"キャリー"なる言葉がある。キャリーとは上手いプレイヤーによいしょしてもらって自分も簡単にクリアすることだ。


 俺はプレイするゲーム全て、自分の力だけでクリアしたいんだ。クエストみたいな最低人数があるのは不可避だけど。だからメイの提案は正直ありがた迷惑だった。だから俺は気遣ってくれた優しいメイをやんわり断る。


「…ありがとう!じゃあまた今度お願いします」


 メイは満面の笑みでニコッとした。


 …可愛い……無限ってキャラ良いな……。


「じ…じゃあわんさんの…」

「あ!着いたよ!」


 目の前にチラホラとドクドク茸が見え始めた。ドクドク茸は茶色のキノコで現実であっても絶対に毒キノコだと分かるくらい怪しげな模様がカサについていた。


「じゃあやりますか!」


 2人は採集を始めた。ドクドク茸の根元から手でぐいっと引っ張る事で全体を取り出すことが出来る。


「よいしょっと…ヤッター!……え?」


 メイが頑張って1個採集を終えた頃、わんはその3倍のスピードで流れ作業のようにキノコを採集していた。走るのとほぼ同じスピードでいちいち屈まずに両手を使って採集している。


「……あ…」


 メイは唖然として口を少し開けているが、そんな事は気にせず俺は続ける。俺にはクエストクリアとは別の目的があった。それは、ドクドク茸をカンストまで採集する事。たまたまこの場所に来たのでカンストしちゃえば一石二鳥じゃん!という訳だ。だがそんな事メイは一切知らないので(俺が言ってないので)質問を投げかけた。


「…わんさん凄いですね!でももう30個集め終わってませんか?それ」


 俺は採集を続けながら回答した。


「あぁ気にしないで!個人的な趣味だから」

「……」


 徐々に加速する暴走採集マシーンと化した俺に反してメイの手は完全に止まった。


「やばいやばい…」


 メイは顔を覆うように両手を当て、しゃがみ込んだ。


「…かっこいい…!」


 メイの頬は過去最大級に赤らんでいた。

もちろんリアルとゲーム内の見た目は違います!

でも心理学によると性格によって選ぶ性別だったり見た目だったりするらしいです。

たまにチャットで性格変わる人いますけどね。

……そういえば自分もそうでした。

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