対立の2人、罠
1匹のスライムを乗り越えどんどん進んでいく3人だったが、ダンジョンの中腹に差し掛かった頃、とある問題に直面していた。
「絶対こっちだよ!こっちからクリアの匂いがするの!」
「いや絶対真っ直ぐです!」
そう…分かれ道に差し掛かり、どちらに進むか王子とメイが揉めているのだ。王子は出現した右への道、メイはそのまま真っ直ぐに行くと言っている。2人ともキャラ違いの強い言葉を用い、一切譲ろうとしない。
「まぁまぁ落ち着いて落ち着いて」
「わんは黙ってて!」
王子はなんと言うか…我が強いのは知ってたけどメイもそれに張り合うのは意外だった。そこそこの時間共にしたがそんな印象全く無かったのに。でしかも仲良くなったんじゃないのかよ。
「そっちはヤバいって!こっちにしよ!」
「わざわざ一つだけ右に道あるって言うのが怪しいです!」
うーん…このままだと一生決着がつかない気がする。……仕方ない。ここは大人な俺が人肌脱ぎますか。
「一旦落ち着こ?言い合っても何も解決しないよ」
「そんな言うんだったらわんが決めてよ!」
「そうですよ!3人いるんだしその利点を使っていきましょ」
え?いきなりこっちに石投げてくるの?なんかここの意見は一致してるしさっきまでそんな感じじゃ無かったじゃん。
「じ…じゃあ右…かな…」
「だよね!」
「あぁ……」
右も左も殆ど似たような道で俺は適当に選んだつもりだったがもしかして2人の仲をもっと悪くしちゃったかな…。
「わんさんが言うなら!右にしましょ!!」
全然怒ってはいなかった。むしろ笑顔でにこやかにしている。一周まわってその笑顔が逆に不穏なのだが。
害悪プレイヤーといい王子とメイといいこのゲームって意外と年齢層低い?とか思いながら俺たちは右へ進んだ。
しばらく真っ直ぐ歩いた頃、今度は左手の壁に謎の紋様が見えた。目立つように赤色で複雑な曲線が混じりあったような紋様である。異様で不気味さすら感じさせるその紋様に暗さも相まって恐怖が少し助長される。
それにしてもこの紋様どこかで…。
「なんでしょうねこれ」
俺が思い出そうと頭を捻っている中、メイはその紋様に手を伸ばした。
途端俺は思い出した。その紋様の正体を。その紋様はアイロニーでお嬢が魔法を使った時に出たもの……魔法陣とかなり酷似していたのだ。
「その紋様は……魔法陣だ!メイ危ない!!」
「え?」
メイの手がその紋様に触れた途端メイの上方から槍が数本伸びてきた。
「ア……ガッ……」
メイの小柄な体の所かしこに突き刺さり血が吹き出す。手や足も槍によって動かすことができないようで指だけがじたばたと忙しなく動いている。次第にメイの目が白目に覆われていった。掛けていた眼鏡も勿論割れて地面に転がっている。唯一直撃を避けた頭部も徐々に力が抜けだらんとなった。
「あ…あぁ…」
「メイ!!」
俺たちが駆け寄った時にはもう遅かった。完全にもう意識がない。いくら呼びかけようとも返事は帰ってこなかった。
少し時間が経ち、メイに突き刺さった槍が天井に戻っていったのを確認してすぐメイに触れたが既に体は血で染ってしまっている。
「おいおい…マジかよ……」
俺の動揺はメイの体が消滅するまで止まなかった。
プレイヤーがゲームオーバーになると数分後、その体は消滅して塵になります。それと同時にそのプレイヤーはリスポーンする設定になっています。




