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仲間のため、大岩

「マジか…こんな簡単に死ぬのかダンジョンは……ってか今のは何なんだ?」

「あれはトラップだよ。ダンジョンには他にも色んなトラップがあるっぽい」

「そうなのか…油断出来ないな」


 くそ…最悪だ。メイが死んだのは完全に俺の責任だ。

 俺がもう少し早く思い出していたら……ッッ!


「そんな暗い顔しないでよ!どうせもうリスポーンしてわんのこと待ってるよ」

「王子……」

「メイちゃんのためにもこのクエスト…クリアしよ!」

「あぁそうだな。ありがとう」


 王子はニッと笑った。それに答えるように俺も気持ちを切り替えてダンジョンに意識を切り替える。これがメイを死なせてしまった俺の償いだ。


 次からはもっとトラップに注意して…と。


「ガキッ」


 ん?何だ?また変な音がした気が……


「わん〜!後ろだ〜!!」


 振り返ると、背後から丸い大岩がものすごいスピードでこちらに転がってきていた。


「ヤバいって」


 2人は前へ全力で走った。道幅の狭い一本道、前に走るしか逃げ場はなかった。後ろを振り返らずとにかく進む。だが、一向に岩の音は止まなかった。


「あ…あれは……!」


 前方数十分メートル先に左への分岐が見えた。


「あそこに入れば岩を躱せる!」

「本当だ!行こう!……あっ!」


 王子は、石畳の地面に足を詰まらせ転んでしまった。この石畳はお世辞にも綺麗とは言えない。俺だって何度転びかけたことか。


「…ッてて……」

「王子!早く!!」


 分岐まであともう少し、俺は王子に手を差し出した。岩もずんずんと距離を縮めてきている。


「わん…ありが……ッた…」


 王子は俺の手に腕を伸ばそうとしたが、すぐにその手を引っ込めた。


「ごめん。私足捻ったっぽい。もう無理だ…」

「何言ってんだ!早く!!」

「私のためにもクリアしてね」

「なんで諦めるんだよ…!まだいけるよ……!」


 だが俺から見ても岩との距離的に王子が助からないことは何となく分かった。だってすぐそこまで岩も迫ってきているから。


「クソッッ……」


 俺は伸ばしていた手を戻し、1人で分岐を目指して走り出した。


「あが……」


 もう後ろは振り返らない。ただあの二人の死を無駄にはしないという思いだけが俺を先へ進めた。分岐まであと数メートル。岩もスピードを増して襲いかかってくる。


「はぁはぁ…あと…少し……」


 岩が俺の背中を削りと…ったところで分岐に入ることに成功した。岩はそのまま俺の目の前を通過していく。俺は、すんでのところで助かった。


 背中が少し痛むがゲームオーバーに比べたら安いもんだ。長い間歩いて疲れきった足と背中痛みに耐えつつ、またゆっくりと前に進み始めた。


「絶対…クリアしてみせるからな。仲間の……ためにも」


 どんだけ進んだんだろう。痛みからか次第に視界も暗くなっている気がする。分岐で左に曲がってからずっと一本道。


 これ…どこまで続くんだ。


 ん……なんだあれ…


 視界の遠くに少しの光が見えた。松明とは違う眩い光だ。心身共に疲れきった俺には希望以外の何者でもなかった。


 俺はその光に向かってペースを少し早く歩いた。


「扉か…」


 遠くに見えた光の先にあったのは扉だった。ダンジョンにあっても全く違和感のない古く錆びた黒い扉。その隙間から漏れた光だった。


「待てよ……これってまさか……」


 俺は思い出した。最初に聞いた王子の説明。


「ダンジョンって書いてるクエストは何種類もモンスターが出てきてかつそこのボスを倒したらクリア…みたいな感じだった気がする」


 ゴブリンクエストの時は助かったが今回、それを思い出した頃にはもう遅かった。


 俺は背後に立っている何者かに対して、ゆっくりと振り返った。そいつの顔が扉からの光で少し照らされる。


 あぁこいつが"ボス"か……


 ボスの右腕が無惨にも俺に振り下ろされた。



 -GAME OVER-

ダンジョンクエストは長くいればいるほど胆力が削られていきます。胆力が削られると視界がボヤけ、判断力が低下します。

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